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刑法134条、秘密漏示罪での医師の守秘義務の範囲とは。判例を基に考察する。

患者が死亡したあと患者の情報を公開することは許されるのか〜近藤誠医師が川島なお美の受診情報を週刊誌に証言〜 - Togetterまとめ が話題となっている。
コメント欄でも紹介したが、関連の判例を追っているので、本日はこれを記事としたい。
故人としての定義は出現しないが、医師の業務に於いて、どのような内容が秘密漏示罪の範囲となりうるか、については、最高裁まで争った下記の判例がある。
平成22(あ)126 秘密漏示被告事件 平成24年2月13日  最高裁判所第二小法廷

事件番号  平成22(あ)126
事件名  秘密漏示被告事件
裁判年月日 平成24年2月13日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
裁判種別  決定
結果  棄却
判例集等巻・号・頁 刑集 第66巻4号405頁
原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審事件番号  平成21(う)702
原審裁判年月日  平成21年12月17日
判示事項  1 医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師がその過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為と秘密漏示罪の成否
  2 医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合の刑法134条1項の「人の秘密」の範囲
  3 刑法134条1項の罪の告訴権者
裁判要旨  1 医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師が,当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は,医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏示するものとして刑法134条1項の秘密漏示罪に該当する。
  2 医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合の刑法134条1項の「人の秘密」には,鑑定対象者本人の秘密のほか,同鑑定を行う過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれる。
  3 医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定の過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密を漏示した場合には,その秘密を漏示された者は,刑訴法230条にいう「犯罪により害を被った者」として,告訴権を有する。
  (1,2につき補足意見がある。)
参照法条  (1〜3につき)刑法134条1項,(3につき)刑法135条,刑訴法230条
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