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医師の守秘義務の定義、秘密漏示罪での守秘義務の基礎定義とは。

判決文での重要項目として、裁判所が下線を引き、強調しているのは下記の項目である。

本件のように,医師が,医師としての知識,経験に基づく,診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合には,その鑑定の実施は,医師がその業務として行うものといえるから,医師が当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は,医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏示するものとして刑法134条1項の秘密漏示罪に該当すると解するのが相当である。このような場合,「人の秘密」には,鑑定対象者本人の秘密のほか,同鑑定を行う過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれるというべきである。
したがって,これらの秘密を漏示された者は刑訴法230条にいう「犯罪により害を被った者」に当たり,告訴権を有すると解される。

http://d.hatena.ne.jp/luckdragon2009/20151011/1444571603

要は、鑑定行為という行為に於いても、医師が、医師としての知識、経験に基づく医学的判断を内容として有する行為であれば、その行為を行う事の過程で知り得た情報は、秘密漏示罪が定義するところの「人の秘密」にあたり、これを漏示する行為は、秘密漏示罪にあたる、という事になります。
非常に示唆深いのは、ここでの定義に、本人の秘密だけではなく、対象者以外の秘密も含まれる、と記している処で、つまり、秘密漏示罪は診療対象者本人以外の秘密も対象としている事になります。
本日の記事 刑法134条、秘密漏示罪での医師の守秘義務の範囲とは。判例を基に考察する。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック の冒頭部分に戻れば、対象者は故人ですので、故人についての秘密は、秘密漏示罪の構成要件を形成するか、否か、が議論の内容となります。しかし、この判例ではその定義は出現しません。明日以降は、そこら辺も追ってみたいと思います。