luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

冤罪と、市民通報の危うさ。

昔、警察の刑事さんだった人の著作*1で、「冤罪の多くは[初動捜査の誤りが原因]で、それは[市民通報の内容があまりに被疑者に対して、恣意的情報だった]ことや、[初期の聞き込みの内容に、被疑者を歪める証言が多い]ことも起因する。」と、書かれた内容を目にした事がある。
記憶を元に書いているので、微妙に表現が違うかもしれないが、確か、そのような内容だった。


で、それに関して、先週の末、非常に気になる事例があったので、紹介する。...ちょっと怖くなってしまった事例だ。
先週、多分金曜日に、私の視野の端の方で、携帯で話していた人がいた。そのフロアには私と彼の二人がいて、私自身はかなり離れて座っていた。
そこは、あまり広くはないが、この建物の中では他に比べて比較的静かなブロックで、彼は人が通る道筋の小さなベンチに座り、一心に携帯の伝言に聞き耳を立てている風*2だった。静かで騒音が少ないせいか、携帯で話に来ている人も、結構見かける場所。彼も、そんな中の一人に見えた*3 *4
携帯というものは、結構声が大きくなってしまうが、その原因の一つに、携帯自身の相手の声の聞き取りにくさ、が挙げられる。
雑音の多いところで、携帯で会話した事がある人なら経験済みと思うが、話中に周囲で会話されたり、雑音を立てられると、相手の声が非常に聞き取りにくくなる*5。その人も、そうだったみたいで、結構大きめの声で話しながら傍を通り過ぎた親子に、「五月蝿い」と言っていた*6


まあ、そこまではよくある話かも知れない。だが、その後が怖い*7
その親子、別のブロックに続くドアを開きつつ、周囲に聞こえるような声*8で、その人に酷い侮辱の言葉を浴びせた。


私が鼻白んで、その方向へ侮蔑の顔を向けたくなった程なので、まあ、程度は想像してください。
相手の事情も見えたから、相手に迷惑が及んでいるのに、その自分の問題を意識せず、相手を一方的に非難する声に、非常な不快感を覚えたことを記憶している。心の中で、「侮辱罪とか、名誉毀損って知ってます?」の声がよぎった...。
言われた相手は、非常に不快な顔をしていたが、ぐっとこらえて座っていた。私も、嫌だなあ、と思いつつ、気分を鎮め始めて、少し時間が過ぎ、そろそろ移動しようかな、と思った矢先。
その建物のドアが開いて、いかつい制服を着た人が姿を表した。よく見ると、警官*9のようだ。
何かしら周囲を観察していたが、彼に気がつくと*10、そこで何をしていたか、聞き始めた。彼は電話の顛末を話した。
気になって私も近くにより、警官に挨拶をして、彼の説明を補足したので、驚愕の通報の内容を知ったのだが、どうやら、「変な人がいるので状況を確認してほしい。」というような連絡が入ったらしい。
...つまり、「携帯の会話の邪魔をされて文句を言ったら、不審者として通報されてしまった」らしい。
警官は通報者については、守秘義務のせいか語らなかったので、言われた人が通報したのか、事情を知らない誰かが通報したのかは知らないが、見事に「状況と異なる通報がされた現場」に、居合わせたことになった。
多分、彼の説明も、私が目撃していた旨の補足がなければ、信じてもらえなかった可能性もある。「変な人」と決め付けられたら、警官だって、そういうつもりで状況を確認するだろう。...そもそも、「事情をよく知らずに通報する人がいた(いる)」というのは、それこそ、その人自身が十分に変な人だと思うが、そういう行動に出る人がいる、という事だ。


夏の日の怪談話のようで、非常に気持ち悪かったが、そういう恣意的な通報があるのであれば、警察だってミスリードされるのではないか、と思った、夏の日の午後だった。
勿論、だからと言って、警察自身の冤罪捜査が認められるとは言わないが、「無責任な市民の言動が、別の市民を冤罪へと追いやる可能性があること」は、肝に銘じておこうと思った。


ひとまず、ここまでは私的な体験。
で、さっき『安全安心メール:兵庫県-ひょうご防犯ネット (09/12 20:44) 声かけ事案発生(9 月12日・甲子園)』のようなものを見つけたのだが。

下校途中の女子生徒に対して、男がいきなり、「大丈夫」と声をかけたもので、生徒は怖くなり逃げたところ、男はいずれかに立ち去りました。

http://anzen.m47.jp/mail-117491.html

...まあ、いきなり、は気になるけど、これって気遣いしただけなんじゃないの?
こういう事例が何気に書いてあると、具合の悪そうな人を見ても、放っておこう、という気になる*11のだけど...。

*1:書名が記憶に残っていません。エビデンスが不明確で申し訳ない。検索は、日々継続しているので、見つかったら、書きます。

*2:ここは、私の確証バイアスですね。伝言とは限らないかも知れません。何かの内容を一生懸命聞き取っていたように見えた。そういう操作のように見えた。

*3:場面の説明がなかったので、一文、描写を入れました。

*4:ちなみに、一言。「何で車内の話に見えたのか。...違う場所の話に見えたのなら、何かしらの自分の確証バイアス(思い込み)があるはず、それに考察を行った方が良い。」と、思いますよ。

*5:多分、それ故に、この静かなブロックを選んでいたようだ。そういう人を良く見かけるブロック。

*6:何故か書かれていない内容からの推測が見られたので、念のため補足しておく。...伝言聞いていただけなので、文句を言った本人は「五月蝿いですよ」と意見した以外の言動はしていないことにも、注目した方が良いと思う。大声で顰蹙をかったのは、その親子のみです。一応、描写の補足をしておきます。だからこそ、物凄い違和感と、恐怖を感じたのです。

*7:この内容で、私はこの親をモンスターペアレントではないか、と疑ったほどだ。

*8:この親子、元々地声が大きいのかな。本人はそれに気がついていない、っぽいんだけど。

*9:いわゆる司法警察

*10:私の姿はドアからだと気付きにくい。ちなみに、それ故に、親子は私に気付かなかった可能性がある。

*11:気遣いしたら、不審者扱いされるなら、そういう判断になるね。...エントリーの内容のせいか、今日は皮肉風味が効いてます。