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血液型の話、第二話「子供にまつわる、血液型検査の不確定さ」。

さて、続きです。
血液型の判定方法について、昨日、表試験と裏試験について述べたのですが、それに関係して、出生以降の、血液型の取り扱いについて述べたいと思います。妊娠と出産、および新生児の血液型の取り扱われ方について述べます。


妊娠時には、母親の血液検査を行います。まあ、検査の一環として行われることもあるのですが、どういう意味合いで行われるか。
...例えば「新生児溶血性黄疸」という事態があります。
新生児溶血性黄疸とはどんな病気か|症状や原因・治療|六訂版 家庭医学大全科 - gooヘルスケア』より。

さまざまな原因により子どもの赤血球が急激に破壊され、早発黄疸(生後24時間以内に出現する黄疸)や貧血などの症状が現れる病気です。

http://health.goo.ne.jp/medical/search/10111500.html

これには血液型の組み合わせがあり、母親 O型 → 子供 A型/B型では 3000人に 1人発生します。
また、母親 Rh-型 → 子供 Rh+型 でも発生しますが、Rh の場合は詳細説明をしだすと大変な事になってしまう*1ので、興味があれば『http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2011/06/post_c071.html』あたりを読んでください。
こういう事態は血液型の組み合わせ*2で、発生見込みが判明しますので、病院では血液検査の際に、他要素の検査と同時にその確認を行うわけです。
他にも考慮すべき内容*3があり、そういう場合には特定の血液型だから起こる、というような話にはならないので、ここでは「血液型検査」ではなく「血液検査」と呼んでいます。


さて...何か、難しい話になってしまいそうなので*4、母親の話から離れ、生まれた新生児の血液型の不確定さ、に話を移したいと思います。昨日も少し触れたのですが、改めてこの話題を。


...出生時の血液型に関するお話から。
http://www.san-kiso.com/sonota-taijiketugata.html』より。

抗原性は成長するに従って強くなり、2歳〜4歳くらいで成人並の強さになるということです。ということは2歳〜4歳にならないと血液型は信用ならない可能性があるということです。個人差を加味して小学校に上がる頃が確実かと思います。一方抗体は出生直後は母体からの移行した抗体が存在しますが、1年後くらいにはほぼすべての児が自分で抗体を産生してしまいます。 実際に血液型が変わるわけではありません(例外はありますが・・・)。

http://www.san-kiso.com/sonota-taijiketugata.html

つまり、出生時に赤血球で血液型を確認*5すると、実際には A型なのに、O型と判定される場合がある、という事です。反応がうまく出ない、という事ですので。同様に B型も、そうなります。
一方で、出生時血漿中の成分は母体、つまり母親の抗体が存在するわけですから、例えば母親が A型だったりすると、赤血球では O型と判定されるのに、血漿で血液型を判定*6すると、A型という、訳の分からない結果になります。


ここで例えば、真の血液型が B型で、母親が A型の子供を考えてみます。
出生直後は、表試験では反応がうまく出ずに O型と出ます*7ね。裏試験では母親の反応が出て、A型と出ます。
一歳では、表試験では同様に O型、裏試験では自分の抗体を産出し始めていますので、B型です。
そして五歳くらいで、やっと、表試験でも B型、裏試験でも B型という状態になる訳です。
...とてもややこしい(苦笑)。


ですので、リンク先にあるように、出生時に血液型判定をしても、本来の血液型が分からず、結果が混乱するだけだから、しないほうが良い、という事になる訳です。
実際には、こうやってさらっとお話をしていますが、各試験の結果の評価も人間がやっている訳ですので、ここで誤認してしまう事もありえる訳で。
新生児、および年齢の小さい子供の血液型検査というものは、さほどに不確定な内容になります。
また、昨日も触れたように、各血液型には亜型が存在していますので、それを考えると、不確定な結果が、分析において、またさらなる混乱を生じる可能性もあるわけですね。


少し長くなってしまいました。本日はひとまずここまで。
一口に血液型検査、と言いますが、こんなに色々な要素がある、という話でした。明日は、じゃあ、そういう事態はどうやって解決されているのかな、という話をしたいと思います。

関連リンク
血液型の話、第一話「表と裏の試験」。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック

新生児溶血性黄疸とはどんな病気か|症状や原因・治療|六訂版 家庭医学大全科 - gooヘルスケア
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2011/06/post_c071.html
http://www.san-kiso.com/sonota-taijiketugata.html

*1:ABO型の血液型不適合も詳細説明をしだすと大変な事には違いありませんが、Rh の場合には発生の説明に触れること自体が、非常に難解。

*2:実際には、母体と子供の抗体/抗原の相互作用ですが。

*3:例えば、輸血を母親が受けて、特定の抗体が血液中に存在しているような場合など。これも『http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2011/06/post_c071.html』に「不規則抗体」として、記載があります。

*4:ここは医療者のブログでもないし、そこまでの難しい内容までは取り扱わない予定。

*5:表試験(血球側検査)ですね。

*6:裏試験(血清側検査)ですね。

*7:勿論、反応が出ることもあると思いますが、ここでは仮定の話として、反応がうまく出ない想定で話をしています。