luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

リスクを隠し、「癒し」「自然」を強調することの、真の恐怖は...

まとめよう、あつまろう - Togetter』にも、少し違和感を開帳しました。

自然出産のリスキーさ(母子感染症、血液型不適合による免疫反応、出産直後の母体と胎児の大きな危険性)とか、本に象徴されるオカルト性とか、実際に、それに直面した母親なら、「花が怖い!」は分かると思うよ。

http://togetter.com/li/354826

物語の事情が事情だけに、「お話(ファンタジー)」なのか、ガチで、そう表現されてて、隠れた「その方面への賞賛」なのか、判断できないのが、何とも。 でも体験すると、この手の話(シュタイナーとか)、恐怖なのよね。

ここを読むと、「隠れた賞賛」だったら、まさに、このサイトの懸念と重なるのです。(シュタイナー自身が神秘主義なので)。参考→「日本でシュタイナー教育を選ぼうとしている方へ」( http://steiner.jpn.org/hihan/index.html )

http://togetter.com/li/354826

実際には「小児科学」の書籍もありますし、他の書籍もあります。
この設定の「おおかみこども」という概念が完全にファンタジーなので、「それだから自宅出産を選ばざるを得ない」というのなら、そこまでの恐怖は感じなかったと思います。
農業、田舎、自然という、「美化された表現としてありがちだけど、実際には危険がいっぱいある場を描いていて、本当にそこで働いている人から見たら、疑問符がいっぱいある物語*1になっていた。」としてもです。


でも、本棚に現実にどういう意味を持つか判明している書籍が置かれていて、それも考察された上で決定されている。...そういう意味では、その本が持っている意味を、ちゃんと分かって置いている*2、という事です。
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/098/98249/』より。

本棚会議みたいなのがあって、花だったらどういう本を置くか話し合いをしました。

http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/098/98249/

私としては、この映画自体が持っている生き方の志向が、見事にその思想に重なってしまっている*3ので、ファンタジーというラベルを外せば、この映画はまさに「思想の体現の映画」になっている、という部分が物凄く気になりました。


おまけに、下記の場面まである。『2012-07-24』より。

個人的には、児童相談所の人たちが、かわいそうだったんですけどね。

検診も予防接種も受けておらず、あまり外にも出ない母子家庭があれば、「虐待の可能性も考えて訪問する」というのは、ごく当たり前のことのはずで、それを「社会の無理解」「外界からのプレッシャー」みたいに描いていたのは、なんだかとても悲しかった。

http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20120724#p1

全部「おおかみこども」だから、済ませることができるので、便利な設定なんですが、こういうのって、現実の母子に重ねて考えると、児童相談所までを忌避してしまっていて、現実と重ねてしまってはいけない感*4がどんどん強まります。
そもそも、人間の子どもの予防接種忌避も危険ですが、おおかみという属性に気がつくと「狂犬病*5」という恐ろしい病気に対する予防接種の必要性もありますし...。
物語だから、作り物だから、そこまで突っ込むのは無粋だよ、と笑う人がいるかも知れないですが、そうなら、現実の事物へのリンクを外して欲しかった。外して、完全に空想の世界にしかない、絶対に重なることがない世界なんだ、と書けば、気にしならなかった。
でも、現実の事物を重ねてしまったので、現実の概念が流れ込んで、その方面から取り上げられる可能性も出てきてしまったので、そういう現実の恐怖感、というものを感じてしまったのです。


さて。「おおかみこどもの雨と雪」については、結局は、上記の事情を検証することは多分できないので、ここで話を終える。
話を現実に戻すと、上記で出てきた色々な恐れは、実際の現実の「妊娠・出産・育児」が、現実の怖さを持ったリアルな「生き方」なのに、まるで、それが作り上げられた気持ちの良い「物語」として、一部で語られていて、それが映画と重なって見えてしまうからです。
「妊娠・出産・育児」は、特定の分野では、何故か現実のリスクを排除したものとして語られていて、それが非常に怖いと思っています。現実の「妊娠・出産・育児」には、色々なリスク*6があり、親や子どもは、それに熟考の上で立ち向かっていく必要がある。
しかし、特定の分野の思考*7は、そのリスクをマスクして語られること*8が多く、それが真の恐怖となっています。


私が、「花」に見た怖さ、それは、それを体現する表現だったからです。

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まとめよう、あつまろう - Togetter

シュタイナー教育への批判

下記により、教義の指向に従うように仕向けられます。そういう、他選択肢を考慮しない*9、という行動形式が、「花」と重なってしまうのです。
シュタイナー批判、一般、日本語手記、長いマタニティーブルー

批判はシュタイナーの勉強不足と言われて片付けられてしまうので、理解できないということは「教えについてゆけない」イコール「去る」しかないということを意味していました。

http://steiner.jpn.org/hihan/artnihon.html

「おおかみこどもの雨と雪」の本棚が気になる - Togetter
ハナの本棚 - HPO機密日誌
『おおかみこどもの雨と雪』の本棚 - かえる研究日誌
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/098/98249/

2012-07-24

狂犬病に関するQ&Aについて|厚生労働省
狂犬病とホメオパシー - Togetter

8人に1人、に入ってしまいました …妊娠糖尿病の闘病記 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
リスクに納得すればどこで産んでもよいか : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
新生児における感染症 - MSDマニュアル プロフェッショナル版
横浜市衛生研究所:健康な妊娠・出産のために注意したい感染症について

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*1:ちなみに、自然賛美な方々は、近代農業(機械化、農薬、肥料など)を否定したり、自宅出産賛美だったりします。こういう処も、重なって見えてしまう。

*2:書籍については、『「おおかみこどもの雨と雪」の本棚が気になる - Togetter』『ハナの本棚 - HPO機密日誌』『『おおかみこどもの雨と雪』の本棚 - かえる研究日誌』などを参考にしてください。

*3:野生の賛美、自然への無思考の賛美。

*4:まるで、児童相談所を現実からの使者として、攻撃しているかのように見えてしまう。もう少しフォローする何かがあって良いのでは?

*5:参考『狂犬病に関するQ&Aについて|厚生労働省』なお、実際に感染すれば、治療法はなく、100% 死亡します。なお、『expressweb.jp - このウェブサイトは販売用です! - ウィンドウズサーバー レンタルサーバー サーバー エクスプレスウェブ リソースおよび情報』の書籍であげられていた、ホメオパシーについては、こういう恐怖の状況になってます。→『狂犬病とホメオパシー - Togetter

*6:ごく一部は、コメント欄でも挙げた。参考→『8人に1人、に入ってしまいました …妊娠糖尿病の闘病記 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)』『リスクに納得すればどこで産んでもよいか : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)』『新生児における感染症 - MSDマニュアル プロフェッショナル版』『横浜市衛生研究所:健康な妊娠・出産のために注意したい感染症について

*7:自然志向、ホメオパシー、シュタイナーなど。

*8:シュタイナー批判、一般、日本語手記、長いマタニティーブルー』より、『一日の過し方や子どもとの接し方を人智学に従って細かく規定し、それを人智学とは呼ばずに「子どもの発達」に合わせていると答えます。そして、人智学と教育内容とは関係がないと父母に答えるのがマニュアルです。』。

*9:花には選べなかったのかもしれません。しかし、選択肢がないことを強調する物語が、そういうカルト性を強く想起してしまうのです。おまけに、本棚にはこの思想を体現する書籍もある訳です。