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実際のストーカー規制法の実務。...ところで、恋愛感情以外のしつこい付きまとい、どう対処するの?

ある意味、とても怖い映画でした、映画「さんかく」。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック の映画内でも、警察が口にする、ストーカー防止策の実務の話です。
法律は http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO081.html を見てください。序を少し引いておきます。

ストーカー行為等の規制等に関する法律
(平成十二年五月二十四日法律第八十一号)

最終改正:平成二五年七月三日法律第七三号

(目的)
第一条  この法律は、ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。 

(定義)
第二条  この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一  つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
二  その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三  面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四  著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五  電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。
六  汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七  その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八  その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
2  この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO081.html

定義は上記に示す通り、各条項を満たす場合になります。警察の活動内容を見ていると、女性の関係者を増やしたり、という話題が多く、女性を被害者とする想定の話が多い気がしなくもないですが、映画の通り、つきまといをするのは男性に限りませんし、多分、異性的感情とも限らないのではないでしょうか。
元々警察は男性の関係者が多いので、女性を増やしたとも取れるのですが、いわゆる類型以外のパターン*1に対してどういう対策を取っていくのかは気になります。
なお、この法律は最近改正されて、電子メール送信の行為が追加された等の変更が行われています。詳しくは 行政施策トピックス3 「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の改正の概要 内閣府男女共同参画局推進課 をご覧ください。
禁止命令をすることができる公安委員会の管轄が拡げられていて、被害者、加害者、および事案が起きた地域の管轄も禁止命令を出すことが出来るようになっています。


実際の実務に関しては、警視庁のサイトから現況を引いておきます。http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/stoka/stoka.htm より。

現 況

警察署では、あなたを守ることを最優先に考えて相談体制を整えています。つきまとい等をされたら、すぐにあなたの自宅の最寄りの警察署(警視庁ストーカー対策室)にご相談ください。あなたの申出に応じて、「つきまとい等」を繰り返している相手方に警察署長等から「ストーカー行為をやめなさい」と警告することができます。さらに、警告に従わないで相手方がつきまとい等をした場合は、東京都公安委員会が「その行為はやめなさい」と禁止命令を行うことができます。禁止命令に違反して「ストーカー行為」をすると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。また、あなたが「ストーカー行為」の被害にあっている場合は、警告の申し出以外に、あなたが相手を告訴して、処罰を求めることができます(告訴しなければ検挙することはできません)この罰則は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。(一部略)

※ 警告実施後、約90%の者がその後の行為をやめていますが警告後の行為者の動向については、定期的に被害者等との連絡を行うことにより、適切な対応に努めることとしています。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/stoka/stoka.htm

実際の実務、警告などは段階を踏んで行われます。
一番最初が「警察署長等からの警告」、次が「東京都公安委員会等からの禁止命令」です。禁止命令に従わないと、実際の罪過が課せられて「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」を科す事になります。
ところで、現況の説明にも記載があるのですが、相手の告訴&検挙も行えるのですね。注意書きにある通りに、被害者からの告訴が必要要件ですが、検挙して「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則を科す事も可能なようです。告訴には諸手続きがあると思いますので、その条件に関しては確認された方が良いと思います。
記載に、「警告実施後、約90%の者がその後の行為をやめています」と書かれているので、9割の人が行為を停止している反面、一割は行為を止めない事になりますね。この一割に関しては、警察は各種の対処を行っていくのですね。
多分、ここの最後に残った悪質なケースが、ある意味、対処が困難なケースに該当するように思います。実例をあまり知りませんが、報道されている内容を参考にすれば、加害者は巧妙な手口を使い、相手の情報を得ているよう*2なので、警察も対策に苦しんでいる印象を受けます。
ストーカーと称されるように、ある意味、加害者は自分の姿を隠して近づくわけで、みだりに他人の個人情報を開示せず、相手の素性を見抜く目*3も必要なのかもしれません。
こう考えてみると、個人情報保護法が本来対象とするのが、個人情報の集積の管理だった訳です*4が、一人の個人情報でも、このような事案では重要になってくるわけで、個人情報はたとえ一人の情報であっても、各個人がちゃんと管理すべき、という事になるのかもしれません。
会社で、個人情報管理の教育、守秘義務の教育は結構一般的に行われているように思いますが、各教育機関や、公共機関でも、一般の人を対象に個人情報保護の大切さを教育する必要があるかもしれません。


ところで、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」は、基本的には恋愛感情、および好意の感情か発生しうる多種の感情なので、いわゆる感情のもつれに関する事案です。しかし、つきまとい等が発生するのは、そういう状況に限らず、映画に出てきたようなマルチまがい商法や、宗教・政治関係の勧誘も類似の状況が起きます。
ストーカー規制法では、そういった内容の「つきまとい」は想定していないようなのですが、こちらも個人生活などを破壊したり、友人関係を崩壊させたり、町内のつきあいを破壊したり、結構な社会に対する脅威になってたりもします。
こちらの対処には、どういった対処をしていったら良いのか、ちょっと気になっていたりもします。「関係する他法規で対処する内容」なのかな?

*1:当然、加害者は法律の網目を潜るためには、行為を偽装するでしょうし。

*2:逗子の事件などはネットで情報を得ていた模様。なので、ひと探しの情報などでも、安易に情報提供せずに事案の詳細を確認した方が良いと思います。

*3:加害者は、被害者の近親者に偽装する事も十分に考えられます。それこそ、元彼氏・彼女な訳で、相手の彼氏・彼女と名乗っても、簡単に信頼してはいけないわけです。

*4:制定の法理はそうです。最近の実務は若干変わってきているように思いますが。