手口としては昔からあるのですが、裁判所の送達に不慣れな人を対象に、通知を無視すると相手に有利になってしまう架空請求があったようです。
裁判所の手続きを利用した詐欺にご注意 - Togetterまとめ に記載がありますが、被害にあった人の発言内容は、法律用語や、法律に不慣れな方のせいか意味不明なので、基本的には、最後の方の天羽さん( twitter@apj )の部分のみを読むことをお勧めします。
実際の法務省の注意記事はこちら。→ 法務省:督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください
法務省民事局
最近,身に覚えのない出会い系サイトの利用料などの支払いを求める架空請求について,督促手続や少額訴訟手続を仮装し又は悪用するケースがあるという相談・情報が法務省・国民生活センター等に寄せられています。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68.html
単なる架空請求であれば,身に覚えがない以上請求に応じる必要はありませんが,裁判所の手続を悪用する形で請求してきた場合には,注意を要します。
実際に起きる事例の詳細は、あまり知られておらず、私も詳細事例を把握していなかったのですが、裁判所の正式な制度を悪用した架空請求は、実際の件数は少ないとは思いますが、実在しているようです。
申請に、実住所氏名などが必要なので、悪意を持っての裁判所のサービス利用をするのは、犯罪を行おうとする者に対しては、状況が色々な意味で不利になり得ますが、実利があるので、その部分は織り込み済みで行動しているのでしょう。
裁判所自体は双方に中立ですので、相手が実は詐欺師だった、という場合にも、書類が正式な形式で提出されてしまえば、実行せざるを得ません。そこの部分で裁判所を非難するのは、的外れです。裁判所は、相手の身上調査までを行ってくれる機関ではありませんので。
それよりも、裁判所がもっている基本的な機能や、裁判所から出される通知が、どういった意味を持つか、それに対する適切な行動はどうするのが良いのか、それを知っている事がとても重要になります。
コメント欄で、私も主張していますが、一般的な人は「支払催促」に対しては、普通の債権に関する請求として受け取る事が、一般的な筈です。これは、裁判所からの通知がある、民事訴訟の「訴えの告知」についても同様です。
基本的な方針として、裁判所の仕組みを基本的な情報として知ってもらうのと、裁判所からの告知にどんなものがあるか、を知って負てもらうのが良いです。
詳しくは、右記の二記事が参考になります。
→ 消滅時効の話(借金・債務整理)| 庶民の弁護士 伊東良徳、
→【送達|通常送達・付郵便送達・公示送達|利害関係者・敵対当事者の受領】 | 企業法務 | 東京・埼玉の理系弁護士
なお、本当に通知が来てしまった場合には、事件を委任してもらうかは別として、分からない部分は素直に専門家に聞いた方が良いです。弁護士は、相談までの料金でしたら、高額な請求がある訳ではありません*1。生半可な知識で対応しようとすると、大きな傷を負う事態にもなりかねません。
ちなみに、本当に「架空請求が裁判所風の通知できた場合」には、通知を装ったニセの通知である事も考え、自身で「裁判所の連絡先を調べ、そこに問い合わせをする」という事をしてください。
実際の振り込め詐欺では、警官の偽物なども登場します。その対策は勿論、警察著の公開電話番号*2に問い合わせする事、です。
*1:なお、気になるようでしたら、遠慮なく相手に尋ねましょう。法務職は自らの請求基準に対して、明確な情報を明示する義務があります。従前は報酬基準があったのですが、公正取引委員会からの通達(カルテル行為の疑い)があり、同様の法改正があったため、これは無くなっています。しかし、これでは分かり難いので、弁護士会は 市民のための弁護士報酬ガイド 日本弁護士連合会(PDF) のようなリーフレットを作り、報酬の分かり難さを解消する事に努めています。
*2:警察総合相談電話番号(警察庁) など。なお、警察の総合相談窓口、短縮番号は #9110 です。