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チョコレートは良い効果ばかりではない。

時節柄、チョコレートの香りが漂うことが多い季節ですね。...チョコレートは薫り高く、好きな人にはとても嬉しい嗜好品です。「チョコレート中毒」なんて言葉があるくらい。
「チョコレートの効果」なんて言葉で検索してみると、何か薬の効用みたいな表現のサイトがあったりして驚きます。


そんな折、「チョコレートの食べ過ぎで、喘息...」なんて会話があったので、問題点の方も調べてみました。
食物なんで、顕著な量を食べるとも思えないし、そう大きな問題があるような感じでもなかったですが、少々気になる情報があったので、紹介しておきます。
情報源は国民生活センター。『高カカオをうたったチョコレート(発表情報)_国民生活センター』より。

消費者へのアドバイス

高カカオチョコレートは普通のチョコレートより脂質量が多い。間食として食べることが多い食品であり摂り過ぎには注意が必要。
高カカオチョコレートは嗜好品として楽しむ分には問題ないが、テオブロミンやカフェイン等の生理作用のある物質も多く含まれるため、これらの成分に敏感な人やテオフィリン等の医薬品を使用している人は摂取に注意が必要。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20080206_2.html

特にテオブロミン・カフェインについては、下記分量を有します。

テオブロミン及びカフェインの量

 気管支拡張、利尿、興奮等の生理作用があるテオブロミンは580〜1100mg/100g、カフェインは68〜120mg/100gで、普通のチョコレートの4倍くらい含むものがあった。その他の食事等から摂取する分もあわせて考えると、テオブロミンやカフェインも普段より多めに摂取してしまう可能性があるため、健康な人が嗜好品として楽しむ分には問題ないが、これらに敏感な人(幼児やお年寄り等)や気管支拡張薬として使用されているテオフィリン等の医薬品を使用している人は摂取量に注意が必要である。また、テオブロミン量やカフェイン量が表示されている銘柄はなかった。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20080206_2.html

ちなみに、上記は高カカオチョコレートなんですが、普通のチョコレートにも実は分析がありまして、『チョコレート製品及びチューインガム中のカフェイン及びテオブロミン含有量の測定』で読めます。


チョコレートには非常に一般的に含まれる成分であり、この成分を以って、チョコレートの健康への貢献を主張するサイトも多かったので、実際の薬用成分、つまり薬の作用について、調べてみました。
ちなみに、化学式と効用は『テオブロミン』で読めます。
また、『テオブロミン - Wikipedia』を読むと、そもそも犬はテオブロミン排出機能が弱いために、禁忌食物って書いてあったりもします。まあ、犬にあげる人はいないと思いますけど、飼い犬のある方は、そこら辺に放置しないように。...誤って食べたら、愛犬がお亡くなりになる場合も。


さて、テオブロミン、テオフィリンですが、いわゆる喘息の治療薬での使用があるようです。で、テオフィリンで調べてみたのですが、何気に意外な結果に。
サービス提供終了のお知らせ』より。

副作用については、人によって異なりますが、血中濃度が20マイクログラム/mlを超えると出やすくなります。具体的には、悪心、嘔吐(おうと)などの消化器症状、頻脈(ひんみゃく=脈が速くなること)などの心臓の症状、けいれんなどが起きます。ひどい場合は意識を失ったり死に至ることは事実ですが、結局は飲み過ぎのせいです。
 発作時にテオフィリンを飲む方がいますが(飲むように指示されている場合もあります)、それで治まらないで病院に来てネオフィリンの点滴をしてしまうと副作用の起きる危険性が大きくなります。受診時にお医者さんが悪心、嘔吐の有無も聞くと思いますが、それはこのためです。血中濃度を測り、高いとわかればそれなりの対処をすればいいのですが、喘息治療に精通していない医師に当たってしまえば、発作ではなくテオフィリンの副作用で亡くなるケースも起こらないとは言えません。

http://www.fsinet.or.jp/~aichan/topix/righttopics61.htm

...何気に過剰摂取で問題になるんですよね、テオフィリン。無論、薬なので過剰摂取で具合が悪くなるのは、『当たり前』なんですが。
まあ、リンク先のブログ主は、日本の医者に辛口の意見を持っているようなので、それを差し引いても、テオフィリンがそういう影響を持つ薬剤というのは知っておいて良いと思います。
で、国民生活センターの文書に戻るわけなんですが、それ故、テオフィリン等の薬効を刺激するチョコレートの成分に警告を発している意味が分かったかと思います。
いわゆる、食品に関しての効用を声高らかにうたうサイト、というものはあるのですが、このように実際に食べ過ぎたら、どういうことになるのかまで考えたサイトはない*1と思います。
でも、実際には国民生活センターが警告しているように、取り過ぎでの害はあるわけなんで、その点、注意が必要です。
最初の話に戻ると、喘息類似の症状は、推測するに、チョコレート由来のテオブロミンの血中濃度が高くなり過ぎて、類似の症状が出たように思われます。実際には過剰摂取しなければ出ないでしょうけど、本当に喘息か、痙攣みたいな症状*2も出る可能性があると思います。


...調べてみたら、そもそもの薬としての処方自身にも、ちょっと問題があるという情報まで発見できたので、今日は「チョコレートの問題点」の記事を書いてみました。
何事も、ほどほどが良い*3ようで。

個人的なお勧め
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関連リンク
高カカオをうたったチョコレート(発表情報)_国民生活センター
チョコレート製品及びチューインガム中のカフェイン及びテオブロミン含有量の測定

テオブロミン
テオブロミン - Wikipedia

サービス提供終了のお知らせ

追加補足
小児ぜんそくに用いるテオフィリンについて−薬局の薬(OTC)情報-OTC Selfmedication net
小児気管支喘息の薬物療法における適正使用ガイドライン*4

*1:勿論、常識的な量を、と申し添えている場合が多いですけど、本当に問題が起きるかも、という所まで情報提供しているサイトは、ほとんどないんじゃないかな。

*2:極度の興奮状態とか、過呼吸状態。

*3:高いチョコレートをほんの少し、が個人的にはお勧め。

*4:これを見る限り、考察はちゃんとされている模様。