luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

書籍の概要

この書籍の内容については、一番始めに書かれている「はじめに」に端的に書かれていますので、それをそのまま引用して紹介します。*1

■ はじめに ■

 社会心理学では、なぜ私たちがステレオタイプや偏見を抱いてしまうのか、そして、どのようにしたらそれを解消することができるのか明らかにしようと努めてきました。本書はこの中で提出されたさまざまな知見を紹介するものです。

 本書では、ステレオタイプや偏見の問題について解説するにあたり、次の三点に留意しました。

 第一にステレオタイプや偏見を、誰も必然的にもってしまうものとしてとらえようということです。「偏見がかった人」と聞くと、多くの人は自分とは異なる、人格的に特殊な人と考えやすい傾向があります。極端な場合、「自分は偏見などもっていない」と思っている人も少なくありません。私たちは、自分に向けられたステレオタイプや偏見に敏感な一方で、自分自身の頭の中にも同様のものが存在していることには気付きにくいものです。しかし、確かに私たちはステレオタイプや偏見によって傷つけられることがありますが、同時にそれをもって他者を傷つけてもいるのです。本書では、ステレオタイプ・偏見が私たちの心の中に共通して存在していることを示すとともに、傷つけられる側の心理的苦境にも説明を加えました。

 第二に、ステレオタイプや偏見は一度心の中に作られると、変えたり消したりするには、かなりの努力が必要という点です。自分では偏見をもたないように気をつけている人でさえ、偏った見方をしないことはとても難しく、一般にイメージされている以上にステレオタイプ・偏見は手ごわいものです。この点を、社会心理学のさまざまな研究結果をもとに改めて実感したいと思います。

 第三に、偏見やステレオタイプを解消するためにどのような道が考えられるのかを、具体的研究例をもとに考えるという点です。これまでステレオタイプや偏見に関して書かれた心理学的な本は、どちらかといえばその形成や維持を解説するものが多かったように思います。しかし大学の授業などでステレオタイプや偏見の問題を取り上げると、学生から、「では自分たちには何かできるのか」「どうすればよいのか」という声が多く聞かれました。この本を手に取った方の中にも、同様の答えを求めている人がいるかもしれません。正直なところ、ステレオタイプや偏見を完全に解消するということは、人間の心の仕組みから考えるとかなり難しいことです。しかしこの問に答えようと、多くの研究者が解決の手がかりとなり得るような研究結果を提出しています。本書ではこれらの知見をできるだけわかりやすく紹介できるよう、多くのページを割きました。

*1:これは書籍紹介なので、そのまま全文を引用する事にしました。