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過去判例を振り返る。「集会の自由に関する、三つの判例」

多忙であるので、特に関与していないのですが、表現の自由と、結社・集会の自由に関して、若干、ネット上が騒がしい気がしています。主張は、何故か過去判例なども引用されていない模様で、不思議な気もしたので、個人的な復習も兼ねて、三つほど判例を調べてみました。
重要部分には強調もしてみましたので、ご参考にしてください。
判決文自体は著作権はありませんので、全文掲載もできるのですが、あまりに長文になりますし、裁判所のサイトで公開されていますので、リンクとしました。確認したい方は、リンク先をご確認ください。


昭和35(あ)112、昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例違反。昭和35年7月20日最高裁判所大法廷判決

事件番号 昭和35(あ)112
事件名 昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例違反
裁判年月日 昭和35年7月20日
法廷名 最高裁判所大法廷
裁判種別 判決
結果 破棄差戻
判例集等巻・号・頁 刑集 第14巻9号1243頁
原審裁判所名 東京地方裁判所
原審事件番号
原審裁判年月日 昭和34年8月8日
判示事項
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例の合憲性。
裁判要旨
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は憲法第二一条に違反しない。
参照法条
昭和25年東京都条例44号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例,憲法21条
全文
全文
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51694


平成1(オ)762、損害賠償。平成7年3月7日最高裁判所第三小法廷判決

事件番号 平成1(オ)762
事件名 損害賠償
裁判年月日 平成7年3月7日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判例集等巻・号・頁 民集 第49巻3号687頁
原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審事件番号 昭和60(ネ)1727
原審裁判年月日 平成元年1月25日
判示事項
一 公の施設である市民会館の使用を許可してはならない事由として市立泉佐野市民会館条例(昭和三八年泉佐野市条例第二七号)七条一号の定める「公の秩序をみだすおそれがある場合」の意義と憲法二一条、地方自治法二四四条
二 「関西新空港反対全国総決起集会」開催のための市民会館の使用許可の申請に対し市立泉佐野市民会館条例(昭和三八年泉佐野市条例第二七号)七条一号が使用を許可してはならない事由として定める「公の秩序をみだすおそれがある場合」に当たるとして不許可とした処分が憲法二一条、地方自治法二四四条に違反しないとされた事例
裁判要旨
一 公の施設である市民会館の使用を許可してはならない事由として市立泉佐野市民会館条例(昭和三八年泉佐野市条例第二七号)七条一号の定める「公の秩序をみだすおそれがある場合」とは、右会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、右会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であり、そう解する限り、このような規制は、憲法二一条地方自治法二四四条に違反しない。
二 「E委員会」による「関西新空港反対全国総決起集会」開催のための市民会館の使用許可の申請に対し、市立泉佐野市民会館条例(昭和三八年泉佐野市条例第二七号)七条一号が使用を許可してはならない事由として定める「公の秩序をみだすおそれがある場合」に当たるとして不許可とした処分は、当時、右集会の実質上の主催者と目されるグループが、関西新空港の建設に反対して違法な実力行使を繰り返し、対立する他のグループと暴力による抗争を続けてきており、右集会が右会館で開かれたならば、右会館内又はその付近の路上等においてグループ間で暴力の行使を伴う衝突が起こるなどの事態が生じ、その結果、右会館の職員、通行人、付近住民等の生命、身体又は財産が侵害される事態を生ずることが客観的事実によって具体的に明らかに予見されたという判示の事情の下においては、憲法二一条、地方自治法二四四条に違反しない。
(一、二につき補足意見がある。)
参照法条
憲法21条,地方自治法244条,市立泉佐野市民会館条例(昭和38年泉佐野市条例第27号)7条
全文
全文
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52449


平成5(オ)1285、国家賠償。平成8年3月15日最高裁判所第二小法廷判決

事件番号 平成5(オ)1285
事件名 国家賠償
裁判年月日 平成8年3月15日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
裁判種別 判決
結果 破棄差戻
判例集等巻・号・頁 民集 第50巻3号549頁
原審裁判所名 東京高等裁判所
原審事件番号 平成3(ネ)3687
原審裁判年月日 平成5年3月30日
判示事項
何者かに殺害された労働組合幹部の合同葬に使用するためにされた市福祉会館の使用許可申請に対する不許可処分が違法とされた事例
裁判要旨
何者かに殺害されたD関係労働組合の連合体の総務部長の合同葬に使用するためにされた市福祉会館の使用許可申請に対し、上尾市福祉会館設置及び管理条例(昭和四六年上尾市条例第二七号)六条一項一号が使用を許可しない事由として定める「会館の管理上支障があると認められるとき」に当たるとしてされた不許可処分は、右殺害事件についていわゆる内ゲバ事件ではないかとみて捜査が進められている旨の新聞報道があったとしても、右合同葬の際にまでその主催者と対立する者らの妨害による混乱が生ずるおそれがあるとは考え難い状況にあった上、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができない特別な事情があったとはいえず、右会館の施設の物的構造等に照らせば、右会館を合同葬に使用することがその設置目的やその確立した運営方針に反するとはいえないなど判示の事情の下においては、「会館の管理上支障がある」との事態が生ずることが客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されたものということはできず、違法というべきである。
参照法条
地方自治法244条,上尾市福祉会館設置及び管理条例(昭和46年上尾市条例第27号)6条1項,憲法21条1項
全文
全文
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55875