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luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

歌の持つ力、無関心を関心に。

実は知らなかったが、紅白歌合戦でのレディ・ガガさんの訳詩が変、という話題があったようだ。
NHKのレディ・ガガの字幕翻訳は隠蔽の意図とか以前の問題かな? - Commentarius Saevus』より。

2012年紅白歌合戦に出場したレディ・ガガの"Born this way"の翻訳がおかしいということで酷評されている。

(中略)
...とくに議論されているのは、(1)"You're black, white, beige, chola descent / You're lebanese, you're orient"の後半部分を「国籍」と訳していること、(2)"No matter gay, straight or bi / lesbian, transgendered life"を「性的好みなんてどうでもいい」と訳していること、(3)"life's disabilities"を「困難」と訳していることである。

http://d.hatena.ne.jp/saebou/20120102/p1

知らなかったのは、なぜかというと、そもそも TV を見ないというのと、紅白歌合戦にも興味ない、とい点からだ。議論にならなかったら、この話題にも触れなかったと思う。
実は、この話題に関係あるが、紅白歌合戦って、男女が別れて歌を競う、まさに性的指向マイノリティ*1に色々感じるところがある人にとっては、自分の実情の鬱屈を刺激される番組ですよね。
私自身は、異性愛嗜好*2であるため、性的指向(嗜好)マイノリティの心境を理解する事はできないのですが、とあるサイトで、台湾の同性愛の方とコメント欄で会話をしたことがあります。
まあ、その人の悩みは、同性愛を一般に認めるとか、そういう内容ではなく、世の中のどこにでもあるような、自分の大切な人*3を失ったり、自分がその人を残して、この世を去ったりする事への恐れ、でした。そういう意味では相手の対象が変わるだけで、悩みに、さほど違和感はなかった*4
彼の悩み本体は普遍的だったが、その悩みの不安を増大する素になっているマイノリティに関する問題とは、「マイノリティを排斥する勢力がいる。」という事だと思う。
...例えば、レインボーアクションデモ、というものがあって、『ゲイ・パレード - Wikipedia』には下記のように書かれている。

ゲイ・パレードは、同性愛者など性的少数者LGBT レズビアン ゲイ バイセクシュアル トランスジェンダー インターセックス)による存在アピール運動を目的とした、パレード形式のイベント。また、近年では、同性愛者以外の異性愛者の性的少数者をも包含する言葉として、プライドや(多様性を意味する)レインボーをその名に冠するパレードが、世界的な趨勢として増えてきている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89

このデモに対するコメントを時々見るけど、そりゃあ、もう罵倒の限りをつくしていて、かなり酷いですからね。
...まあ、私が紅白歌合戦を見ないのは、単につまらない*5 *6せいなんですが。
今回、NHK の意向は分からないので、意図的*7かどうかはよく分からないので、コメントしない。あと、英語も苦手なので、特にコメントしませんが、レディ・ガガの出演意図について述べておきたい。
この歌自体は、結構過激で、この歌自体は嫌い*8だ、という人もいるようだ。そういった背景の歌の色を変えて表現すること*9についても異論があるようだが、私はレディ・ガガのしたたかさ、を評価したい。
歌というものは、まず興味を持っていない層に、興味をもってもらい、聞いてもらうことに意味がある。
そういう意味では過激さで注目を集めるのも大事だが、比較的ソフトな語り口で、新しい人に自分の入り口に立ってもらう勧誘をするのは大切なことだと思う。何も常に過激に表現することだけが大事ではない。
レディ・ガガ自体の意図は不明だが、案外少し色を変えてでも、歌に接してもらい、その後、この歌の持つ真の意味を知ってもらう、という意図を含めていても不思議ではないと思う。
芸能の人って、結構したたかで、そういう含みを持たせて妥協を受け入れる振りをする*10、ってのを見てきた*11ので。こういう「したたかさ」は、マイノリティ集団には色々と学ぶ内容*12があるのかも。...まずは、無関心層に自分の存在を知ってもらうことに、意味があると思いますからね。
ただ、紅白歌合戦で、この曲を歌うはずのレディ・ガガを招待した曲側の意図は良く分かりませんけどね。この曲の意味をよく調べれば、マイノリティに対する賛歌らしい、と分かるわけで、一時的に穏やかな表現にしたところで、そうした部分は、今回起きたように突付かれると思う*13ので。

関連リンク
NHKのレディ・ガガの字幕翻訳は隠蔽の意図とか以前の問題かな? - Commentarius Saevus

「ただの女装っ子で妥協しちゃダメ」は違うと思う。てか「ただの」「妥協」ってなによそれ。 - *minx* [macska dot org in exile]*14
LADY GAGAさん『born this way』の歌詞 / うたまっぷ 歌詞無料検索』での該当部分。

ドラック・クィーンじゃなくて クィーンになればいい*15

http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=kt1712

ゲイ・パレード - Wikipedia

レディーガガborn this way 歌詞 - Google 検索*16

収録アルバム
[]

補足(本職の実情説明)
NHK紅白のガガの「翻訳ミス」について: Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜*17

*1:自分がどちらに属するか、とか考えてしまうのではないかな?

*2:こっちは嗜好だね。嗜好と指向の両方があるので、ちょっとややこしい。まあ、嗜好のほうも、生来のものであるので、「好み、ではないのでは?」という話もあるが、ここでは嗜好で表現しておく。

*3:ここが異性愛嗜好の人と違って、異性ではなく同性になる訳なのですが、そこが違う以外はよくある悩みだと思います。愛情の部分は理解できないけれど、命の喪失に関する悩みは理解できる。

*4:勿論、違和感を感じる悩みもあるとは思うので、違和感を感じないことが相手の否定にならない、という事ではなく、違和感を感じることでも理解が必要、というのが大切なことだと思うけど。

*5:そもそも、出演者を男女で分ける発想が古いというか、そもそも、そういう視点を無思考で使ってしまえる無神経さが、どうにも好きではない。ちょっと話が飛ぶが、映画版マクロスが「愛・おぼえていますか」で、敵対勢力を男女に変えてしまった時に、古めかしさを感じてしまった。...まあ、「子孫を作る」手段がモチーフですので、その対立軸(男女で子孫を作るか、クローニングで子孫を作るか。)にした、という意味では自然なんですけどね。

*6:ちなみに、その後、あの作品でも歌舞伎の女形のモチーフや、登場人物にゲイが出てきたりして、必ずしも異性愛だけが出てこなくなっているのは、そういう話題にもフォーカスしている、ということなんだと思う。

*7:歌の意味を隠蔽したかどうか、について。

*8:主張を肯定する人にとっても。

*9:私は知らないが、踊りも変えているのではないか、という指摘もあった。

*10:勿論、タイミングを見計らって、どこかで真の衣を覗かせて見せたりするわけです。

*11:でも、もしあえて受け入れて、論争が起こることまで予期していたら凄いですね。まあ、予想していても本人は言及しないと思いますけど。

*12:芸能人ってのは、生活が安定しない分、そういう隠れた強さ、みたいな所はあります。まあ、私が知っているのも一部分に過ぎないですけど...。

*13:レディーガガborn this way 歌詞 - Google 検索』で見ると、歌自体の発表の際にも色々議論があったことが伺える。

*14:Queen の部分は誤解があるとの事。

*15:なお、引用の際に「クイーン」→「クィーン」と変更してます。

*16:検索で、関連議論を知るためのリンク。

*17:これが実情だった模様。ただ、やっぱり最後の疑問が消えない。歌の意味を知っていれば、こういう騒ぎになることは分かるはずだと思う。