新聞で、番組の公式謝罪を取り上げつつ、ネットでの番組評価を、「擁護*1」などと報道していた。
私自身は「擁護」という用語を使用した可能性はあるが、各所での内容は明らかに、冷静な翻訳作業であり、新聞報道などにみられるような感情的なものではなかった。
そういう意味では、あまり「擁護」という用語を使用して欲しくはない。大衆の感情に頼った記事が多い、マスコミの報道に関し、今一度、箴言・提言を行っておく。*2
さて、どうも、日本側は沈静化したようなので、私の記事は落ち穂拾い的な記事なのだが、一点、被爆者の関係団体や、被爆二世、三世などの方々*3に関し、もし知らないのであれば、知らせておくことがある。
『ニュースな英語(本日の言葉/quip) - BBC番組がいかに二重被爆者を取り上げたか 彼らは何と言っていたのか』より引用する。
スティーブン・フライという人は、イギリスでは誰もが知っているコメディアンであり知識人です。英コメディの大傑作と世代を超えて評価される『Blackadder』というシリーズにレギュラー出演していたほか、自分のヒット番組をいくつも持ち、自伝や小説や書評など著作も多く、博学で、社会問題についても深い見識と洞察を示してきた人です。そして(イギリスでは周知のことですが)彼は同性愛がまだイギリスで犯罪だった時代に生まれ、その中で自分が同性愛者だと自覚しながら少年時代を送った人です。学校になじめず詐欺罪で逮捕・投獄。自分を必死に立て直してケンブリッジ大に入学しスターになったものの、双極性障害に苦しむようになる。自分が生まれる前に親類がアウシュビッツで殺されていたことも、後から知るに至る。つまり彼自身が色々な意味でマイノリティであり、そういう姿を世間にさらしながら、自分の才能と知性で身を興した人です。
http://dictionary.goo.ne.jp/study/newsword/wednesday/20110125-01-2.html
...彼自身が、アウシュビッツの関係者である。
また、自らがマイノリティとして悩み、そして、それに耐えて生きてきた人である。つまり、この点で、被爆者、被爆者二世、三世である存在を隠し、もしくは表明して生きてきた方々と、生きる道が重なるのではないか?
被爆関係者に対して、スティーブン・フライ氏への嘲笑を煽っていた言説に惑わされ、彼の事を誤解している人がいたら、そういう事実を踏まえ、彼の事を、今一度調べ直してほしい。
そうすれば、自身の悩みと、彼は実は重なる存在であり、互いに対立するような存在ではなかった事が、理解できるかと思う。
今回の件に関して、英国人や、英国在住の邦人、また、番組への正確な情報の提供者に関し、過度の嘲笑を行い、また、被爆関係者に対しては、偏見に満ちた情報を与えた行動を、私は明らかに目撃している。しかし、あえてそういった名誉棄損に類する行為を咎めない。
が、被爆関係者については、そういった情報に踊らされた面もあった事を、どうか知ってほしいと思う。
最後に、この番組に関して、正確な情報を提供した方々の名誉のために、タイムズ紙が伝えた報道を引用して、記事を終わる。
『ニュースな英語(本日の言葉/quip) - BBC番組がいかに二重被爆者を取り上げたか 彼らは何と言っていたのか』より。
ロンドンの日本大使館の広報官が同紙の取材に答えて、「番組は、山口さんを笑っていた(mocking)というよりはイギリスの鉄道を笑っていたのだと承知している。...(後略)
http://dictionary.goo.ne.jp/study/newsword/wednesday/20110125-01.html
*1:例えば、『http://www.asahi.com/international/update/0125/TKY201101250107.html?ref=reca』で、「被爆者を笑う意図ではないと番組を擁護する声がある一方で...」と、使用。
*2:実際、BBC 番組関係者の公式謝罪と、該当記事削除は、対応として過剰な内容であると考えている。「表現の自由」という観点から言えば、今回の日本側の対応は、自分に返ってくる、危ういブーメランの言説である事は指摘しておく。また、マスコミ報道が、番組内容を正しく反映できていないのは、初期報道時に、報道関係者内部の twitter で、実は発言がある。一部、マスコミ記者は分かっているようなので、あえて発言は引用しない。
*3:多分、山口さんの遺族は既知で、あくまでそれを知ってての抗議であろう。また、被爆関係者以外には、特に対立を煽った人間には、特に知らせる事もない。私はあくまで当事者、当事者の関連の方々に知らせたいだけだ。