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ジカ熱と小頭症の関連、現時点では未解明、との事。

何となく、因果関係などが証明されたのかな、と一時期は思っていました。
しかし、そもそもが小頭症自体、発生原因が未解明となっており、現時点ではジカ熱流行地域での小頭症の特異的な発生増加が観測された、だけのようです。
実際に小頭症発生にジカ熱が関与しているのかどうか、それを確認している最中であり、何か確認されるまでは疑いがある危険には近づかない事が推奨されるので、妊婦のジカ熱流行地域への旅行は避ける*1という事態のようです。
平成 28年2月5日 公益社団法人 日本産科婦人科学会 「妊娠女性のジカウイルス感染症と児の小頭症との関連」 会員宛(公開文書) に、「事実関係は以下となります。」として、以下の記述があります。

2015年9月までに、ブラジルのジカウイルス感染症流行地域で小頭症の児が多数例出生した。ブラジル保健省は小頭症児登録基準を設け、初期登録 35例の背景について発表した。26例は妊娠中に発疹(第一三半期に 21例、第二三半期に 5例)を経験しており、35例全員が流行地域に居住、あるいは流行地域を旅行していた。CT 検査では、これら児の脳に石灰化が認められるなど、重い後遺症が懸念されている。


それら小頭症児の一部症例(10症例に満たない)や流産/死産児の複数例に先天性ジカウイルス感染が証明された。


現在、これら小頭症児/母体体液試料を用いて、ジカウイルス感染との関連について調査されているが、まだ両者の因果関係について結論は出されていない。

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20160205_news01.pdf

感染確認された症例が少数であったり、関連が疑われているとされている事実関係も、記載を正確にしてみると、微妙な部分がある事に気づきます。
勿論、実際に小頭症が発生している事実はあるので、敢えて危険を冒す必要はないですが、実際に確認されている危険以上の事までを恐れる必要はないと思います。
例えば、日本人の妊婦で現地に行かなければならない例は少数でしょうから、それ以外の人にとっては、感染源の媒介蚊を避ける事は、偶然にも蚊が航空機で運ばれない限りに於いては大丈夫でしょう*2。また、媒介蚊以外で感染する経路としては、性的行為が挙げられるため、自分のパートナーがジカ熱に感染するリスクがあった場合には、コンドーム等の使用により感染を防ぐ努力を要する、とされています。
ジカ熱に関しては、一番厄介なのはジカ熱自身の症状は比較的軽く、80%程度は不顕性*3であるので、感染に気づき難い部分のように思います。要は感染事実を検出するのが、かなり難しいのです。
実際にジカ熱に感染している事を知るためには、遺伝子検査法が必要となるようですね。
ジカウイルス感染症のリスクアセスメント の「診断方法」より、

特異的な臨床症状・検査所見に乏しいことから、実験室内診断が重要となる。主要な検査方法は遺伝子検査法によるウイルスRNAの検出(血液、尿)である。ジカウイルス特異的IgM/IgGのELISAによる検出法も報告されているが、デングウイルスIgMとの交差反応が認められる症例もあるため、結果の解釈には注意が必要である。また、中和抗体価を測定すればデングウイルス感染とジカウイルス感染は血清学的に鑑別できる。また、急性期と回復期のペア血清での測定が重要である。

http://www.nih.go.jp/niid/ja/id/2358-disease-based/sa/zika-fever/6227-zikara-160216.html

という事です。

*1:対策が媒介する蚊に刺されない事、なので、実現が非常に困難な事が予想され、であるならは可能な限り、その地域へ行かないようにしてください、となりますね。デング熱とかでも、そうですが、蚊に刺されない事、というのは、実行が非常に難しいと思います。

*2:ただし、まったく皆無であるとは言えない。その意味では、リスクは基本的にゼロとならない。危険というのは、その意味では考え出せばきりが無いのですね。

*3:ジカウイルス感染症のリスクアセスメント より。「臨床所見 『不顕性感染が感染者の約8割を占めるとされている』」とある。