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お薬手帳の議論に見える、システム構築の苦労に関する無関心(ITに限らず)。

まあ、元々がネタともいえる まとめよう、あつまろう - Togetter に関する話です。
一番最初に私が書いているのは、私がこの件に関して抱いている感ですね。
システム構築する道もありなんだけど、紙の手帳は何か事件があった時に保険として最強、という感覚があります。実際、東日本大震災ではこの部分で、お薬手帳に感謝している方もおられる模様。

まあ、DB 的にはマイナンバー的に紐づけできれば集計もし易いですけどね。(利権言うなら、官庁の納品業者の方を見た方が良いんでは?)

http://togetter.com/li/691575

紙の方がシステム的に強靭なのよね。IT系は災害とかには弱い。

http://togetter.com/li/691575


ただ、システム構築と言うのは大事業でして。
国の立法、法律改正の条文を追っている身から言いますと、例えば行政制度改善のための法改正って、物凄くさじ加減が大変な改正でして、税率の調整とか、あれ会議と資料調整を重ねて最終改正に至っている訳なんですね。
そこから類推するに、ちゃんとうまく動く制度を作るというのは非常に大変なんですよ。
今、多分、医療情報と言うのは病院ごとのイントラネット上にのみあるでしょう。広域ネットの情報網に流すのは、医療情報の性質から言って非常にリスクが高いです。
とすると、今の現状を見て、その上で医療連携が出来る制度を構築する必要がある訳で、それを考えたら、現状のお薬手帳の運用はほぼ最善と言えるのではないでしょうか。
ちなみに、まとめでは、医者と薬剤師の協議について関連条文が説明されていますね。
下記に書いておきます*1

(処方せん中の疑義)
第二十四条  薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO146.html

(処方せんの交付)
第二十三条  (略)
2  保険医は、その交付した処方せんに関し、保険薬剤師から疑義の照会があつた場合には、これに適切に対応しなければならない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32F03601000015.html


さて。一番最初に私が少し言っていますが、マイナンバーで紐づけて電子的に照会するシステムって、開発可能なんでしょうか。
私は可能だとは思っていますが、非常にデリケートかつ大変なシステムになると思います。それこそ、情報漏えい時のリスクが半端ありませんし、不正侵入されたら目も当てられません。
また、このシステムはそれこそ、非常に大がかりなものになりますので、規模も半端ないでしょう。まさに利権のバランスを取るのが大変な案件*2でしょうね。

で、こういうシステムの仕組を組み上げるのって、非常に大変なんですね。私自身があるシステムを組み上げたことあります*3ので、苦労と、そしてその苦労への軽視の論調は良く知っています。
そして、その論調に非常に不快感を覚えていたりする。構築は簡単ではないし、考察することが安易に可能なものだとは考えて欲しくはないですよ。


医療者への苦労の軽視も半端ないですけど、ちゃんと動くシステム構築への苦労軽視も、凄まじいものがあります。
やっぱ、皆さん、実感できないのかな? 無茶言ってくる風景を見ている限りでは。

*1:当然ながら、この条文は実際の運用を考慮して設置された訳です。

*2:私は利益を上げる事には結構寛容なんですが、ここら辺の話では 1円入札、みたいな話もありますし、色々ドロドロしたものがあるでしょうから。

*3:実は某分野では良く知られているシステムです。