luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

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判断の誤りの種。集団浅慮と恐怖の文化、そして臆病者の公式。

最初の言葉は一般語句、二番目はデマルコの「ゆとりの法則」に出てくる言葉、最後はワインバーグの「コンサルタントの道具箱」に登場する言葉である。
これらは総て、集団が「恐怖」という感情に支配された時に起こる出来事に関連した言葉である。
最初の言葉は、http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/si20.html より、

集団浅慮(集団思考

災害などの大きなストレスがあると普段以上に意見の一致や集団の結束力に重点が置かれ、集団内の多数意見あるいはリーダーの意見に「同調せよ」という圧力がかかり、客観的な正しい状況判断や意思決定ができなくなるような状況のことを集団浅慮(または集団思考)という。

http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/si20.html

という内容を示している。
つまりは正しいかどうかではなく、権威ある意見に従え、という圧力、つまりは恐怖感があり、その集団の構成要員が意見に従う*1こととなり、結果として行動を誤る事を示しています。
恐怖の文化、はそれの体現みたいな話で、著作から引くと、

恐怖の文化をもつ組織には、次のような特徴がある。

1.口に出しては危険なことがある(「このノルマを達成できるとはとうてい思えない」など)。それが真実であっても、言い訳にならない。
2.それどころか、その懸念が的中した場合、上層部の虫のいい願望がかなわなかった原因はあなたにあることになる。
3.ほとんど達成する見込みのないような強気の目標が設定される。
4.権力が常識に勝る。
5.服従しない者は罵倒され、おとしめられることがある。
6.全体として、能力のない人より能力のある人の方がクビを切られる。
7.生き残った管理者は特に怒っている。だれもが彼らとすれ違うのを恐れている。

となっている。
まさに第一項目で、本来必要な事実提示が阻害されている事を示しています。
第六項目も、案外あてはまり、かつ、その集団の能力低下に手を貸しています。こんな事が起きれば、優秀な人は逃げ出すでしょう。
ちなみに、何故、第六項目が起こるのか、を考えるには「能力ある人ほど、現在行われている行動の欠点に気づきやすい」という事を考えてみるのが良い。批判に対して、クビを切る事をすれば、この内容が普通に成立するでしょう。
勿論、正しい批判を受け入れる度量があれば別だが、そんな状態なら、恐怖の文化なんてものは発生しない筈で。


最後に臆病者の公式ですが、これは「Aをすることに対する恐怖がBをすることに対する恐怖より大きい場合、人はBをする。」というもので、恐怖の文化に支配され、職場の皆が怯えて仕事をしたら、こうなる事は必至ですよね。


この一連の言葉が示唆してくれることは、集団内で正しい意思決定をしたかったら、チーム力を正しく発揮したければ、管理者は恐怖での支配なんか、目論んではいけませんよ、となる。
そう行動すれば、集団の能力が著しく低下し、最高で管理者と同程度、基本的には管理者の能力以下*2になってしまう事になる。管理者がよほど高い能力を示し、総てに於いて正しい意思決定が出来れば良いですが、誤りをしない人間なんかは存在しないわけで。
結論としては、管理者が権威や恐怖で、その場を支配している組織に注意せよ、という事になる。そのような場の集団の行動能力は低下していると見るのが正しい。

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*1:つまり、勇気を以って論理的に正しい意見を表明することを控えてしまう。

*2:総てが管理者の示せる能力にはなれないかも知れない事に注意。