luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

こぼれ話。細胞培養方式でも、鶏卵蛋白が微量に存在。

調べていて、実勢上の問題は起きないようにも思える*1のですが、細胞培養方式でも卵由来の成分は入る場合があるとは知らなかったので、豆知識として。
横浜市の衛生研究所の記事*2に記述があり、元々はワクチンの英文の成分資料のようだ。原文は見つけていないので、日本語解説を引用する。横浜市衛生研究所:インフルエンザワクチンについて より。

Madin Darby Canine Kidney(MDCK)細胞という犬の腎臓由来の細胞で培養して作られます。Flucelvax(商品名)の製造過程では卵は使用されていません。しかしながら、WHOから供給された種にあたるウイルスの製造では卵が使われているので卵は極めて微量含まれています。Flucelvax(商品名)の一人分接種量0.5mlあたり、50femtograms(フェムト-グラム:千兆分の一グラム:10のマイナス15乗グラム)未満の卵蛋白です。そのため、卵アレルギーがある18-49歳のアメリカ合衆国の人については、ccIIV3ではなくRIV3の接種が考慮されます(参考文献18)。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/influvaccine.html

うーーーん。この量で、アレルギー反応を考慮ですか...。本当に起きるんでしょうか。まあ、反応は個人差があると思われるので、今の鶏卵培養方式で問題が起きていない人は大丈夫だと思う*3のですが。
なお、文献18 は「Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) ; Prevention and Control of Influenza with Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) --- United States, 2013-14. ; MMWR September 20, 2013/Vol.62/No. RR-7, p. 1-43.」です。
手に入る方はどういう由来で鶏卵蛋白が含まれるようになるのか、読んでみるといかがでしょうか。記述を読む限りでは WHO がウィルスを提供していて、そのウィルスの製造に鶏卵を使用しているようですね。
ちなみに、同じ製造方式ではない可能性も大きいので、実際には違っている可能性もありますが、ヴェロ細胞技術について-細胞培養によるワクチン製造-|ファクトシート|バクスター株式会社 を読むと「シードウイルスまたはスターターウイルスの凍結バイアルを解凍し、それを大型のバイオリアクターに注入して、ウイルスを増殖させます。」という記載がみつかるので、そこの部分が鶏卵培養方式なのでしょうかね。資料が無いので、これ以上は分かりませんが。
実際に影響がありそうであるならば、ワクチンの成分説明資料に鶏卵蛋白の含まれる分量が記載されると思うので、その記載を確認してもらうのが良いと思う*4のですけど。


今日は、かなり小ネタ的な、インフルエンザ・ワクチンの豆知識の記事でした。
まだまだ、インフルエンザ自体は流行っているようです。周囲に感染状況が無いか、体調的に罹りやすい体力低下を引き起こしていないか、お気を付けください。で、罹ってしまったら、ちゃんと休みましょうね。

*1:極めて微量なため。量は後述。

*2:他の記述でもそうだが、かなり調べた形跡があるので、資料的な引用元情報として価値が高いように思える。

*3:そもそも微量で問題が起きる人は、こういう計測がされているワクチンではなく、食事で容易に反応が起こりそう。

*4:実際の医師には成分説明資料が、添付資料としてつけられていると思います。