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「LOOPER」に学ぶ、因果応報ならぬ、女性依存神話。

映画「LOOPER」を観た感想を、少し書いておこうかな。
非常に筋が分かりにくかった。ただ、過去の自分に起こった事が同じ事象に於いて、未来の自分にも起こり始める、という部分で、因果応報を描いている、という説明で、自分なりに納得した。
ただ、観ると結構混乱するので、お勧めかというと微妙。
ネタバレな事は書きませんので、あらすじには触れませんが、「因果応報」がストレートに起きる描写で、「自己の考察の大切さ、何が解決になりうるか」を書きたかったのだろうな、と思う。


ただ、この作品には父親が出てこない。子供は総て母親に育てられ、母親に捨てられてグレたり、母親に大切にされたりして救済される*1。また、荒れた男性は女性によって救済され、改心に至る。
反面、犯罪組織でもあり、男性側の行う事は凄惨を極める。...多分、虐待を体験した事のある人は観てはいけないように思う。...もし、これが出てこない父親像を象徴するとしたら(さすがにそれはないと思うが)、かなり偏った男女像だなあ、と思う。


こういう映像を観てしまうと、勿論ある程度の傾向はあるにせよ、女性に、何らかの神格化した性格をあてはめてしまうような、良くない傾向を感じる。
女性だって、優しさだけではない性格の側面を持つ人もいるだろうし、男性だって強面な人ばかりではない。映画で単純化した像を作るしかなかった、というのは分かるにしても、総て女性の治癒性、良い方向性への教育性で語るのは、女性神話みたいで気持ちが悪かった。


気にしない人は気にしないのかも知れないが、女性、男性の属性が顕著に描き分けられすぎていて、あまりに単純化され過ぎて、なんか気分が晴れなかった。


ただ、状況の悪化に対して、復讐による行動が、さらなる事態の凄惨さ、悪化をもたらすのは肯定するので、その点、ラストの決断だけは評価したい。

[]

*1:正確には、救済されることを期待される。