luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

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応報感情は、行き過ぎの引き金に。自分が「一線を越える当人」にならないように。

私は知らなかったが、しまむら店員に「土下座」強要 投稿者に非難殺到、炎上騒ぎ : J-CASTニュース という事件が起きていたのですね。

投稿者は9月3日、北海道札幌市の「しまむら苗穂店」で撮影した画像をツイッター上に複数回アップした。そこに写るのは、売り場の床に正座し、手を膝の付近であわせて深々と頭を下げる2人の女性店員だ。

http://www.j-cast.com/2013/09/23184409.html

実際、この行為は強要罪の罪法定主義上の構成要件にあたると考えられる。
強要罪 - Wikipedia より。

(強要)

第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。

詳しい法律解説は 半沢直樹のマネ? 「しまむら」店員への「土下座強要」は法律的にどうなのか? - 弁護士ドットコム あたりをご覧ください。
なお、本事件は対象者の実名まで晒している事より、この個人が民事上の名誉棄損の損害賠償請求を行う可能性も否定できない。この行為によって、社会的地位の低下、名誉の毀損行為が成立していると思われるからである。

ツイートはほぼ同じ文面だが、いずれも「店長代理●●と平社員●●」(●は編集部によるもの)と実名まで晒している。

http://www.j-cast.com/2013/09/23184409.html

で、少々気になったのだが、本事件ではこの事件行為を行った本人特定を行った、という行為もあったようですね。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131007/crm13100721230014-n1.htm より。

土下座強要の問題では、義憤に燃えたネットユーザーによる犯人捜しが始まり、行きすぎた追及があった。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131007/crm13100721230014-n1.htm

上記のように書かれているし、実際調べると分かるが、自らを警察当局のような行為者と勘違いした、公的機関のような行為に走った個人も居たようだ。
ちなみに、警察機関など公的機関がそういう行為に対して、まあ、良い感情は持たない事は、実際に捜査機関がどういう仕事をしていて、それが法律的にどういう裏打ちをされているかを考えればわかるのではないかと思う。
元々、刑法等で違法行為を捜査し、公的権力を以って捜査などを行っているのは、国民の中に「自立救済」の行為が芽生えたり、行ってしまったり、という事が起きないように、という意味もある*1
現行法規上では、「自立救済」は応報感情がエスカレートする可能性もあるため、禁止されている。いわゆる、仇討行為の禁止である*2
他人の違法行為を咎める感情は結構だが、その感情によって、自分自身が刑法上の違法行為者にならないように気を付けてくださいね。
公的機関の構成要員以外は、警察行為を公的に認められているわけではありませんので。

*1:実際に、行為者の身暴きをしたのは、「自力救済」ではないが、「自力救済の助力」を名目にしているケースもあると思う。

*2:弁護士平松英樹のマンション管理論 <連載第13回> 自力救済禁止の原則? あたりも参考に。