H7N9騒動 と 人権侵害 - 感染症診療の原則 を受けて、というわけではありませんが...。
過去の新型インフルエンザ(H1N1-2009)で、人権侵害の報道がされた事を覚えている方は、どのくらい居られますでしょうか。とある学園が、バッシングの対象になったりしました。
当時の雰囲気を思い出すために、kikulog を紹介しておきます。
これまでの報道を見るかぎり、「模擬国連会議」出席のために渡米した高校生にはなんの落ち度もないし、行かせることを決断した洗足学園にもなんの責任もありません。
彼らは、感染の危険も考えて、熟慮のうえで渡米を決めたのだし、また、帰国後は発症の有無にかかわらず学校に行かずに自宅待機することを「あらかじめ」決めていたそうです。また、発症した生徒は手洗い等の感染防止策にも充分に気をつけていたとのこと。そこらのおとなよりもよほどきちんとした計画に基づいて行動したのだと思います。また、それだけのことをしてでも参加したかった貴重なイベントだったわけです。学園に抗議するなどの馬鹿げた行為が少なからず見られるとのことですが、本当に馬鹿げています。いや、本当に。そういう人たちは「明日はわが身である」ことに気がついていないのでしょう。そういう人たちは、万が一自分が感染したら、「すべて自分が悪い」って言うんですかね。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1242986473
感染症というのは、人に伝染するものですし、そもそも感染力が弱かったりしたら、重篤な影響*1が出ない限り、話題にもならないでしょう。
そして、人から人へ感染する病気である以上、別の国で発生している感染症はいつか、自分の国へやってきます。自分たちだけは無垢でいたい、という願望なのかもしれませんが、いつか誰かが感染するかもしれない、そしてそれは自分かも、という考察を持っていないと、始めの頃に感染する誰かを過剰に叩いて自己満足の心理に耽溺するという行為に、手易く染まることになります。
過去に、この学園を叩いた記憶*2のある方は、自分が「時と場合によっては、人の人権を踏みにじる行為に加担するかもしれない」という事を、心の片隅に記憶しておいて欲しい、と思います。
多くの人は、人権侵害の事件があったときに、「誰かが引き起こした事件」と考えがちで、「自分自身が引き起こすかもしれない」とは考えないものです。
しかし、総ての人が「相手の人権に留意する」と考えて行動しているのであれば、人権侵害の事件などは引き起こされないわけで、実際に事件が引き起こされている以上、総ての人間の中に、濃度の濃さ薄さはあれ、その内容が存在している、と考えるべきだと、私は思っています。
昨日の話ではありませんが、H7N9 の人感染の話が出始めた関連として、過去の歴史に学んでおく事は、決して無駄ではないと思い、本日の記事を書いてみました。