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恐怖政治は、善政の顔と共に来る。

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数字が正確ではなく、記述も甘いなどの評判の書籍ではあるが...。
しかし、後世、恐怖政治の存在として知られるようになった彼が、最初の政治では国民のために善政とも思えるような経済、労働政策を行った、という点*1には注目すべきだと考える。
政治的に恐怖をもたらす政治家も、最初の一歩を踏み出すには民衆の支持が必要であるし、その意味では、最初の政治は民衆の目に薔薇色の未来を空想させていた、と考えておくべきだろう。


その際に重要なのは、その政治手法と、思想の中に、恐怖が芽生える源流が存在しているか、否か、という事だ。総ての政治家が人気を得たときに、自らの恐怖の種子を国民に植え付けるわけではない。
自らの能力を過信せず、自らの政治行動の一部が恐怖をもたらす事を知っている政治家は、自らが起こす政治行動に制約を課し、危険な内容を慎重に排除する。
重要なのは、好景気や耳障りのよい約束に、目を曇らせず、耳を塞がず、危険な内容に明確に「ノー」と言える姿勢を保つことだ。


その際に重要なのは、やはり、何と言っても「言論の自由」による行動であり、政治への批判精神であろう。問題視すべきは、それを妨害しようとする政治家であり、政治勢力である。
それを放置したときに、何が起こるかは、日露戦争以降*2、特に日中戦争*3第二次世界大戦時の日本がよい歴史の教訓になろう。


愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという。...今一度、歴史を振り返る事を忘れずに。

*1:なお、その後、この功績をなした人は去り、独裁政治と恐怖の行動へと歩みを進めていくわけだが。

*2:辛勝だったのにも関わらず、自らの勝利に驕った民衆は賠償金が取れぬ、とデモをし、それらの思想は以後の好戦的な思想に繋がっていく。国の進路を誤ったのは、この時期からだと、私は考えている。故に日露戦争を妙に美化する人を、私は危険視する。

*3:なかなか良い資料を見つけたので紹介しておく。→ 南京事件−日中戦争 小さな資料集