『http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012091690104343.html』より。
ワクチンと自閉症をめぐっては１９９８年、英国の研究チームが、はしか、おたふくかぜ、風疹を予防する三種混合ワクチンと自閉症発症に関連があるという論文を発表。２０１０年には研究方法に問題があったなどとして論文は撤回されたが、その後も自閉症とワクチンや、ワクチン防腐剤の水銀化合物との関係を指摘する論文が出ており、ワクチン接種を避ける家庭も少なくない。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012091690104343.html
...あれ？ 論文撤回は知ってましたが、最近、水銀化合物の関係を指摘する論文って出ていましたっけ？
いわゆる、ワクチン忌避論を言う人が、具体的な最近の論文を指摘しない*1ので、最近出ている話は聞かないが。...もし出ていたのなら、論文タイトルを書いてほしいな。web版なら注釈入れるのも簡単でしょ*2。
で、本論文の結論。
ワクチン接種や防腐剤が自閉症の発症率を高める科学的な根拠はない
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012091690104343.html
記事によれば、自閉症の母集団と、そうでない母集団のワクチン接種の状況を調べたんですね...。それぞれの母集団に於いて相関関係があるか、接種数を比較したようです。もし、影響していた場合には、片方のワクチン接種数が多いはずで、有意な差が見られるかどうか、統計的に確認したということですね。
Results
For MMR vaccination, the OR was 1.04 (95% CI, 0.65–1.68), and no significant differences were found for the other vaccines. For all of the prenatal, perinatal and neonatal factors, there were no significant differences between cases and controls. Furthermore, regarding the presence of ASD, MMR vaccination and the number of vaccine injections had ORs of 1.10 (95% CI, 0.64–1.90) and 1.10 (95% CI, 0.95–1.26), respectively, in the conditional multiple regression model; no significant differences were found
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0264410X12005828
For MMR vaccination, ... no significant differences were found for the other vaccines. → 「MMR ワクチン、特に他のワクチンと相違する結果が出たわけではなかった。(自閉症等へ影響を与えていない。)」基本的に同じ表現が続いていますが、「"no significant differences were found" (私の和訳：注目するような違いは、見つける事ができなかった。)」という事なので、対照群において、ワクチン接種数に有意な差は発見できなかった、ということですね。
...和訳は苦手なのだが、「"no significant differences" = 注目するような違い(まあ、テクニカルタームなんで「有意差が無い」で済ませても良いとは思いますが。)」という表現で良いですかね...。
お金がないので、全文は読んでいないが、"Abstract" を読む限りでは、そういう内容の論文のようです。
n = 189、189名の自閉症などの障害がある母集団と、n = 224、224名の、精神的障害が無い母集団を比較しての論文です。...英文中の用語で「ORs(crude odds ratios)...オッズ比」とか、「95% CIs(95% confidence intervals)...95%信頼区間」等の統計用語が出てきてます。
関連リンク
『http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012091690104343.html』
『The combined measles, mumps, and rubella vaccines and the total number of vaccines are not associated with development of autism spectrum disorder: The first case–control study in Asia - ScienceDirect』
