luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

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現実に生還する必要性

キャスト・アウェイ』という映画がある。
海上で嵐で遭難した一人の男性が、懸命に生き抜いて生還する話。
生還の途中で、一人ぼっちの彼は孤独を紛らわすために、仮想の話しかける友達*1を作る。生きるためには友人が必要。話しかけるため相手が必要。
...まあ、彼が島から元いる世界へ帰還するのは、恋人がいるからで、恋人は四年たって別人と結婚していた*2わけですが。


東日本大震災後、地震津波の記憶は遠くなりました。
あの一瞬にして生じた、巨大な災害に関しては、大きな悲しみと共に、どうやら過去に折り合いをつけられそうな気がしています*3
しかし、次に起きた原子力発電所の事故に関して、そして、それに伴う放射性物質の話題に関しては、実際の事態収束の長期化もさることながら、その事実を把握することすら、満足にできていないように思います。
特に、その事実関係に関して、自己の思考で昇華できないでいるのか、自己の妄想ともいえるような認識像に固執し、その像を共有したり、その像で考えることを他人に共用する例が、多々見受けられます。
冒頭の「仮想の友人」のように、基本的に人は同意し、会話できる相手なしには生きていることができません。それは理解できますが、そのために、本来の事実と違う認識像に固執すれば、冒頭の主人公のような遭難でなくても、現実社会とは別の「孤島」に自分をおくことによって、現実社会から乖離した「何処か」にいるのと同様な状態*4になると思う。
主人公は四年、孤島に留まるのを余儀なくされたおかげで、恋人は別の人と結婚し、前に生活していた世界から、彼の居場所はなくなってしまった。そのようなことが、同じ事をしている人々に起きるように思います。
できれば、ちゃんと現実把握ができるような精神状態に復帰し、また似た「誤った現実像」を共有する仲間を作るために、「現実とは違う何か」を喧伝し続けるのは止めて欲しいと感じています。


...そろそろ、孤島と、仮想の友人から、卒業する時期*5なのでは?

関連リンク
《キャスト・アウェイ》 (2000年,アメリカ)

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*1:実際にはバスケットボール。ちなみに企業名なので、そのな目を連呼するのは、ちょっと興ざめ。『《キャスト・アウェイ》 (2000年,アメリカ)』で記事になっていますが。

*2:まあ、死んでしまった、とされてしまえば無理も無い。

*3:なお、今後の復興に関しては、まだまだ課題は山積みだと思う。特に震源近くの被災地に関しては。

*4:たとえ同じ認識像を共有する仲間がいても、現実から乖離していることは変わらない。

*5:あの映画には隠しメッセージがあって、実際には守護天使が見守っていた、というメッセージがあるそうです。『《キャスト・アウェイ》 (2000年,アメリカ)』での、最後の部分。同様に、現実世界でも、ちゃんと正しく現状認識して、現実に向き合えば、きっと見守り、支持してくれる人はいるはずだと思います。