今回紹介する書籍は、過去にも紹介したが『[勇気ってなんだろう (岩波ジュニア新書)]』である。
この書籍自体はジュニア新書という、若者向けの書籍であるし、成人の日を迎えるような年齢*1に重点的に読んでもらいたい本でもあるのだが、ある意味、この書籍自体は年齢の高い世代に、自己の頑迷さを解くように薦めたい書籍でもある。
この書籍で紹介されている方は、野口健さん、山本譲司さん、蓮池透さん、仙波敏郎さん、高遠菜穂子さん、の五名と、イスラエルで兵役拒否運動をしている数名です。
いずれも大勢に従うことを潔しとせずに抗議し、そして、それ故に誹謗や制裁も受けています。
ちなみに、こう書いていると、たまに勘違いする人が出てくるので前述しておくと、彼らの主張の総てを肯定しているわけではありません。野口さんや、蓮池透さんの発言の一部には、かなり違和感を感じることも多いですし、他の方も含め、非常に非論理的な内容と思える発言も中にはあります。
ただ、そういう内容の当否は別として、日本自体は、その当否と離れ、全体の基調に従わない発言を強く否定する傾向が強いと感じています。いわゆる、パターナリズムです。
それは、まるで「赤信号をみんなで渡ったり、青信号をみんなで渡らなかったり、するようなもの」だと思っています。赤信号で止まったり、青信号で進んだりしている分には良いのですが、みんながしているから、という理由で、実情と違う行動をしていたとするなら、愚かだと思います。
そうならないためには、どれが正しいか、ちゃんと根拠(エビデンス)を集めて検証し、考察して行動すること、そして一般に流布されている情報が間違っていると思うのであれば、発言すること、それが必要なのだと思います。正しいことは何かを知ろうとすること、それが大事なのだと思います。
ちなみに、世間一般の「高遠菜穂子さん」の認識って、多分、拉致された事しか知らないんじゃないんだろうか。イラクの人道支援の内容とか、インドでマザーテレサの施設で働いていた事とか、本当に知られているんだろうか。
現地での活動があり、それ故に、現地の人が解放活動に尽力してくれたから解放されたわけで、実際、政府の活動なんて何の力にもならなかった、と聞いている*2 *3 *4。
ちょっと気になったので、参考リンクを貼ってみました*5。政府の対応については、書籍にも出てきますけど、コリン・パウエル氏の報道*6 *7とかもありましたね。
参考リンク
高遠菜穂子さんの活動
『イラク情勢Watch vol.73 09年5月06日 現地写真リポート「高遠菜穂子さん、5年ぶりのイラク」』山本譲司さんの活動
『http://www.videonews.com/on-demand/291300/000936.php』イスラエル兵役拒否活動
『http://www32.ocn.ne.jp/~ccp/in/transaction/yeshgvul.html』
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*1:若い、というのは、既存の世代と異なる行動を採りがちだし、それを許すべき層だと思う。柔軟であり、変化の源泉。
*2:「自己責任」とか発言した方は、ご本人の自己の活動の結果として、まさに「自己の責任ある行動の結果、解放された。」という視点では、多分考えていないと思う。
*3:まあ、本人を PTSD に陥らせた、そういう行動自体は、大勢に埋没していれば、本人は叱責を受ける羽目にはならないだろうという、「無責任」の成せるものだとは思うけど。
*4:「無責任」と言えば、大量破壊兵器の事実がない、とされた後も、その行動の責任を問われていない人が、政治家にもいるようにも思うけど。
*6:穏当な事しか行わない人の保護しかしない、としたら、国に大きな権限と力なんて不要だと思います。これは、ちょっと皮肉。 インタビューが英文しか見つかりませんでしたが、ここをどうぞ。→『Colin L. Powell On Release of Japanese Hostages | Scoop News』 なお、翻訳されたものは『http://www.ne.jp/asahi/stoned.head/sh-home/kakod/apr204.html』にありました。
*7:NGO って、そういう政府がしないようなこと(その中には、大っぴらに行動できないものも含まれる)をやっている、という側面があると思いますので。無論、怪しい NGO もいますけど。