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江戸時代をよき時代と語るのは、幻想

今日は短めに、こんな記事を紹介する。
http://www.asahi.com/national/update/1217/TKY201112170155.html』より。

新宿区百人町の科博新宿分館。人骨がびっしり並ぶ人類研究部の収蔵庫で、人類史研究グループ長の篠田謙一さんが説明する。

江戸時代の成人の平均身長は男性が150センチ台半ばで、女性はそれよりも10センチほど低い。日本のすべての時代の中で最も小柄だった。栄養状態が悪いうえに狭い長屋などに密集して生活したストレスの影響と考えられるという。

http://www.asahi.com/national/update/1217/TKY201112170155.html

勿論、戦乱がなかった、とか良い面もあったとは思う。
しかし、飢饉などは普通に発生していたし、研究成果から、体格が小柄であり、厳しい環境下で生活してことが伺える。
少し前に、生活環境を江戸時代にすれば、という噴飯モノの理論が、twitter 上で流行したことがあったが、この研究を見ても、それが幻想だと分かるだろう。
江戸時代の人口は、『速水融『歴史人口学で見た日本』 - 井出草平の研究ノート』によれば、増減せずに 3000万人くらいだったそうだ*1

調査の残る百二十五年間で全国人口にはそれほど大きな変動はない。二千六百万人プラスマイナス百万人くらいのところでずっと推移する。

http://d.hatena.ne.jp/iDES/20061128/1164728772

それは、ある意味「増えることができなかった」という意味でもあると思う。要は、楽な時代ではなく、ストレス多く、過酷な時代だった、という事だ*2
結局のところ、過去が幸せな時代だった、というのは基本的*3には幻想である。
...過去は、過酷な時代、というのが常識なのである。

関連リンク
http://www.asahi.com/national/update/1217/TKY201112170155.html
速水融『歴史人口学で見た日本』 - 井出草平の研究ノート
http://www.jinrui.ib.k.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi/osteoarchaeology

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*1:参考書籍は『[歴史人口学で見た日本 (文春新書)]』。

*2:参照サイトにも似た考察あり。都市で人口減少が起きている。農村では増加。相殺状態になっている。

*3:政治体制や、社会的事情により不幸を新たに創出することはありえるので、そこの部分は保留にしておくが。