luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

確証バイアスが生む、フクシマ・ハートの幻想(それは差別の源泉にもなる)

「福島で心臓に穴の空いた子供が産まれてる」の噂に対してのcraft_box渡部真氏の意見 - Togetter』より、私のコメント。

ちなみに、この件を放射線に絡めて、既に運動してしまっているようだけど、つまり、そうすれば相手*1は、ストレス要因などの一般的疫学事実を元に反論する事になる。となると、運動家たちはともかく、その子供と母親*2にとって、運動家の神輿(みこし)にされるのは、とても危険。

何故なら、自分の個人的事情が、そういう運動によって白日の下にさらされることになる。個人に対する批判も受けるだろう。

さらに、そういった攻撃の防衛反応から、本来の「普通にありえる先天性の障害」が、「絶対に**が原因に違いない」という信念に変わってしまう事さえありえる。(心理学のブーメラン効果) > http://health.goo.ne.jp/mental/yougo/032.html

医療過誤等の訴訟で、実際には医療のミスではなく、医学的事実の不確定性で起きた内容を、ミスと思い込む事例を色々みてきました。 その親子も、同じように、変な信念形成を受けたり、白日の下で論点になったりして、傷つくことになるのではないか、と懸念します。

もしかしたら、そういう事自体を覚悟して、なのかも知れない。でも、私の感傷的感想なのかも知れないが、できるのなら、それは止めて欲しい。人生が、さらに不幸になると思う。

http://togetter.com/li/226147

運動とは、『すでにチェルノブイリ・ハートはフクシマ・ハートとなり始めている現実の報告 - 「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。』に書かれている内容の事だ。

チェルノブイリ・ハートならぬフクシマ・ハートという事態。心臓に穴が開いている状態で生まれてきているお子さんの報告が届きました。郡山での話です。フクシマハートネットワークというグループも立ち上げるそうです。そのブログの紹介文と僕に届いたメールです。

http://ameblo.jp/orionorio3/entry-11094876444.html

http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/455d107931a1b346d7d8e755ddc05da4

私自身は、ブーメラン効果を考え、直接的に批判する事は避ける*3
よって、ここに記事を書くに留めるので、身近な人に、こういった運動が芽生えたら、できれば疫学的事実を参考にし、慎重に事態を把握することを推奨する。


少し、この内容に関しての周辺知識に関して、調べた内容が合ったので、下記に記載する。
「フクシマ・ハート」に(別の意味で)仰天する人たち - Togetter』のコメント欄より、私のコメント。

そもそも、胎生期には胎児の「総て」に穴があるんですからね。 > http://www.jhf.or.jp/q&adb/3-1/2939j.html

胎児循環の図。> http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/taijijunkan.pdf (肺呼吸をトリガーに閉まるみたいですね。
> http://kusuri-jouhou.com/pharmacology/circulation.html (資料は循環器系の問題についてですが、出生における変化の説明もあります。)

http://togetter.com/li/224531

詳細な内容を、下記にさらに引き出すと。

・胎児の血液循環
胎児が母親の胎内にいるときは、まだ呼吸をしていないので肺は機能していない。胎児に必要な栄養や酸素は胎盤を通して入ってくるのである。そのため、胎児の血液循環は成人とは異なっている。

胎児の心臓には卵円孔という穴があり、この穴を通って血液が流れている。また成人の場合は右心室から血液が排出されると肺に向かうが、胎児の場合は動脈管を通って大動脈に入る。

卵円孔や動脈管は出生すると全て閉鎖してしまう。しかし、卵円孔や動脈管などの閉鎖が不十分であると、肺へ行く血液の量が減るため様々な障害を引き起こす。これが先天性心疾患である。

http://kusuri-jouhou.com/pharmacology/circulation.html

これらの疾患は、大体 100人に 1人 の一般的なものとされています。
原因は妊娠時期の多様なもので、各リンク先にも多数の方より、実体験が寄せられていることでも分かるが、放射線に限定されるわけでもなく、また、福島に限定されるわけでもない。
よって、この疾患の内容を「フクシマ・ハート」と名づける事は、明らかに現象への特定原因の確証バイアスを生む。
最初に、私が言及したとおり、つまり、特定原因に固執する思考を生む流れができる、ということだ。


これは、実際に子供に同様の疾患がある親のページ『先天性心疾患について』からの引用だが。

心房中隔欠損症では遺伝の可能性が、他の先天性心疾患に比べて高いと言われているようです。でも、それも、確かなこととは言えません。実際のところ、大半は原因不明と言われているのです。

http://www.moon.sannet.ne.jp/naruto2/contents/senntenn.html

多種多様な要因は、結局、結論としては原因不明を意味する。どの原因が思い当たるか、なんて、大半の親には分からないし、おまけに、それに考えを及ぶ思考は、自身の焦燥感や、自己叱責の思考を生むだろう。
リンク先でも、この方も「でも、決して、それが原因ではないことが多いことを忘れないで下さい。起きてしまったことを悩むより、今後子供のためになにができるか、悩むほうが、ずっと、子供のためになるのですから・・・」と語っている。


最近、私も徒労感に囚われることも多いのだが、めげていても始まらないので、自身についてちょっとだけ語っておくと、特定機能への障害は、私も当事者の一人*4なのね。
この事が語られるたびに、私自身にも、もやもやとしたものが生じます。
ある意味、個人感情なので、この内容まで人に同意してもらおうとは思わないが、そういう思いを抱えて生きている人間が、ちょっと似た境遇の子供の不幸を嘆く姿*5を、ちょっとだけ想像して欲しい気がします。


ちなみに、私は直接関与したものとしては、民事訴訟の会社関係の訴訟しか知りません。が、実際の訴訟は個人がかかわるには、かなり過酷なものだと思います。言葉の応酬もかなりきついものです。
...普通の人がかかわるには、辛すぎる。実際には、日常生活をし、闘病しながら、訴訟も、という事になるわけで。
何か語っていて、自分自身のスティグマも意識されてきてしまったので、意見はここで終えて、関連の疾患への情報リンクを紹介して締めたい。

フクシマ・ハートへの言及*6
「福島で心臓に穴の空いた子供が産まれてる」の噂に対してのcraft_box渡部真氏の意見 - Togetter

関連:フクシマ・ハート運動の情報が掲載
すでにチェルノブイリ・ハートはフクシマ・ハートとなり始めている現実の報告 - 「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

「フクシマ・ハート」に(別の意味で)仰天する人たち - Togetter

関連:胎児の循環系に関する資料
http://www.jhf.or.jp/q&adb/3-1/2939j.html
胎児循環
循環器系の医学資料(出産時の変化への言及あり)

子供に先天性心疾患がある親のページ
心房中隔欠損症の子どものために
先天性心疾患について

差別への懸念など、各方面の意見表明
DAYSから視る日々: 【編集後記(2011年12月号)】「原発は、あらゆる形の差別を引き起こす要因にもなる。それに取り込まれてはならない」(広河)
鎌田劇場へようこそ!(83): かまたみのる公式ブログ 八ヶ岳山麓日記*7

心疾患に関するセカンドオピニオンの頁(日本心臓財団)
http://www.jhf.or.jp/q&adb/category/c3-1.html

*1:訴えた先。多分、政府か東電になるのではないかと予測する。具体的には書かれていなかったので、今は推測に過ぎないことを申し添えておく。

*2:今のところ、親子のみ? ならば引き返せる。...引き返せるのは、大げさになっていない、今のうちだよ。

*3:元々の直接の当事者ではないのだから、そこまで介入するのは、私には越権だと考える。ただし、中間で煽っている人間がいれば、それに対しては批判したいと思う。

*4:ちなみに、念のために申し添えておきますが、私は出生時の障害ではありません。なお、この内容の詳細を語るのは基本的にしません。

*5:関係の事例では、片瀬さんを始め、いろんな人が自己の体験を詳細に語っていて、頭が下がります。

*6:自己コメントの引用元。

*7:新たな神話などいらない、と語っている。