luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

覆水盆に帰らず。予言されていた事実に気づかない限り、問題は解決されない。

ひとまず、日大練馬光が丘病院の件は、今回で一時締める事*1にする。


まず一言述べておきたいのは、今の私の現状認識です。
例の民法604条の申出書の件、どう考えても最後通告、つまりは退散通知にしか見えない。賃貸借契約がどのようになっているのか、詳細は不明だが、法務事項を盾に申出書を送るのは、民事訴訟の送達書や、内容証明郵便の連絡文書と同じ意味を持つようにしか見えないので。
要するに、区側の現実的な対応項目の改善*2がない限り、現在の状況の変化は訪れないことを示している。前日の『http://medg.jp/mt/2011/08/vol256.html』に記されているとおりに、撤退を撤回するのが最善策なのだから、行動すべき内容は決まっているが。
そして、区側*3が現実的に改善策を示せないのであれば、必然的に、結果が決まってしまう。
また、この事から、非公開の二年間の空白*4で、どういう交渉がされたのかが、区長の医療政策の拡充の話*5との絡みも含めて、知りたいし、そこが今の状態がもたらされた原因にもなっていると思うのだが、ここは明らかにされるかどうかが不明である。
場合によっては、政治的なスキャンダルになる可能性だってあるのだと思うのだが...。


そして、この交渉内容が良く分からないので、私も、話す内容の歯切れが悪いのだが、多分、問題点は医療崩壊に関する深刻さを感じているかどうかの温度差にあるのだと思う。それが実際の行動の差になって現れた、という事だ。
区側は、病院側が現実の深刻さの認識に対して、でも現実的に撤退はしないでしょ、と甘く考えていた節はないか?
そして、日大病院側は実務を行っている側で、シビアにモノを考えてた、ということなのだと思う。数字とか、実際の数値がないので明確に示せないが、現実的には私学付属病院は、大学の学費を、病院の経営の赤字補填に当てている現実がある。
学生数が減り、公的機関からの補助が見込めないとするのであれば、現実の良質な医療機関であっても、閉鎖せざるを得ない、ということだ。
「90億 = 4.5億×20年」の赤字を、先日上げた『http://medg.jp/mt/2011/08/vol256.html』を挙げていたが、これを解消できない場合の現実の解、という事である。


これら医療機関が抱える問題点は、ブログ『新小児科医のつぶやき』でもよく論じられ、かつ単純構造ではないので、一言ではいえない。病院が公的資金で赤字を補填している構造も、よく論じられている。ほとんど、必然の構造だ*6
先日などは救急体制について論じられていたが、これらも安易な要請がなされるのであれば、「基本有料。実際に緊急要請だったら、支払った金額の後日払い戻し。」という制度を作っても良いと思っている。まあ、今日は、細かい話は端折るが。


今回に関しては、厳しい現実に、医療者ならぬ、医療機関が退散し始めた*7、という事に尽きると思う。
そして、こういう事態は、他に影響する。悪影響が波及しないことを願ってはいるが、現実に何が起きるかは、分からない*8


なお、最後に、参考文献を一点、挙げておく。
未読であるのであれば、ぜひ、この機会に一読を薦める*9
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*1:どう考えても、日大病院側と区側の行動に依存する話です。特に日大病院の希望が汲まれない限り、倒産する事業を行えない道理のため、こちらでは基本的に関与できず、感想しか述べることができずに、哀しいので。

*2:つまりは、それで病院の経営状態が明確に改善されるような結果が出る内容。

*3:正確には、区が、他の関係者に何らかのアクションを起こさせることができなければ。

*4:日大病院側が撤退の意思を示してから、申出書を送るまでの間。

*5:それで、区長選を戦ったのですよね?

*6:本日のエントリーが日大病院の件でした。リンク先は→『2011-09-09

*7:正確には、大学当局の経営判断として、そういう判断をした、という事。

*8:脅しのつもりではないが、こういう感覚は、本当に温度差があるから、なかなか理解されにくいとは思う。

*9:別に購入せずに、図書館で読んでも良い。だが、必読と思う。