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luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

被成年後見者の医療行為の意志決定について。

前振りとして、昨日のツイートを記載。

@Mihoko_Nojiri ちょっと補足です。セミナーでやったかも知れませんが、成年後見の場合、後見人の債権管理は、後見人がやってくれますが、医療行為の同意権は、後見人ありません。医療行為の意志決定でもめる事もあるので、ご注意ください。
posted at 2011-07-19 17:19:02

RT @lay_0: @rt_luckdragon @Mihoko_Nojiri 病院側が後見人の役割を分かってくれてない場合が多いので「とりあえず判子ついてくれたら良いから」と言われることが多いです。お断りしますが、身内がどなたもいらっしゃらない場合は本当に困ります。
posted at 2011-07-19 20:04:34

RT @mikeexpo: @rt_luckdragon 知らなかった、勉強になりました。
posted at 2011-07-19 20:05:23

成年後見人の医療行為の同意権の議論は、日弁連が見解、希望を発表して、かなりたつ。実際の法律の議論の際には、慎重に考察することが必要である、と宣言されているのみ。一方で、医療は同意なければ基本は医療行為できず、宙ぶらりんの状態。
posted at 2011-07-19 20:09:14

今のところ表面化していないが、認知症患者の医療事故事例が一件でも発生すれば、訴訟が起これば、この件、大きな議論を呼ぶはず。法務関係者も、医療者も、表面的には平静を保ってはいるが、この件、状況に依ったら、爆弾に点火する導火線の可能性が出てくる。しかし、安易に決定できない...。
posted at 2011-07-19 20:12:53

まあ医療行為が、不良状態でもない限り、医療行為の同意自体が、被成年後見人の健康を害さないとは思うので、問題は起きにくいとは言え、医療ってのは、確実性がない行為な訳で。親族が残っていれば良いけど、存命でなくなった時に、遠戚の知り合いしか残らないと、色々怖い事態が発生しそう..。
posted at 2011-07-19 at 20:17:49

http://twilog.org/rt_luckdragon


過去、『元気なうちに、家族に老後の意思を伝える。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック』で記事にしていますが、コメント再掲載の形になっていますので、現状の確認資料として、まとめ直しました。


まず、参考資料ですが、『成年後見制度における「身上監護」の検討 能手歌織 (民事法専攻・法政専修コース)』に、『成年後見制度の改正に関する要綱試案補足説明』に対する考察として、以下の文があります。*1

入院契約や診療契約締結の代理権を成年後見人等が行使することについては,立法者見解によっても,その職務範囲と考えられるが,医療行為に対する同意・決定権を成年後見人等が有するかについては問題がある。現場では,医師が成年後見人等に対して医療行為に関する同意を求めることも多く,特に職業後見人の場合には判断の難しい問題となる。
立法者はこの点について,一時的に意識を失った患者や未成年者に対する医的侵襲の決定・同意全般に関わる問題ゆえ,成年後見の場面についてのみ規定を導入するのは時期尚早とした。そして当面は社会通念のほか,緊急性がある場合には緊急避難・緊急事務管理等の一般法理にゆだねることとし,今後十分な議論と検討を経て解決すべき問題だとしている。

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/hosei-1/note.pdf

今件の内容については、実情として、成年後見人には、医療行為の同意権はない、としている*2


これを受けて、2005年に日弁連から、『成年後見制度に関する改善提言』が出ているのが現状です。


実際、検討事項に挙げながら、成年後見人の権限にしていないのは、この医療行為の同意権が、色々な状況を生む可能性を考察しての事でしょう。
本人の意志がどうか、については、安楽死(リビング・ウィル)などでも出てきますが、意志がはっきりしている時に書面にしても、その後の変化についてどうか、という意見があります。老いが進んで、意志が変わった可能性が懸念されている訳です。


成年後見制度を利用していると言う事は、本人の老化が著しく、医療行為の発生も非常に一般的だと言える。
ただ、後見人に医療行為の同意権を付与したから事態が改善するか、というと、安易にそうも言いきれない*3だろう。


なかなか難しい問題であるが、今後も資料等を調査しつつ、現状を考察していきたいと思う*4

関連リンク
成年後見制度における「身上監護」の検討 能手歌織 (民事法専攻・法政専修コース)
成年後見制度に関する改善提言 日本弁護士連合会
http://www.h-fukumura-office.jp/category/1248289.html


http://www.horitsu-sodan.jp/s_center/firtokyo.html
http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/110304.html
公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート

*1:ちなみに、読みこむと、この資料は実際の起きたケースなども紹介していて、色々興味深い内容になっています。

*2:表現としては、「同意権を有するかについては問題がある」という表現となっているが、同じ事。

*3:成年後見人自体は、法務関係者が行う事が多く、債権の管理ならともかく、医療行為の考察に関しては不慣れだと思われる。実際、医療行為の本人判断がどうか、とかいう場面は、多分、本人以外の判断は困難だと思われる。親族が判断する事になるが、親族も本人の意志を明確に知っているかは、疑問もある。

*4:簡単に、結論がでる話とも思えない。