luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

昨日のクイズ、解説編。

まあ、分かった方は、本日のエントリーは特に読む必要はありませんが。
書籍にあるように自然頻度に直してみるため、少し実態数を与えて、検算してみましょう。


昨日エントリー『ちょっとクイズ、リスクを把握するために。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック』の、例題です。

乳がん偽陽性についてのクイズ
(1) 40歳の女性が乳がんにかかる確率は 1%
(2) 乳がん患者が、X線検査で陽性と出るのは、90%
(3) 乳がんではなく、それでも検査結果で陽性と出るのは、9%
(4) 検査結果で実際に陽性と出た患者が、本当に陽性なのは?

例えば女性が 1000人居たとします。
(a) 確率 1% なので、真の乳がん患者は、10人ですね。
(b) X線検査陽性検知 90% なので、検知は、9人です。*1
(c) 誤って陽性になる確率が 9% ありますので、実は乳がんではない 900人でも、81人が陽性反応になります。
(d) 検査結果陽性は、(b)+(c)=90人。真の陽性は 9人。

...つまり、10% が本当に陽性で、それ以外 90% は陽性反応ですが、判定は誤りです。


偽陽性は、こういう風に表れるのですね。
で、某乳がんの検査に関して、医師たちが懸念を示したのは、実際の検査感度は違う数字にはなりますが、こういった事が起きて、実際にはがんでもないのに、二次検査の間まで、もしくは二次検査以降も、悩む人が出るからです。
また、これは乳がんですが、似たようなケースに、 HIV感染検査があります。ハイリスクグループでは変わってきますが、通常の対象者では似た傾向が出ます。


実は、これは感染症対策の「リスク・コミュニケーション」の分野で重要な課題でして、実際感染してもいないのに、検査で陽性に出たために、自暴自棄になり、本当は陰性なのに、不特定多数との性交に至り、本当の陽性になった、という笑えない話が実際にあります。
つまり、リスクを理解していないと、そして、不確実性について、ちゃんと考えていないと、そういう危険性にさらされる、という事です。


感染症診療の原則』あたりでは、よくその話がされてたりするので、サイトを見てみてください*2

*1:陽性で、検知されます。1人は陰性のため、検知されません。←この件は、後のエントリーで取り上げてみましょうか...。

*2:先日挙げた書籍でも、メインストーリーで語られています。