luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

懸念、過剰な反応は、良い結果を生まない。 謝罪を受けて、望まれる行動についての、ささやかな願い。

今回の件、BBC は謝罪し、公式映像は削除された。


しかし、まだ騒いでいる人たちがいる。また、それを煽っている人たちが散見される。...彼らに、この記事を見せたいと思う。英文の記事、英国の記事。山口さんが、2010年01月04に、93歳で亡くなった際、書かれた記事だ。


Tsutomu Yamaguchi


記事の内容は、読んでもらえばよい。私が要らぬ解説をするより、自分で読むか、機械翻訳でも良いので、和訳を読んでみるとよい。...良い思慮にとんだ記事だと思う。こういう記事が、多分、まだあると思う。


さて、読んで頭を静めることができたら、今、私の頭にある懸念について、知って欲しい。
今回、映像が削除されたことにより、実際の表現が、本当はあまり過激に山口さんを貶めるものではなかった、という事実が分かりにくくなった。
分からない、となると、人は「自分の感情を満たすものだった」という形に、記憶を再構成するものだ。
けれど、今回に限っては、それは止めておいてほしい。
そして、非難のために、あなた方が設けた壇上から、静かに下りて欲しい。何故なら、さらなる非難は、とある隠れた火薬庫に火をともす可能性があるからだ*1


過去の不幸な戦争で、日本と英国は、敵同士として対峙した。日英同盟ではかなり良質な友好関係もあり、また、現在では、基本的には友好的関係である英国だが、第二次世界大戦では、英国との間には、あまり良い記憶は眠っていないのだ。
元々、原爆自体、英国ではなく、アメリカに落とされたものではないか。また、その際に、英国人で被爆した人*2もいる。
そして、被爆者に対する扱い、という形では、山口さん自身、被爆者として認識されたのは、かなり経ってのことである。また、日本国政府被爆者の扱いだって、ほめられた話ではないではないか。


それを放っておいて、BBC や、英国に噛み付いていると、過去の日本が英国におかした過ちの記憶を、英国人から呼び覚ましてしまうかもしれないのだ。*3


過去の事を、英国人自身は忘れていないと思う。しかし、普通の状態では、それを隠し、あくまでも紳士的に振舞ってくれていると思う。今回の番組司会者、スティーブン・フライも同じく。
しかし、相手が過度に騒いでいると感じたら、きっと、過去の傷が疼きだす。それに思いをはせて、どうか、心を静めて欲しい。


こんな寓話を知らないか?
ヤマアラシは、互いに近づくと、互いの棘で、互いに傷つけあう、という話を。相手に近づきたかったら、そして、相手とより良く話し合いたかったら、自らの棘を寝かせ、もしくは脱いでから、相手に近づけば、棘が刺さる事はない。
相手が謝罪したという事は、相手が棘を脱いだ、という事だ。ならば、こちらも棘を脱ぎ、今後のより良い関係について話し合えばよい。


それが、今、相手の謝罪を受けた、こちらがする事だと思う。

*1:実は、とあるところでは、既に発生している。英文記事のコメント欄などで。

*2:#BBC 政治学者 小菅信子@nobuko_kosuge女史らの語る、BBCの『原爆ネタ』関連雑感とそれへの返答ツイート - Togetter』の小菅さんコメントを、参照のこと。

*3:これも『#BBC 政治学者 小菅信子@nobuko_kosuge女史らの語る、BBCの『原爆ネタ』関連雑感とそれへの返答ツイート - Togetter』の小菅さんのコメントにあるので、どうか読んでおいて欲しい。