luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

赦しと悲しみの中に、何を見るのか。まさに宗教の映画、ですね。映画「あなたを抱きしめる日まで」

ネタバレ描写がありますので、純粋に愉しみたいのなら、観てから、どうぞ。

この映画、冒頭からきついです。
昔はこんな感じだったのでしょうか。罪を犯したのだから、罰を受けるのは当然、って。逆子で医療的な保護を受けさせないって、下手すりゃ母子ともども亡くなったりしませんか? 医者呼ばないし...。
後、一週間に毎日仕事という事は、キリスト教なのに安息日なしですか?*1
それ以外も色々酷い。結局、調査で明らかになるのは、違法契約と、人身売買、証拠隠滅だし。都合の良い書類だけ残っているという凶悪さ。フィロミナの相手役、マーティンが怒りに燃えているように、それこそ「地獄に堕ちろ」ですね。これ、キリスト的にもどうなんだろうか,,,。過ちを犯した相手には、嘘を言っても良い、とか老修道女は言ってしまうし。
ただ、物凄くここ重要で、一瞬が大事なので、瞬きせずにじっと見て欲しいのですが、そういう行為を悪びれもせず凶悪に言い放つヒルデガードに、「でも、私はあなたを赦します」と言うんです。
ここで、ヒルデガードが心を射抜かれたのか、ハッとする表情を見せるのですね。まるで、信仰の重要な部分で、フィロミナに打ちのめされたかのように。
私には、ヒルデガードの行為が、自らの純潔を基に、相手に凶悪な加害行為をしているようにしか見えなかった。それも、「罪を罰するのは神の行為」である筈なのに、それを自らが代わって行っているという、罰当たりとしての行為を。
そして、それをさらにフィロミナに赦される、という、何か宗教者としても、負けてしまっているような...。


勿論、宗教としてみると、色々違う感想は出るのかも知れませんが。少なくとも、私はキリスト教徒ではないので、人間としては、それが素直な感想です。人間としては、人権の観点で、どうみても老修道女たちが悪魔に見える。
特に、神に変わって、実行為を成している部分、それで良いのかなあ、と非常に疑問を持ちます。


宗教者にとっては、赦しという重要な観点の作品なのでしょうが、ちょっと、そこが気になってしまう作品でした。

[]

*1:宗教を良く知りませんが、修道女は良いのかな。