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HPVウィルス・基本知識編

何故か、デマというか、このウィルスの性質を把握しないままに、不思議な事を言う人が多いので、基本的な内容ですが、まとめてみました。
感染症の専門家ではないので、総てを網羅する内容ではありませんが、基本的な部分を記載しました。

基礎情報

(1) ワクチンは、HPVワクチンであって、子宮頸がんワクチン、ではない。

確かに高リスク型HPV用のワクチン*1ですので、高リスク型HPVが引き起こす、子宮頸がんを予防する目的が強い、とは言えます。ただし、高リスク型HPVは、同時に他の部位のがん発生にも関与し、咽頭がん、陰茎がんの原因にもなりますので、子宮頸がんだけ、とは言えないのです*2
各ワクチンはそれぞれ HPV の各型に対応したモノであり、そこを忘れてしまうと、考察を間違えます。その部分を不正確に述べると、結論も変わってしまうので注意してください。

(2) HPV*3は、「性行為に類する行為」で感染する*4

HPV感染はコンドームだけでは防げません。
勿論、型ごとに感染の状況も変わるとはされていますが、接触によっての感染のため、性行為に付随して感染した部位に接触していれば、感染するためです。性器だけではなく、「ウィルス感染した部位に接触した場所総て」が、感染経路です。
一番肝心なのは、コンドームを完全に装着してさえ、感染を防ぐことが出来ない、という部分ですね。それゆえに、感染を自覚的に防護する事が難しいのです。

(3) HPV感染=部位の異常発生、ではない。

これも、情報が混乱し易い原因になっています。HPVは感染しても、時間が経つと排出されてしまい、自然治癒の状態になる事があります。また、感染が感染部位の異常を即時に引き起こすわけでもないため、感染したかどうかを本人が検査なしで自覚するのは困難です。
ただし、だからと言って放っておいて良いか、というとそうではなく、一部は長期感染して軽度異形成(前がん状態)、がん状態、と症状が進んでいきます*5

(4) がん検診を行えば、ワクチンは不要か。

検診というのはリスクがありますので、気軽に何度も行えるものではありません。
また、検査で異常が無くても、その時に症状が出ていないことを意味しているだけで、(3)で触れたように、長時間経ってから、がんの発生がある事を考えると、検診でがんを見つけるのは運にも左右されるように思います。
前にどこかでも触れましたが、感染を完全に防ぐことが難しく、検診も色々な事情から有効に働くとは限らない*6のであれば、一番有効な手段となり得るのは、ワクチン接種、という事にもなります。、

本日は、ざっとですが、HPVウィルスの基本情報を挙げてみました。


下記は、子宮頸がんに特化したサイトのようですが、参考に挙げておきます。
子宮頸がん.jp | みんなの疑問に答える「子宮頸がん」情報サイト

*1:各タイプあり。ワクチンによって違う。

*2:ただし、男性はウィルス消失の割合が高く、がん発症の確率が低い。

*3:ヒトパピローマウイルス

*4:コンドームで感染を完全に防ぐ事は出来ない。

*5:低リスク型の場合には、がん以外の病変を引き起こします。

*6:感染防御が難しければ、過去に検査で感染していない事が分かっても、今回の検査で感染が検知される事もあり得る。そして、そこで癌が検知されなくても、将来に発生する可能性はある。