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時に判決文は、人の人生を映す。東京地裁平16.9.17判決(判例タイムズ1209)

判決文は、ネット上では見つからなかったので、該当の判例タイムズを読んでもらうしかないと思います。
そもそも、この判決、事件名が長いです。さすがに長文なので、打たずに、目次から引用しますね。
判例タイムズ社:判例タイムズ1209号(2006年7月15日号)目次

2(東京地裁平16.9.17判決)
在留資格を「留学」として上陸許可を受けて本邦に上陸した原告が,在留中に結婚したこと を理由に在留資格を「家族滞在」に変更し,その後離婚したため,在留資格を「人文知識・ 国際業務」に変更する旨在留資格変更許可申請をしたものの,これが認められずに不法残留 となり,退去強制手続が進められて,出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく原告か らの異議の申出に理由がない旨の裁決がされた場合に,原告が,上記裁決当時において,国 費留学生として来日し,適法に本邦に上陸して,勉学にいそしみ,勤勉かつまじめに暮らし ,日本人男性と深い愛情に結ばれ,夫婦同様の生活をし,近々法律上の婚姻をする予定であ り,同法19条1項に違反する行為を反復継続していたという素行不良な点もあるものの, おおむね善良な市民として日本の社会に定着していたということができること及び原告の不 法残留期間が短いこと等の事情の下では,原告に在留特別許可を付与しないとした被告東京 入国管理局長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったとして,上記裁決が違法であるとして 取り消された事例

http://www.hanta.co.jp/hanta/hanta-1209.htm

勿論、判決文は事実を明らかにする場ではなく、争点について裁可する場ではあるので、判決文に載らなかった状況がどんな内容だったのかは、分かりません。ただ、判決文には、この裁可を行うにあたっての争点の弁証に対しての考察が、判決文の形で記載されており、それもなかなかの長文、かつ興味深い一文になってます。
その中で、この事件の原告が、被告である東京入管管理局に対して、訴え出た「退去強制令書発付処分取消請求」に於いて、各々の事情を説明しており、その内容で、原告の今まで生きてきた内容の一部が明示される判決文になっています*1
その中で、原告が日本でそれなりの苦労をし、日本での生活態度も良く、日本での継続的な生活を希望し、若干の問題はあったものの、おおむね平穏な生活をしていた、という内容が記載されています。
判決文を読みながら、詳細な原告の争点説明で、原告の人生の一時期の内容を掲示されているような気分になった判決文でした。時に、そういった判決文が載っている事もあるのだなあ、と思いつつ、本日の記事で紹介する事にしました。
機会があれば、該当の判決文を読んでみてください。...ちょぴり、じわっと来るものがありました。

*1:ちなみに、プライバシーの問題から、原告名は個人特定情報にはなっていません。