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luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

過去記事「今日は、民法604条についての補足。」の訂正。記事に大きな誤りあり。

今日は、民法604条についての補足。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック の訂正記事です。
日大練馬病院の裁判判決があり、過去記事の参照もあったので気が付いた誤りです。
同病院の撤退話があった際に、区に「民法第604条の規定による、契約時期満了と判断」により契約終了*1を通告した話の解説で、建物のみ契約ならば*2特別法の「借地借家法」により、30年ではないか? とした記事でした。
裁判記録を閲覧した訳ではないので、元契約が建物のみだったのか、土地建物だったのかは判明していません。産経の http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140917/trl14091721470006-n1.htm は、下記のように「土地建物」なんて書いているので、どうにも不正確ですが、区の議事などをみると、どうも建物のみのようですね。

日大は平成3年、「30年は病院運営を続ける」との前提で、練馬区所有の土地建物を賃貸する基本協定を結んだ。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140917/trl14091721470006-n1.htm

http://ikejiri.exblog.jp/23399154/ より、2011年9月22日の区議会特別委員会の部分。

民法の604条を根拠に20年が最高だと言っておりますけれども、借地借家法においては、建物賃借についてはこれを適用しないと規定されておりますし、

http://ikejiri.exblog.jp/23399154/

と、建物のみに関して適用する借地借家法について言及しています。


しかし、関連記事をよくよく見ると、薄々わかってきますし、直後の発言に怪しい部分があって、そこを読めば変だと気が付くのですが、借地借家法は契約時に施行されていません。
契約は http://ikejiri.exblog.jp/15954812/ によれば、以下の通り。

第3条 貸借の期間は、平成3年4月1日から平成33年3月31日までの30年間とし、特段の事由のないときは本契約は、更新するものとする

http://ikejiri.exblog.jp/15954812/

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03HO090.html は冒頭に記載がありますが、以下の通り。

借地借家法
平成三年十月四日法律第九十号)

成立以降に、法律は施行されますので、実効力が生じたのは契約を行った後になります。故に、建物契約でも民法604条が有効です。借地借家法は有効ではありません。その部分に於いて、私の過去記事は誤りです。
なお、http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html の条文も記載しておきます。

第七節 賃貸借

     第一款 総則

(賃貸借)
第六百一条  賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(一部、省略)

(賃貸借の存続期間)
第六百四条  賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。
2  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html


しかし、区の議事録には下記の記載があったのですが、ここの部分、誰も怪しいと思わなかったのでしょうか。法律が成立より前に存在していた契約に影響を及ぼすなんてことは、基本的にあり得ないのですが。

借地借家法においては、建物賃借についてはこれを適用しないと規定されておりますし、借地借家法がこの協定を結ぶ後であったということであっても、少なくともこれはさかのぼって適用することについて何ら問題はないと私どもの解釈を持っておりますので、

http://ikejiri.exblog.jp/23399154/

お前は何を言っているんだ、と現場にいたなら言ってしまいそうな主張です。
後法によって過去の行動が規定出来たら、恐ろしい世界ですよ。過去に許容されていた行動が、法律改正したとたんに未来ではなく、過去の行動も規制されるという事ですからね。
金利貸し付けのグレーゾーン利息の時に、よくこの系の追及がされていましたが、最高裁の見解では法律が変わったのではなく、法が誤って適用されていたので、訂正するのは問題では無い、という解説がされていましたね。


という訳で、今日の記事は自己記事の訂正の話題でした。
案外、区の人も契約時期と法律成立時期が近接していたので、勘違いしてた、と言うのが真相じゃないでしょうかね。まあ、担当の人ではないので、実際にはどういう状況であったのかは分かりませんが。

*1:日大の代理人弁護士の「申出書」による。

*2:状況が不明瞭で、建物のみ契約とは判明していないので、断定を避けた記事になっていますが。