luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

身近にあるように描きすぎて、地味すぎてしまったかな。映画「すべては君に逢えたから」

ネタバレしてます。未見の方は、観た後で。

結構、物語自体が淡々と進んで、日常的過ぎたかな。描かれている事は日常的な内容ではないのだけど...。
後、もうちょっと個性的な顔立ちの人を揃えた方が良かったかも。...物語はそれぞれの登場人物が織りなしており、それぞれの別の物語が同時に進行しているのだけど、それらの登場人物が同じ場面ですれ違ったり、会話してたりするのだけど、ちょっと見分けにくかった。
時間の制約もあって、各登場人物の描き込みは少ないので、感情移入も今一つ。


ただ、それでも心に残る物語はありました。
時任三郎さんの余命短い父親が、自分の息子の二分の一成人式に出るエピソード。
男の子は、父親の病状を知らない故に、色々嫌な事も言うんだけど、父親の職業を気に入っていた、という話や、父親に余命の告白、ほぼお別れの告白の会話をされて、「嫌だ」と泣き出してしまう話が、とても心に残りました。
一方で、養護施設の女の子、自分の両親の存在を気にしているエピソードも、かなり心を打ちます。
本人、一生懸命両親の存在を信じ、一生懸命それを証明しようとしている。子供は残酷だから、同級生で本人の心の痛み知らずに、「あなたには親が居ない」なんて言ってしまう子供も居るんだよね。
本人にとって、それが心の一番「大切な思い」かもしれないのに。
話の終わりで、サンタさんの手紙を母親の存在と結び付けて、心の平安を得たみたいだけど、まだまだ苦悩の日々は続くのでしょうね...。
一方で、大切な親を病魔で失い、一方で、待ち続けてる親は姿を現さない。何か色々な事を想ってしまいました。
子供にとって、どちらの意味でも親は選べない、って事。時には哀しい状況になっても、子供の力や行動ではなかなか状況を変えることは出来ないし、行動に制約も付く。
子供はどうしても受け身にならざるを得ないから、自分で行動できないだけ、ストレスは溜まるよね。仕方の無い事とはいえ、辛いと思う。


ちなみに、遠距離恋愛のエピソードだけは、他の登場人物と絡まないのだけど、これ、まさにクリスマスエクスプレスのロングバージョンみたいなエピソードだよね。東京駅*1という事もあり、そんな連想をしていました。
実際の遠距離恋愛は、エピソード中に女性の上司が告白するように、うまくいかない事が多いのだと思う。
実際には色々な邪魔が入るし、気持ちが離れてしまった時に、身近な人が割り込んできてしまう事とかで壊れてしまう事も多いんだろうね。きれいごとでは済まない、という影の部分もちゃんと描いていて、そこはとても良かった。CM は、きれいな部分*2だけしか描いていないから。
ちなみに、大昔の駆け落ちの人の消息が分かるエピソードが良かった、という感想もあるみたいだけど、個人的には今一つでした。演技を抑え過ぎているせいか、何か心に響いてこなかった。
後、養護施設の田舎に帰る女性と、会社社長の出会いとハッピーエンドは、面白いは面白い*3のですが、ちょっと作られた感があって、今一つ肯定できませんでした。秘書に「DVD の選択だけは素晴らしい」なんて嫌味な言い方しているし...。


映画「ラブ・アクチュアリー」を目指したそうなんですが、ならばもうちょっと物語を印象強く描いてほしかったかも。あまりに地味に、さりげなく描きすぎて、あまり心に残らなかったです。
一部には心を打つ内容もあるのに、ちょっと残念。

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*1:CM の設定はそうですね。実際の撮影は名古屋駅だそうですけど。そういえば東京駅で撮影が許されるのは珍しいそうで、そういう意味で言えばレアな映画になるのかも知れませんね。

*2:勿論、障害も描いては居るんだけど、ラストのカタルシスのためだから。CM の設定では。まあ、その意味では、映画のエピソードの話の筋もそうだけど。映画では登場人物が努力して、その溝を受けようとする行動が描かれていて、良かった。

*3:DVD の選択を絶賛していたら、それは秘書ではなく、自分が出会っていた女性だったという...。