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何も知識なしに白紙で観て良かったです。- 映画「陽だまりの彼女」

今回はネタばれありなんで、もし、観ていない人が居たら、観てからにした方がいいと思う。

これ、世間的には結構知られた作品だったらしい。私はあまり知らなかったけど。
で、小説もあるみたいなんだけど、映画を DVD で最近、観たんですね。今回は上野樹里さんが出ている、映画版を観ての感想です。


最初、この映画では彼女に秘密があって、というので、どういうことかな、と思いながら観ていたんですが、この秘密、二段構えだったんですね。
私は最初の「保護される前の記憶が無い」というのが真の秘密だと思ったんで、彼女が何か原因不明の疾患に罹っていて、それが再発するんじゃないか、とハラハラしながら観ていたんですが、そんなことはなく、ヒロインは自分の秘密の原因を実は知っていて、そこに驚愕の事実*1が隠されていた、というのが本当の秘密だったんですね。
よく考えたら、この秘密、始まった頃から色んなエピソードで伏線が張られていたんですね。
彼女は、初登場で主人公のみに自己紹介するし、身のこなしが異様に軽いし、妙に勉強が出来ないし、微妙に髪がボサボサの素朴な雰囲気*2出しているし、熱い飲み物が異様に苦手で...。後は何かあったかな?
で、これ観返してみると、物凄く切ないです。秘密を知った後は、主人公がヒロインと離れて十二年も経ってしまっていて、それじゃあ、アレに対して考えれば、物凄い悲しいことじゃないか、と思ったり。


そろそろ、真の秘密について触れましょう。彼女は、主人公が江ノ島?の岩場で救った猫が、人間になった姿*3だったんですね...。
そして、再開したのは良かったけど、猫の一生で十二年ってつまりは寿命な訳で、やっと会ったら、自分の寿命が終わりに近づいていた、という。結婚して新婚になったは良いが、指は痩せて、指輪は落ちるし、髪の毛は抜けていくし...。そして、ついに日常生活で、倒れる事態に*4
まさに、猫の一生の終わりのようになっていく。
新婚旅行だって行きたかっただろうに、自分の寿命の終わりに気付いた彼女は、気合入りまくりの朝食を主人公に作って、姿を消してしまう*5。そして、彼女の寿命の終わりを示すかのように、過去に彼女と関わりがあった人の記憶から、彼女が居た事実が消えていってしまう...。
主人公は、過去に自分の助けた猫が付けていたお守りを手がかりに、彼女の記憶を保ったまま、彼女と再会し、真相を知る。そして、彼女との最後の一日を精一杯過ごそうと行動する...。
私はこの時の映像を観てて、視野が涙で一杯になってしまった。
本当の真相を知っていれば、猫の寿命、死期が近い状態で再開した事実は、彼女にとって実はとても辛いことなのに...。
最初から、それを知っていれば、主人公も彼女との時間をもっと作ったはず...。まあ、年齢が若すぎて、結婚とは出来なかったでしょうけど。
そして、その彼女が好きだった、ビーチボーイズの「素敵じゃないか(Wouldn't It Be Nice)*6」は、このストーリーをなぞるかのような歌詞だったりして...。

Maybe if we think and wish and hope and pray it might come true
多分僕らは思うんだ、願って望んで祈るんだ、それが実現したらって。
Baby then there wouldn't be a single thing we couldn't do
そうすれば、できないことなんてきっとない。
We could be married
僕らが結婚できたなら、
And then we'd be happy
それでとっても幸せさ。

http://turedure4410.blog32.fc2.com/blog-entry-928.html

彼女との最後の日を過ごす中で、主人公は言います。運命に抗い、彼女の記憶を失うことに抗い、彼女の事で記憶を一杯にする、と。
そして、彼女の最後の時が訪れ、主人公は最初に出てきた自宅と似た場所で、一人きりで目を覚まします*7。私はここで終わりだとてっきり思っていたので、最後は何かが起こることを匂わせて終わるのかな、と思ってました。
でも、ここで彼女との旅行プランの時に話していた、英語のことわざ「猫に九生あり(A cat has nine lives.)*8」が効いていたんですね。
彼は、あの彼女の元里親、元警察官の夫妻が、「自宅に猫が来た」と大喜びする場面*9に出くわします。
そして、転生?した彼女との再会が...。
また十二年間のみなのかも知れませんが、再度の彼女との暮らしが多分始まるわけです。そして、本当に九回あるのなら、多分、一生添い遂げる事も*10...。
そして、ラストに彼女の好きなビーチボーイズの「素敵じゃないか(Wouldn't It Be Nice)が再度流れて、終わります。切ないけど、猫の転生と人間との暮らしの話。ハッピーエンドで終わって良かった...。
最後に締めるべきは、歌のここの部分かな?

Happy times together we've been spending
二人で過ごした幸せな時間にも、
I wish that every kiss was neverending
全てのキスにも終わりが訪れないとしたら、
Wouldn't it be nice
素敵じゃないか!
Maybe if we think and wish and hope and pray it might come true
多分僕らは思うんだ、願って望んで祈るんだ、それが実現したらって。
Baby then there wouldn't be a single thing we couldn't do
そうすれば、できないことなんてきっとない。

http://turedure4410.blog32.fc2.com/blog-entry-928.html


しかし、こうやって観てみると、最後はハッピーエンドになることが示唆されているような気がするとはいえ、なかなかハラハラする映画ですね。実際、真緒の記憶が全員から消えてしまった時なんかは、これで映画が終わるんじゃないかと、思った。



最後に、おまけ。

しゅう君を猫よろしく見事に助けるシーンは、真緒の正体を示唆させるシーンとして効いていたのと、印象的なシーンな事もあって、結構好きなシーンです。見事に悲劇にもならず、真緒の不思議な雰囲気を醸し出すシーンにもなっていましたし...。


*11
[]

*1:というか映画や小説特有のファンタジー要素ですね。何せ、その事実がアレだとは、思いもよらないもの...。

*2:よく観ると、この髪型、アレに似ているような気がする。

*3:だから、最初に保護された時には全裸であり、身寄りは無く、記憶も無い。それはそうです。その前は猫だったんだもの...。

*4:この時に職場の上司の想いを知ることになる。そして、上司は彼女の正体を知る...。

*5:動物って、自分の死期を悟ると、挨拶をして、姿を消すイメージがあります。

*6:参考 素敵じゃないか - Wikipedia http://turedure4410.blog32.fc2.com/blog-entry-928.html

*7:まあ、弟も居ましたが。

*8:参考 猫に九生有り<猫のことわざ・故事成語・等

*9:もしかしたら、彼らにも何らかの記憶の片鱗が残っていたのかもしれませんね。物凄くはしゃいで、あの猫グッズの山...。

*10:ただ、そうすると、子供を持つことは無理な気がする。十二年後にリセットされてしまう...。

*11:こっちのシーンの主人公だけ自己紹介するシーン。真緒の正体知っていると納得なんですよね。だって、自分を助けた人へのめぐり合いなんだもの...。