luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

原発の非常事態から約三年。だが、基礎知識の周知の書籍はまだまだ必要だ。ただし...

先日の菊池先生の原稿*1を読みつつ*2、某突っ込みの会『きくまこ先生の新しい本の原稿を読んでつっこんだり、くさしたりする会 - TwiPla』には参加したものの、個人の「突っ込み・まとめ」の原稿完成に手間取っているうちに、送信の機会を忘れたので、修正案の送信は諦めて、書籍の存在意義というか、方向性について考えてみた。
内容にはまったく触れない*3が、放射性物質関係の知識へのサポートが、書籍として、どのような位置を占めるか、について。


私は企画を聞いた頃は、「今の状態で知識があまりない人は、今まで何を学んできたのだろう。そういう人が新たに知識を得るために、書籍を手に取るだろうか。」という感じで、懐疑的だった。
しかし、今でも知識の薄い人が、学ぶのを怠けていたように思うのは間違いだろう。また、震災直後の心理的な圧力感が減ってきた今、そういう知識を得てもストレスに感じない人が増加しているようにも思う。つまりは、そういう書籍を求める層はある*4
もう一つの憂慮事項として、「今後、誤った情報の伝播が減るという予測も立ちづらい事」がある。
最近の「美味しんぼ」の展開*5や、新聞の正月の記事*6を見ていると、実はそういう層を当て込んでいるのではないか、という状況も散見される。
こういう明らかに知識が無いという層にアピールする記事が存在を許されているという事は、そういう内容でも売れるという事であり、そういう層も存在している事の証明になる。悲しい事だが、まだまだ誤った情報の被害者が出るという事にもなる。
そういう層への、誤情報伝播の対抗策として、基礎知識の復習のような書籍が必要なのではないか、と思う。
参考書籍を添えて正しい知識を得る下地を作れば、珍妙な情報拡散に耐性ができるし、自分の見方を変えたい、自分の認識に間違った傾向があるので、正しい傾向に直したい、そういう人々が出てきたときに、読むべき書籍として示せると思う。後、ネットではなく印刷された書籍に信頼を置く層は、一定数存在するから、そういった層への広報にもなり得る。


ただし、そうなのではあるが、書籍はそこにあるだけでは、うまく活用されないのでは、と感じている。それを考える根拠は、現在に至る期間を経ても、そういった知識を得なかった層の、心理的背景だ。
知識を得なかった層には、多分、そういう知識を解説してくれる層、もしくは知識に対して、忌避したい、逃げたいという感情(心理)があったのだと思う。それは、数年が過ぎ去っても、対象者の心の底にわだかまっている可能性がある。もしくは、書籍を手に取った時に、対象者の心の表面に、それが生じる可能性がかなりあるのではないか、と思う。
とするのであれば、書籍は、そのまま手に取ってもらえることを想定するのみではなく、そういった人が、「心理的に信頼関係を築いている人に解説してもらえるような使われ方」も、想定しておいた方が良いのではないか。つまりは、心理的なケア・サポーターに、教科書や、講義のテキストとして使ってもらえるような書籍、である。
人間が態度を変えたり、自己の知見を深めるために、新たな知識を得ることは、科学知識に距離感を持っている人には、それなりの抵抗感があると思う。そういった時に、自分が信頼する人を指標*7として、必要な知識を得る、というルートも考査に入れる必要がある。
そういった、放射性物質に関する、初期知識講習会などが開けるような一般的な教科書としての内容が、活用される際に必要なのだと思う。


なお、既に各所で指摘されているが、放射性物質*8に関するデマを含めた、思想を交えた情報発信は、反ワクチンや、ニセ科学、ニセ医療などと同様に、定期的定型的な、特定思想集団の活動になっていくと思われる。
消費者庁、原発事故の食品購入への影響を調査へ | 農家こうめのワイン で指摘されているように、放射能関係のデマのパターンや流れは農薬に向けたそれとほぼ変わりがありません。」という事であるから、今後は気の長い、地味な*9闘いになっていくと思われる。
気が滅入る話ではあるが、他のトンデモ事項と同じレベルに落ち着いた、と見ることもできる。

「まず残留農薬食品添加物の世界でどのようなことが起きたか、起きているかを調査するのがいいと思います。 」

http://ameblo.jp/vin/entry-11466245316.html

上記の助言に従い、地道にデマ潰しをしていくしかないようですね...。


該当書籍については、発売された決定稿を読んで、推薦文を書こうと思うが、今日はひとまず、ここまで。
期待して、発売を待つことにしよう。

*1:きくまこ先生の新しい本の原稿を読んでつっこんだり、くさしたりする会 - TwiPla を参考に。

*2:まだ未発売なので、また、完成本の話でもないので内容には触れません。

*3:内容で想像してしまう人も居るかもしれないが。

*4:ネットで検索しろと言う事は容易いが、情報の偏在傾向も影響して、検索が困難な人も多いように思う。そういう層には、基本的知識の書籍は必要だ。

*5:美味しんぼ。「忘れたころに大衆誌がやってきて全部リセットさん」 - Togetter 美味しんぼ。たらの芽採り描写を間違う。 - Togetter 美味しんぼ。たらの芽採り描写、後日談。 - Togetter 毎週恒例 美味しんぼ604話⑰~しばいたろかw - Togetter に詳しい。

*6:拝啓 東京新聞特報部様 この記事の裏取りはなさいましたか? - Togetter 東京新聞 新年企画「新日本原発ゼロ紀行」(1)福島編 の問題について - Togetter とか。さらに http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2014010302100005.html という記事もある。多分、探せばまだある。

*7:これの性質を逆用されると、カルト集団の指導者に先導される、ニセ医療信仰集団みたいになってしまうのだが。

*8:俗にいう「放射能問題」と、それに絡めた反原発の思想的言動。プロパガンダ

*9:そして煽る側は、ある種の思想が透けて見える行動。「エア御用 wiki」がそうであったように。