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人の行動を見て、懸念される行動、そしてアドバイス。肥満について。 (3)

人の行動を見て、懸念される行動、そしてアドバイス。肥満について。 (2) - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック でコメントしていました、日本人のインスリン分泌能力についての医学資料*1が見つかりましたので、本日はその紹介です*2
最初に、『http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/sa/amaryl/1-1.html*3』より

白人の糖尿病患者の大半にインスリン抵抗性が認められるのに対し、日本人ではインスリン抵抗性がそれほど強くない症例であっても糖尿病を発症することが多いことを挙げた(図2)。また、日本人のインスリン分泌能は白人のほぼ2分の1であることがわかっているという(図3*4)。

インスリンが十分に分泌される白人の場合には、血中の余分な糖が速やかに脂肪細胞に貯蔵されるため、高度肥満にまで至りやすい。その一方、日本人はインスリンの分泌量が少ないため、血中に糖が大量に入ってきても脂肪細胞に蓄えきれず、過剰な糖がそのまま血中に残ってしまうことが少なくない。このため、日本人は肥満になる前のいわゆる“小太り”の状態で、糖尿病を発症しやすいと考えられる。

http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/sa/amaryl/1-1.html

上記の文章を読んでもらえば分かりますが、既に「肥満」の問題ですらないですね...。
元々は「日本人の多くは体質的に太れない、つまりは過食を体内に溜め込めず、高血糖を体脂肪に転化しにくい体質なんですね。...これ等の働きに、すい臓から分泌されるインスリンは重要な働きをしていまして、多くの日本人は過度にインスリンを分泌する事はできません。」という文章での、太れないという文脈での資料のつもりでしたが、その文章全体での「深夜に食事をしてはいけない、過度にインスリンを分泌する事は出来ないので」という文意を立証してしまっています。
まさに、その習慣が生活習慣病を発症し易くしてしまうから、忌避すべきである、という事になりますね。
資料は PDF ですが、『日本人はなぜ糖尿病になりやすいか? 〜治療戦略も含めて〜』でも読めます。


最後に遺伝子解析の話です。
アジア人に多い「肥満ではないのに糖尿病」 遺伝子で解明 熊本大 | ニュース・資料室 | 糖尿病ネットワーク』より。

 「CDKAL1」という遺伝子が正常であると、膵臓アミノ酸が円滑で正確に組み合わされてインスリンが作られるが、CDKAL1をなくしたマウスに高脂肪食を与えると、肥満にならずに糖尿病を発症することを実験で突き止めた。

 CDKAL1は日本人を含むアジア人の2型糖尿病ともっとも関連のある遺伝子のひとつで、この遺伝子に変異があるとインスリン分泌が悪く、糖尿病になりやすいことが分かっているという。

 これまでの研究で、2型糖尿病に関連する遺伝子を解析する大規模な疫学調査が行われ、日本人での糖尿病発症リスクとCDKAL1の一塩基変異多型(SNPs)の関連性も確かめられた。

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2011/015747.php

この遺伝子に変異があると、インスリン分泌能力が悪いという事ですね。
本エントリーでは、肥満の話として生活習慣を考察しているのですが、調べていくと、どうやら日本人は肥満の状態に達しなくても、そもそも肥満にならずに糖尿病を発症してしまう事が分かります。
特に女性に多いと聞いている*5のですが、「いわゆる肥満体型でもないのに、また、生涯に肥満状態になっている状態があったわけでもないのに、そういった病気になる人が結構いる」らしいのが、それらの人はこの遺伝子変異がある可能性*6があります。
記事にもリンクはあるのですが、論文は『Decoding infidelity linked to Type 2 diabetes | EurekAlert! Science News』と『JCI - Deficit of tRNALys modification by Cdkal1 causes the development of type 2 diabetes in mice』です。

関連リンク
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/sa/amaryl/1-1.html
日本人はなぜ糖尿病になりやすいか? 〜治療戦略も含めて〜

Homepage - Sanofi in Japan))』

アジア人に多い「肥満ではないのに糖尿病」 遺伝子で解明 熊本大 | ニュース・資料室 | 糖尿病ネットワーク
Decoding infidelity linked to Type 2 diabetes | EurekAlert! Science News
JCI - Deficit of tRNALys modification by Cdkal1 causes the development of type 2 diabetes in mice

*1:正確には、日本人のインスリン分泌能力の違いというより、病態の違いからの資料です。

*2:ちなみに、この連載はまだ続きます。

*3:利益相反情報に関する注意事項。提供は「サノフィ株式会社(提供時は、サノフィ・アベンティス株式会社)」です。リンク→Homepage - Sanofi in Japan

*4:ここでのサンプルは n=1(日本人) ですが。

*5:これは聞きかじりなので、性別の統計は、また見つかったら紹介します。

*6:勿論、多くの人はゲノム解析を行ってはいないので、的外れの場合もありますが。ちなみに、ゲノム解析は、こういう明確な確認がされている疾患関連の情報も判明してしまうので、問題点がある、と指摘されているのですね。情報による人間の選別があれば、問題が起きます。