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luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

実は西宮さんは「表現する術を持たなかった説」を唱えてみます。

「聲(こえ)の形」についての話。...続いていますが。
求めていたのは和解ではなく拒絶~普通学校で虐められた聴覚障害者が読んだ聲の形~ - Togetter』でも、『【衝撃作】 週刊少年マガジン(12号)の特別読切「聲の形」(こえのかたち)は必読です。とにかく凄い作品です - Togetter』でも、違和感について語られていますが、彼女*1が一見笑顔で許容しているように見えるのは、内心別の感情があっても、それを明確に表現する術を持たず*2、周囲とより良く会話を試みるために、笑顔をもって接するしか、その術を持たなかったからではないか。
彼女の気持ちは描写の中には、あまりないが、彼女が主人公と組み合いの喧嘩をする描写から、彼女が怒りを覚えていなかった、という訳ではない、というのは描写されている。
主人公にしか表現していないが。


今、読み返して思うのは、彼女は素直に笑っていたのではなく、それしか、周囲とうまくやっていく術をもたなかったのではないか、と考えている。イジメの渦中にあっても。
人は自分と違う存在とはなれない、成長や、変化することは出来ても。
多分、作中の彼女はそれが故に、自分の中の感情を主人公に、それも限定的にしか表現できなかったのではないか、と思っている。


作中で、彼女と会話できるようになったのは、結局、たった一人、主人公だけだった*3
だから、彼女はラストで、相手の手を握り返したのだと思う。

参考リンク
求めていたのは和解ではなく拒絶~普通学校で虐められた聴覚障害者が読んだ聲の形~ - Togetter
【衝撃作】 週刊少年マガジン(12号)の特別読切「聲の形」(こえのかたち)は必読です。とにかく凄い作品です - Togetter

いじめですら希望になる絶望というもの - Togetter
A.C.、ろう学校について海月氏、内田晴子氏、Hitokage氏、はなみ氏よりレクチャーを受ける。 - Togetter
忍足亜希子さんの語る、「聲(こえ)の形」を読んで - Togetter

*1:あれは主人公から見た、見え方ですが。本人の心理描写はない。あくまでも主人公の視野からの像。

*2:彼女は筆談しか表現の術を持たない。手話は理解できるかどうかは最後までは描写がないし、彼女が「声」としたのはノートの筆談だったから。

*3:そういう意味では、結構リアルだ。現実でも同じ苦しみを味わった限定的な人しか、会話できない事が多い。大抵は、分かったつもりで、相手を「解説」するだけだ。そこに会話は生まれていない。