luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

お金貸しの良心、そしてジャーナリストの良心。

まずは『多重債務と過払い金についてのメモ - Togetter』を見てくださいな。
...ちなみに、元記事は読む必要ないと思う。
間違いが非常に多いし、そもそも陰謀論に立脚した論旨を述べている文章は読むに値しないし、「そして武富士アイフルなどの消費者金融大手の上場企業が倒産した*1。」なんて書いて、未だに訂正していないところが、あまりに酷すぎる*2 *3
コメント欄に色々と書いたことだし、多くを語らず、参考資料と判例掲載に限ろうと思う。
そもそも、消費者金融専門誌に掲載の予定*4があったらしいので、記事の想定とする読者層は推測可能である。で、アイフルの誤りは多分、その読者層に奇妙な感情を引き起こすと思う...。
ちなみに、みなし弁済についての規定は『http://grayzoonkinri.sblo.jp/article/40643073.html』より。下記の厳格な規定があるのに、それを満たさなかったのが問題。

1.貸主が貸金業登録業者であること
2.契約の際、法第17条に定める書面を交付していること
3.弁済の際、法第18条に定める受取証書(領収書)を交付していること
4.借主が利息と認識して支払ったこと(ATMでの返済で元金か利息かもわからないで払った場合は認められない)
5.借主が任意に利息として支払ったこと(みなし弁済も利息制限法のことも知らないで借りたときは、任意に支払ったとはいえない)

多くの貸金業者は、条件を満たせていないので、訴訟で利息制限法違反を主張すれば、借金を減らすことができました。

http://grayzoonkinri.sblo.jp/article/40643073.html

元々、刑事罰とはならなかったが、民事上も厳しい条件下に於いてのみ許された内容であり、ある意味温情的な政治的配慮から出来た、「貸金業規制法」の43条も守れていなかった訳であるから、要は金貸し業の怠慢でもあるし、そういう現状に胡坐をかいていれば、経営危機にもなりうるということであろう。
以下に、アイフルの業務停止に絡むリンクを二つ。そして、関連する判例の説明へのリンク。あと、関連判例要旨を載せておきます。
そして、最後に改正され、順次成功されつつある改正貸金業法に関するリンクを記載しておきます。


そもそも、こんな低金利の時代に、貸し出しだけ高金利を望むって、どういう考えなのだろうか。 各自の給与が増加し、今後のお金の供給が大きく見込める*5のであれば、それなりの利息は見込んでも良いと思うが、今はそういう時代か?

アイフル業務停止関連
アイフル全店に業務停止命令(2006年04月14日)貸金業規制法/取立規制
http://japanlaw.blog.ocn.ne.jp/japan_law_express/2006/04/post_3562.html

最近の判例
グレーゾーン金利を最高裁が実質的否定(2006年01月13日)貸金業法43条

最高裁判例要旨

事件番号 平成18(受)1666
事件名 不当利得金返還請求事件
裁判年月日 平成19年07月17日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 その他
判例集等巻・号・頁 集民 第225号201頁
原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成18(ネ)530
原審裁判年月日 平成18年06月27日
判示事項
貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したことにつき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用が認められない場合と民法704条の「悪意の受益者」
裁判要旨
貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したが,その受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。
参照法条
民法704条,貸金業の規制等に関する法律43条1項,利息制限法1条1項
全文 全文

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=34946&hanreiKbn=02

事件番号 平成20(受)1729
事件名 不当利得返還等請求事件
裁判年月日 平成21年07月14日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 その他
判例集等巻・号・頁 集民 第231号357頁
原審裁判所名 東京高等裁判所
原審事件番号 平成20(ネ)2210
原審裁判年月日 平成20年07月16日
判示事項
 期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を否定した最高裁判所の判決の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者民法704条の「悪意の受益者」と推定することの可否
裁判要旨
 期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を初めて否定した最高裁平成16年(受)第1518号同18年1月13日第二小法廷判決・民集60巻1号1頁の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者民法704条の「悪意の受益者」と推定することはできない。
参照法条
民法136条,民法704条,貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの)43条1項,利息制限法1条1項
全文  全文

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37828&hanreiKbn=02

事件番号 平成23(受)307
事件名 不当利得返還請求事件
裁判年月日 平成23年12月01日
法廷名 最高裁判所第一小法廷
裁判種別 判決
結果 破棄自判
判例集等巻・号・頁 集民 第238号189頁
原審裁判所名 東京高等裁判所
原審事件番号 平成22(ネ)3784
原審裁判年月日 平成22年10月27日
判示事項
 いわゆるリボルビング方式の貸付けについて,貸金業者貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの)17条1項に規定する書面として交付する書面に個々の貸付けの時点での残元利金につき最低返済額を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等の記載をしない場合,当該貸金業者は,最高裁平成17年(受)第560号同年12月15日第一小法廷判決・民集59巻10号2899頁の言渡し日以前であっても,過払金の取得につき民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるか
裁判要旨
 いわゆるリボルビング方式の貸付けについて,貸金業者貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。)17条1項に規定する書面として交付する書面に個々の貸付けの時点での残元利金につき最低返済額を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等の記載をしない場合は,当該貸金業者は,同項に規定する書面には上記記載を要する旨を判示した最高裁平成17年(受)第560号同年12月15日第一小法廷判決・民集59巻10号2899頁の言渡し日以前であっても,利息制限法所定の制限を超えて利息として支払われた部分の受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用があるとの認識を有することについてやむを得ないといえる特段の事情があるとはいえず,過払金の取得につき民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。
参照法条
民法704条,貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの)17条1項,貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの)43条1項,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項,貸金業の規制等に関する法律施行規則(平成19年内閣府令第79号による改正前のもの)13条1項1号チ
全文  全文

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81798&hanreiKbn=02

改正貸金業法
法令ダイジェスト:グレーゾーン金利の撤廃など貸金業規制が強化される! | 法律情報サイト e-hoki
改正貸金業法完全施行に関するQ&A 全国青年司法書士協議会 編(Ver.2.0)

*1:問題になった記事より。検証は『「正義の味方」気取りな石井孝明 - いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」』などを参照してください。そもそも有意にならない論文が、なぜ参考になるのか意味不明だし。

*2:確かにアイフルは倒産を噂されるような状況で、武富士は実際に破綻したが、この一文さえ、事実と違う。まとめの最後で「経済記者で文献読んで木村剛の指導(笑)受け中央官庁の取材した私では、金融問題への思考回路と知識と関心と視点がまったく違ってしまう。」なんて言ってしまうのは、明らかに失言ではないのか? 本人が訂正されないなら、別に放っておくが。私も失礼な物言いに相手してあげるほど寛容でもないので。

*3:2012.11.23 補足:私的整理を「倒産」と言っている可能性の指摘があり、私がコメント付けましたが、一般的にそれを倒産というのは印象操作的だと思う。私的整理の際にも、散々各方面から「過払い金の支払い逃れでは?」と言われたのだし...。

*4:この記事ではなく、別の記事かもしれない。ちょっと、そこら辺は不明。

*5:要は、みんなが豊かな状態にあるなら、という事だが。