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他人の行動心理を推測する際の、誤りの話。

何か、一生懸命他人を誤解したい人が、時々現れる。
他人というのは、言葉をたくさん使って説明したところで、結局、本人の置かれている状況というものは、本人しか分からないものが多いし、そもそも、本人の境遇自体、全然分かっていないことも多い。
しかし、何故か、人は「他人に対して饒舌に語る」。
まるで、他人が「自分である」かのように。
これを心理学上の定義から述べたものが「根本的な帰属性の誤り」と呼ばれるものである。
原因帰属』より。

帰属には、その理由付けの方向性によって2種類あります。1つは内的帰属と呼ばれるもので、その言動を取った本人の性格などといった内部にあるものに理由を求めます。もう1つは外的帰属と呼ばれるもので、状況や運などその人の外部にあるものに理由を求めます。この2種類の帰属のされ方には、状況によって大きな傾向があります。それは、「帰属の誤り」と呼ばれており、必ずしも正しくないが多くの人が誤って帰属しやすいとして、状況によっていくつかのものが示されています。

http://www8.plala.or.jp/psychology/topic/kizoku.htm

要は、原因となる要因が内面(心や思考によるもの)になるのか、その人を取り巻く外部的な状況、偶然など運が左右して、結果がそのように発生したのか、分けられるという事になります。
一般的な内容としては、下記のようなものが挙げられます。

「基本的な帰属の誤り」というものです。これは、他者の言動の理由を推測する場合に、それが明らかに外的な影響を受けての言動であるにも関わらず、行為者の性格や態度などの内的なものに帰属させやすいという一般的傾向のことを言います。

http://www8.plala.or.jp/psychology/topic/kizoku.htm

まず、「明らかに外的影響を受けての」のところに着目してください。明確に外的影響を受けてさえも、私たちはその人の内面的な要求としてそれをした、と考えてしまうのです*1
...とすれば、「状況がよく分からないけれど、そういう結果が出ている」という行動の場合はどうでしょうか。
そうです。明らかな外的影響を受けてさえも、ですから、さらに内面的な影響*2からのものである、と推測してしまうのです。
こういった考えは、自分の考察に大きく影響を与えます。
事故調査委員会などの原因推測の場合にも、こういった内容は過大な影響を発生させるため、必ず考察されます。後づけで考えられるような理由は、熟考の末、注意深く除かれることになるのです。
...そういった内容の考察がない意見は、基本的には信用の置けないものとなる事になります。つまりは、誤った推論です。
こういった認識の誤りをもたらす、心理的な罠は、意識していないと簡単に人の思考を乱します。他人の行動が不明瞭で分かりにくい、という状況を意識していないと、この思想から、「他人をさも分かっているかのように解説する」ことになります。
そういう状況は、「他人を勝手に決め付ける」ことになりがちですので、多くが人間関係のトラブルに発展します。人が喧嘩別れしたり、絶交されたり、離婚の遠因になったりすることもあります。
そのため、私はそういう後付で勝手な理由を他人の行動の理由にする、という事は止めているのですが、何か、そういう事に対して、「一生懸命思い込みたっぷりな分析?」を披露する人は多いですね。
...ま、私は聞いたフリをして、失笑する*3だけですけど。
「非対称な洞察の錯覚」から学ぶ、人が互いにわかりあうための第一歩 | ライフハッカー[日本版]』という記事もあります。まあ、読んでみてください。


...まあ、他人というものは「分からない」のが普通だと思います。

参考書籍
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関連リンク
原因帰属
Jones, E. E. & Harris, V. A. (1967). The attribution of attitudes. Journal of Experimental Social Psychology 3, 1–24.
帰属 - Wikipedia
根本的な帰属の誤り - Wikipedia

「非対称な洞察の錯覚」から学ぶ、人が互いにわかりあうための第一歩 | ライフハッカー[日本版]

基本的に、自分は他人のことを理解でき、誰も自分のことを理解できない、と思い込んでしまうのです。

http://www.lifehacker.jp/2011/08/110825why_you_cannot_know_others.html

*1:関係論文に『Jones, E. E. & Harris, V. A. (1967). The attribution of attitudes.』というものがあります。どうやら、ここで読めるようですね。→『Jones, E. E. & Harris, V. A. (1967). The attribution of attitudes. Journal of Experimental Social Psychology 3, 1–24.』 参考書籍では、P.77 に記載。

*2:例えば、潜在的にそう思っているから、とか、わざとそうしたんだ、というような意図的な行動としての考察。

*3:それは、自分が勝手な思い込みを他人に押し付ける、という事も意味するので。