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持病としての闘病を知る(2) 「まずは最初の一歩、一番大事なこと、それは正確な情報把握」

正確な情報に対峙する勇気を。

連載ではないので、ずっとこの関連エントリーが続くわけではありませんが、今回もこのテーマです。
このシリーズが取り上げるテーマは、一時的な病気ではなく、生涯共に寄り添う「持病」のカテゴリに属する病気です。ですので、常に病気というものが傍らにある訳です。


みなさんは、一時的ではなく恒久的に病気*1と分類される内容が、自分の傍らにある生活というものを想像したことがありますか?


風邪とか、インフルエンザとか、怪我とかでも、基本的には完治します。
つまりは「直る」という事がある訳ですが、持病や障害は、基本的には一生その内容を維持します。
病気や障害によっては、その内容が良くなったり、悪くなったり、変化したり、様々な様相を示すと思いますが、つまり、その属性が自分の人生から無くなることはありません。
この場合に、一番大事なこと、それは、自分の病気に対して正確な情報を得ること。そして、その情報を正確なものとして維持し続けること、それが何よりもまず大事なことだと思います。
いわゆる、エビデンスに基づく医療、そして、エビデンスに基づく、自己の持病と付き合う生活。そのために、一番大事な事が、正確な持病の情報把握です。


一時的な病気なら、間違った情報把握でも、幸運にも病状の悪化に繋がらないかもしれません。風邪とかなら、間違った対処をしても大事には至らず、直ってくれるかもしれません。
しかし、一生付き合うような病気では、そうはいきません。
間違った知識は、持病を悪化させ、時に生命の危機に至らしめます。最近では、スティーブ・ジョブスが間違った知識によって、実は助かるかもしれなかった自分の命を失ったことが報道されました*2が、そういったことが、持病の場合には常に起こりうるわけです。
...常に病気が傍らに居るわけですからね。


とある人が言いましたが、「持病は、恋人や友人よりも、さらに一生付き合っていくもの。ま、ある意味で、一生の伴侶、だよね。」 まあ、ちょっぴり皮肉入っていましたが、実際、死別するかもしれない恋人や友人よりも、末永く付き合う存在です。
怖い事実を知ったり、めげたくなる知識もあります。特に病気の最終ステージを知ってしまったりする場合*3などは、そうです。
ですけど、めげずに自己の病気の正確な情報を知ること、それができるだけ幸せに自分の一生を暮らすこと、そして、インフォームド&コンセンサスの元で、医師と共に病気と闘うために、それが一番重要なことだと思います。
自己選択も、自分の知識が正確ではないと、正しい選択肢が選べません。
そして、その情報も医学的な報告や、疫学内容によっては正しさが変化しますので、その情報の更新も大事*4です。

スティグマにも注意。

さて、このエントリーの最後に、ちょっぴり、この事にも触れておきたいと思います。
スティグマ」についてです。
持病*5を持っている人は、多かれ少なかれ、この概念で表されるものを持っています。日本語で言うと「負い目」でしょうか。訳すと「聖痕」ですけどね。
人、または自分による「レッテル」です。


持病もちは、結構、そういった偏見とも思えるこの概念にさらされます。そして、その概念と日々戦います。病気によって違いますが、偏見は根強い*6です。そして、大抵、本人はその戦いに疲れ果てています。
持病もちの心が折れるのは、大抵、無知な人の「心無い一言」が原因だったりします。三叉神経痛が「自殺病」と呼ばれたのにも、勿論、痛みから来るものも多かったでしょうけど、心無い他人の一言が、そういった方向へ本人の心を追いやってしまった事も、中にはあったと思います。


闘病には正しい知識が一番大事、と語りましたが、それを持つ本人が一番嘆いていることは、その正しい知識が周囲になかなか理解されていない事でもあったりします。これは、自分が正しい知識を得れば得るほど、そう実感します。
ご本人が闘病で疲れ果ててしまわないように、周囲は、ご本人を理解してあげてください。
そして、今も自分の病気と戦っている方には、「病気と闘っているのは、周囲の無理解と戦っているのは、貴方だけではない。」 今は、ひとまず、そう伝えておきます。


keep on believeing !

関連リンク
http://mainichi.jp/life/health/medical/news/20111030ddm013070044000c.html

http://ameblo.jp/moonsun3/entry-11068274060.html
http://www.socius.jp/lec/20.html

一方で、ある種の「正当性」をもって特定の社会的弱者を日々苦しめつづけているものがなお存在する。もちろん直接的には経済的困窮の問題がある。けれども、それだけではない。偏見やステレオタイプといった一連の社会心理現象もまた大きな問題として立ちはだかる。

http://www.socius.jp/lec/20.html

アンジェラ・アキ Angela Aki 手紙 〜拝啓 十五の君へ〜 (歌詞 Lyrics)

*1:障害者の場合は、障害内容。人によっては両方。

*2:実際には、正確な詳細情報を知らないので、この事実のみ伝えます。詳細は、みなさんが調べてみてください。報道は例えば、これ→『http://mainichi.jp/life/health/medical/news/20111030ddm013070044000c.html』より「ジョブズ氏の場合、診断後も食事療法などの代替療法を続け、手術が9カ月も遅れてしまいました。本人も後悔していたと報じられています...」など。

*3:そこまで知らなくて良い、という意見もあるようですけど、一番最後に自分が対峙する内容ですので、知っておいた方が良いと、私は思います。

*4:時に医学常識も変化したり、旧知が陳腐化したりもするので、これも大事です。

*5:障害も。

*6:てんかん」が話題になった時に、多くの人は自分の誤ったイメージを基に、勝手な症状を語っていました。実際の症例についての参考情報。→『http://ameblo.jp/moonsun3/entry-11068274060.html