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ギロビッチの言う「過剰認知の罠」に陥っている例、多し。

私は基本的に陰謀論は唱えない。
人には利益相反、利害関係はあっても、集団で陰謀を企てる事はみだりにない、と思うからだ。人として、相互に利害関係は対立するものであって、そうそう簡単に利害関係は統一されない、つまり確固とした陰謀を確立することは、さほど多くない、つまり、陰謀はなかなか確立されない。


が、世の中では、やたらと簡単に「陰謀説」を唱える人は多い。
これには、私は、いわゆるギロビッチが言う処の「過剰認知の罠」にハマっているのだと考えている。


過剰認知で、簡単な例を挙げると、コイン投げの話がある。
コインを投げ、「裏裏裏」と並ぶ事は偶然として結構あり得るのに、人は、それを偶然とは考えない、という事だ。
そこだけを抜き出して考えると、偶然と考えにくいと思うかもしれないが、それ以外にコイン投げをした結果も並べてみた結果が下記の内容としたら、どうだろう。*1


表裏裏表裏表表『裏裏裏』表裏表表裏*2


予知夢の話で考えると、人は眠る時に、膨大なパターンの夢を見て、そこから一致した一つのパターンの夢を選び出す。結果、人間は自分が予知夢を見る事が出来る、と思うようになる、という話もある。*3
...他にも、いろいろと実験はあって、ライトが点滅したら止まってください、という実験で、ライトを実は点滅させない状態でも、人は結構止まってしまう*4、という実験もある。


例は、このくらいにするが、陰謀論や、変なデマに左右される、と考えた時には、自分が過剰認知に陥っていないか、考えると良いと思う。深呼吸して、「自分が総てを分かっていて、物事を解釈可能だ、と考えるのではなく、自分は物事を分かってはいないから、起きている事を誤認知し、過剰解釈に陥っていないか?」と考える、という事である。


後、人にニュートラルな考えなど、存在しない、と考えた方が良い。主張には必ずバイアスがあるから、人の主張の総ての部分に賛同しなくても良いと思う。人の主張には必ず、指向バイアス*5がある。事実の一端に合致しても、事実の総てに一致するのは困難だ。


それから、人を自分の考えに従わせるために、やたらと相手を異常状態に見ようとする相手にも注意だ。やたらと「大丈夫?」とか疑問を呈してみたり、「その考えは正常とは言えない」とか言ってみたり。
人間に「固定的な正常状態」というものは存在しない。総合的に見て大体正常かな?という状態はあっても、それは固定的ではない。実際、精神状態を診察する指標も参考情報に過ぎず、有名な実験で、それを逆手にとって、診断結果を誘導した実験*6まである。


人間のそういった集団同調圧力への恐れを悪用する相手には、十分気を付けた方が良い。相手を、自分の意に添わせる目的を隠している事もあり得るのだから。


何か、不安に駆られて、いろいろデマに惑わされたり、変なものを売りつけられそうな人が、ネットやリアルワールドで散見されたので、今日は、そんな記事を書いてみた。




心構えは「てげてげ」に。あんまり、心配し過ぎない事。

参考文献
『[人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)]』
『[クリティカルシンキング 不思議現象篇]』
『[人間関係がラクになる心理学 愛蔵版]』

*1:『』で括ったのが、偶然とは考えにくい、裏が三つ並んだ処。

*2:ちなみに、表×7、裏×8 となっている。

*3:『[クリティカルシンキング 不思議現象篇]』に出てきた例。

*4:そう言われた場合、点滅があるだろう、と思いこんでしまう。何も考えない人は、逆に素直に観察して、止まらない、というパターンもある。

*5:その部分は、必ずしも、自分の考えと一致しないだろう。一致する部分もあるかもしれないが。

*6:誘導に成功しています。勿論、誰でもできる事ではないし、真似はしない方が良い。演技が実態になってしまう事もあり得るので。