luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

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著作物の製作者と、契約のジレンマ

少し古い話になるが、こういう話があった。
Hikaru Utada Official Website | MESSAGE from Hikki

10.25(MON) 12:58 今の気持ち
11月24日に、『Utada Hikaru Single Collection Vol.2』が出るであります!内容は過去6年間のシングルと『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で使われたBeautiful Worldのアコースティックミックス、それに渾身の新曲、5曲!夏にEMIと決めて、がんばって作ってきたんだ。早くみんなに届けたいよ。

でここにきて急に、英語でUtada名義でやってきたUniversalから"Utada the best"なるものが出ると聞かされました。なんと、同じ発売日にぶつけてきたの。宇多田ヒカルのシンコレ2の発売に、便乗するという商法です。

"Utada the best"は私の意志とは無関係のリリースです。新しい素材も入っていないし、心のこもっていない「商品」です。売れなかったら落ち目だとか叩かれるのは私だけど、正直、ファンにお金を出させるのは心苦しい。Utada名義の過去作品を持っている人は、そのbestは買う必要は無いよ、と言いたい。

「音楽」を扱っているとは言え、レコード会社だって利益を出すことが目的の「会社」です。そこは充分理解して、私は「パートナー」として、レコード会社が苦しい時は相談に乗るほうなのです。話し合って、私にとってもファンにとってもレコード会社にとっても納得の行く価値ある内容にできるならば、こういったbestモノのリリースだってサポートします。

今回のUniversalによる"Utada the best"の発売は、そんな私から見ても、とても残念な決定です。

せめて発売日をずらすとか、内容をもっと良くしてファンが喜ぶような出し方をするとか、必死に働きかけてみましたが、今のところ、どうにもなりません。

あ、リリースはあくまでも上層部の決断であって、現場で働いているUniversalの社員の皆さんには、何もいやな気持ちはないです。私の発言が宣伝を担当してる方を困らせているかもしれません。ごめんなさい。

ファンのみんなも、なんかややこしい話だけど、読んでくれてありがとう!

宇多田ヒカルのお墨付きの力作『〜Single Collection Vol.2』は、「宇宙の絵」が目印です!(`∇´ゞビシッ

光より

http://www.emimusic.jp/hikki/from_hikki/

...実際には、作った音源、音楽、総てが作曲者、作詞者、そしてシンガーのモノになる訳ではなく、契約上のややこしい扱いによって決まる*1


これだって、Universalによる"Utada the best" についても、正規なものであり、実際には営業活動として、音源の製作者が困惑するようなやり方でのセールスをやってしまっている、という事になる。


実際、こういう音楽活動で生計を立てているミュージシャンを、ほんのちょっぴりだが知り合い*2 *3 に持つが、実際には音源も含め、結構ノリで作っている事があって、みんな、そのノリを大切にしている。だから、契約に対して案外抜けた事もやるし、こういった騒動も起きてしまう。別に、それが良いとか悪いとか言うつもりはない。要は、起きてしまうのだと言う事。
そのノリで、良いものが生まれて行くのだと、みんな無邪気に信じて、音楽活動をやっているし、その気持ち−素の気持ちで−ファンの前に立つ。身近でその気持ちの吐露を聞いていると、私の知っている方は、宇多田さんではないが、純粋さに泣けてくる。
他のミュージシャンでは、ちょっと違うケースに、YMO のケースがあって、ここで記事*4になっており、ここ*5でメンバーからのメッセージが見れる。
こういったメッセージ自体が、自身のアイデンティティに根ざしたものである事自体が、いかに彼ら自身がノリを大切にしているかが窺えると思う。


まあ、そういう場で生まれてきたものを、どう受け取るかは、ファン次第な処もあるが、出来るなら、そういったアーティストの想いをくみ取って、アーティストへ還元できる形を考えてもらえれば良いかと思う。
ちなみに、宇多田さんは、Hikki 名義で、各種の動画を YouTube に公開*6しており、これ*7なんか、とっても楽しくて、Traveling の帽子と旗なんかも、さりげなく出てきていたりして(微笑)。


『〜Single Collection Vol.2』は、私からもお勧めします。ノリで。


[]

*1:実際、スタジオミュージシャンや、スタジオ、録音のスタッフが関わり、リミックス、トラックダウンに伴う、いろいろな音楽的編集が、最近ではハードディスクレコーダー上で行われている。

*2:状況に応じて、疎遠になったり、また再会したり。これもノリだね...。

*3:当然ながら、誰と知り合いかは口外しない。そもそも、交流も一定している訳ではないし...。

*4:http://zezehihi.com/2011/05/27/japan/syakai/admin/akb%E5%95%86%E6%B3%95%E3%81%A8ymo%E5%95%86%E6%B3%95

*5:ymo.org

*6:Hikaru Utada - YouTube

*7:YouTube