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『「みんなの意見」は案外正しい』の書籍を、再紹介

...なんか書籍『「みんなの意見」は案外正しい』を誤読?しているコメントや、記事が、いろいろ散見された*1ので、書籍を再紹介。
書籍『「みんなの意見」は案外正しい』は、別に、みんなの意見は正しいんだよ、と言っている書籍じゃあ、ありません。
今まで、集団の英知をとりだすのには困難だったし、その手法もなかった。そのため、「専門家個人の言動が正しい」とされ、そういう専門家や、専属官僚集団*2にとって、大衆は嘲笑すべき愚鈍と思われていたのです*3
そこで、そういった内容について、集団で社会的な正しさを出すためには、どうしていったら良いだろうか? 結構、失敗もしているけれど、というような書籍なのです。


なお、集合知、集団の英知を正しく反映させるためには、条件があり、それがないと正しい答えを導き出せないと言っています。そうしないと、情報カスケードや、集団極性化*4、誤情報の伝達による混乱の発生*5により、良い結果が得られません、と記しているのです。
書籍には、いろいろな事例や、分析が出てきますが、多分、彼自身も自説に確たる自信はないと思われ、説明や分析には、ちょっと変かなあ、と思えるところもあります。
さらに、この内容としての「集合知の正しさ」には、課題もあり、それらは今後実践&研究されていくであろう、という処で、文章を結んでいるのです*6


念のため、作者が集合知が正しく働くための条件として挙げているものを、下記に書いておきます*7

(1) 意見の多様性の尊重*8
(2) 意見の独立性*9
(3) 意見の分散性
(4) 意見の集約性*10


...毎度、書籍内容の説明を繰り返すのは冗長に過ぎるので、今日は、そんな事を書いてみました。
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*1:多分、全然読んでいないよなあ、と思えるものも見られた。

*2:厳密には個人ではないが、彼の想定条件では、集団極性化が発生するため、極端な回答を出してしまうため、結局正しい行動の提案ができない。

*3:冒頭に、それを証明しようと、市場に出かける学者が登場します。そこで、彼は自分より正確な値を算出した民衆と対峙するのですが。

*4:リスキーシフトと、セーフティシフト。極端な価値判断。

*5:英国の渋滞の話などがあります。

*6:投票市場の入札の考え方は、結構面白い。

*7:専門家集団が集団極性化により、酷い結論を出している(いた)、の好例は、厚労省のワクチン行政の方針、および、それの支持層の親たちでしょう。最近は若干、良化の兆しが見え出したようですが。集合知とは逆の、集団極性化が悪い影響を長年与え続けたお陰で、日本のワクチン体制は世界最悪の状況になったと、私は考えています。

*8:それが突拍子のない意見でも、その中には、各自の私的解釈がある。

*9:他者の考えに左右されない。

*10:最終的に、意見を評価し集約する仕組みの存在。