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山口さんの遺言への反論 〜二重被爆は幸運か?〜

さて、『私の仕事(519)二重被爆2011へ・・⑲ | 『二重被爆~語り部 山口彊の遺言』公式ブログ』を見つけた。山口さんの主張を込めたブログです。
そこには、山口さんは、こう言った、と書いてある。この内容に、少し答えておこうと思う。

彊さんが数十年前に「語り部」活動をしたいと家族に相談した時、みな猛反対をした経緯があります。
それは「ニ度被爆しても、外見上は元気に見えるお父さんが話したら、被爆を3度でも4度でも受けても何ともないと、核保有国は言うに決まっている。もっと原爆症に苦しんでいる被爆者の方々の邪魔になるのではないか?」という理由でした。

http://ameblo.jp/nijyuu-hibaku/entry-10776088755.html


まずは、最初に BBC の主張を伝えておこう*1
BBC「QI」の出演者たちは実際に何を言っているのか? これが「被爆を嘲笑」? - 水川青話 by Yuko Kato』より。

SF: He was celebrated, he was treated as sort of a hero, but only in his 90s he was officially recognized as the man who was bombed twice. He claims that there are over a hundred people he met who also had a similar experience, and he had a network of friends. He was a cheerful fellow. (彼は称えられ、ある種の英雄のように扱われて、でも二度被爆した人としてようやく正式に認定されたのは90代になってからだった。自分と同じような経験をした100人以上もの人に会っていると言い、たくさんの友人がいたんだそうだ。とても陽気な人だったんだよ)

BB: (後ろの写真を指して) He doesn't look so cheerful there. (そこではあんまり楽しそうじゃないな)

SF: No, wedged between two mushroom clouds. (そうだね、二つのキノコ雲に挟まれていてね)

http://blog.goo.ne.jp/mithrandir9/e/5d8249376ac2592288a873dcbf11e412

...「陽気な人」が、「二つのキノコ雲に挟まれて」「楽しそうじゃない」


出演者は、キノコ雲が意味するところ、そして、それが幸せとは言えない事を言っているのではないのかな。*2
そして、ここでは、明確に言及されている訳ではないが、核兵器を何度も受けても平気などと考えているとは思えない。そもそも、核兵器を何度を受けても平気などと考える人は、核兵器について無知な人であり、それは出身国がどうか、という問題ではないと思う。
...単純に、無知がそれを生む。英国人であっても、知っている人は平気ではないと考えるし、日本人であっても、知らない人は平気だと考えるのではないだろうか...。


次に、私の答え。
私が答えるとしたら、「爆心地からの距離とかに依るので、一概にどうとも言えない。しかし、いわゆる明確に被爆したという状態であれば、平気ではないだろう。」と答えると思う*3


あと、一つだけ気になっているのは、核兵器が何度受けても平気なものだったら、そもそも兵器としての意味がないのではないかと思う。効果がないものを兵器として使う訳がないではないか...。
勿論、単なる発言に過ぎないので、殊更論理的に分析する必要は感じないが、兵器であると考えれば、そうだと思う。


...そして、それにも関わらず、生き延び、長く生きた山口さんは、実際の受けた肉体的、精神的な傷を克服して生きた、という事であるから、称賛されるべきだと思う。そして、それが、冒頭の番組出演者に対して、私が、『下手をすると、「山口さんをリスペクトしている」とさえ言えるかもしれない。』と考えた理由です。*4


最後に、たった一つ告げておきたい事がある。
今回、「二回の被爆」という事が、話題の性格上、問題の関心だった。が、そんな事は、当事者にとっては、関係ない事、一度だろうが、二度だろうが、受けた傷が重い、軽いで語られる性格のものではないと思う。私自身は、日本が最初の被爆国であると同時に、最後の被爆国であって欲しい、というのが願いです。


そして、兵器は人の憎悪が生む紛争に使われるもの。争いが生まれれば、そこに兵器が使われます。
今回の件に関し、私が真に蔑み、疎んじるのは、『いろいろな場面で、互いの争いを煽った人たち』です。核兵器に関してのスタンスがどうこう、とかいう内容は、まったく抜きにして、私が一番嫌悪するのは、そういう人たちです。


あえて、特定の誰がどうこう、とかいう指摘はしませんが、私の視野の中にも、そういった人は、見え隠れしました。
私が、真に憎むのは、そういう人たちであり、それには英国人だとか、日本人だとか、無論、被爆体験の有無などは関係ありません。
無論、BBC 関係者ですらないのは、当然のことです。

関連リンク
私の仕事(519)二重被爆2011へ・・⑲ | 『二重被爆~語り部 山口彊の遺言』公式ブログ
被爆者の事例に触れたBBCのコメディ番組「QI」への反応&解説など - Togetter
BBC「QI」の出演者たちは実際に何を言っているのか? これが「被爆を嘲笑」? - 水川青話 by Yuko Kato
Potters Bar rail accidents - Wikipedia
http://ourmaninabiko.blogspot.com/2011/01/how-i-learned-to-stop-worrying-and-love.html

*1:残念ながら、山口さんの遺族に、この意志が伝わるとは思っていない。当事者は時に頑なだし、意見は個人の主義だから、変えてくれとはお願いしない。ただ、私は反論するのみだ。

*2:出演者は英国の人ではあるが、英国の総ての政治行動を司っている訳ではないし、無論、英国の核兵器を直接に配備し、使用している訳ではない。それに、日本に落とされた核兵器は、アメリカのものであって、英国のものではない。

*3:私が、論理的懐疑主義者だ、というのは常に主張するところであるが、この答えは、それに沿った内容である。科学的事実を確認しない限り、正しい答えができない、というのが、私の主義。

*4:私は、そう感じたが、残念ながら、『私の仕事(519)二重被爆2011へ・・⑲ | 『二重被爆~語り部 山口彊の遺言』公式ブログ』の書き手には、多分伝わっていないようだ。これは仕方がないし、感じ方も人それぞれであるから、そう感じることもあると思う。私は、それについて説得する事はない。