luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

代表取締役の知識(経営判断)、責務(責任の伴った行動)が決めるもの。

今年は、何か元日早々大変な事態に見舞われた方々がおられたそうで...。私が最初に知ったのは、多分 twitter なんですが、いわゆる「グルーポンで、おせちを購入した方々のいろいろな顛末騒動」ですね。*1 *2
どこを参考に挙げようかな、と思ったのですが、ここを→『おせちの裏側 : 京都から世界へ -藤田功博の京都日記-*3。あと、やっぱり私がコメントした、『グルーポンが売っているものは何か - novtan別館』を挙げましょう。あと、『グルーポンのビジネスモデルはすでに崩壊している - novtan別館』『グルーポンおせち事件の一考察 - 無い知恵絞れ!ハゲるまで考えろ!』も。
(追加情報:『結局のところ、グルーポン系サイトはすでに終わっていたということ - novtan別館』『5分でわかるグルーポンの仕組みと抜け道*ホームページを作る人のネタ帳』も。)


実際の原価や、材料などに関しては、まったくの素人なので、ここを紹介しておきます。→『飲食店トーク;商品の『原価』は、どのくらいが相場なのか?採算ベースはどこ? 寄せ物、おせちなどを例に・・・ - Togetter


さて、語りたいのは、グルーポン自身や、今回のいろんな定義、論評自体の話ではなく、経営判断と、顧客対応の話です。
それを語る前に、数年前の類似事件を見てみましょう。今回よりスケールアップしてしまうのですが、実はちょっと似たような事件が起きています。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/141/index1.html』より。

 これで注文はピタリと止んだ。だが、既にふうどりーむずは、予定の1.5倍、1万5000セットの注文を受けてしまっていたのである。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/141/index1.html

そうなんです。今回より凄い事態になった事件が、既に起きていたのでした。
今回は、カフェ経営者?が、いつもと勝手が違う、おせち、を取り扱ったための悲劇、という要素も大きいようなのですが、前回の場合はスケールこそ大きいものの、元々食品関係の企業がやってしまった過剰注文の失敗、だったのでした。
...とここまで書いて、驚愕の事実が判明。この事例は、予想の1.5倍だったのですが、どうも件の代表取締役の話を聞くと、当初予想の5倍*4だったとの事です。*5
うーむ。気を取り直して、記事をすすめるぞ...。さて、この顛末は次ページに続いているのですが、『http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/141/index2.html』にあります。

結局、ふうどりーむずは首の皮一枚で生き残った。事件への誠実な対応などが評価され、地銀など3つの金融機関が、損害を穴埋めするための融資に応じてくれたのだ。

 だが、「当面の資金繰りをしのいただけではジリ貧」。そう考えた猿渡社長は、3月13日、4億円の第三者割当増資を実施する。そのうち3億円を食品大手のニチレイフーズ(東京都中央区)が引き受けた。この結果、ニチレイフーズが出資比率40.2%の筆頭株主になった。「危機管理体制を整えるためにも、あえて大手の傘下に入ることを選んだ」(猿渡社長)

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/141/index2.html

結局、独立系だったようなのですが、大手傘下に、という手段で、最終的には存続となっています。


さて、基本的に信義的な責任とかは、他の方に譲るので、いわゆる経営的な側面について考えてみたのですが、基本的に経営を考えた際に、どれだけの事をリスクとして考えるか、というのがありますが、まあ、1.5倍はともかくとして、5倍ていうのは、基本的に物理的なモノがある食品の提供として考えた場合には、はっきり言って「実現不可能」というのが、まっとうな判断でしょう。
そういう意味では、経営判断として、どうして提供可能と思えたのか、判断に苦しみます。


最初、まあ、500予定を、550*6くらいにしたのか、と思っていたのですが、どうも状況に関して、相手に対し、あまりに穏やかに見ようとする確証バイアスが働いてしまっていたようですね。*7


ちなみに、代表取締役の基礎的な義務(責任)としては、ここを参照してください。→『取締役の会社に対する責任 なるほど!会社法 対策事典*8

取締役の会社に対する責任

取締役は、会社法では次のような行為によって会社に損害を与えた場合、他の役員等と連帯して損害賠償等の責任を負うこととされています。

(1) 違法配当 : 分配可能額を超えて剰余金の配当を行うような場合。
(2) 利益供与 : 株主の権利行使に関して、株主に対し金銭その他の財産を供与するような場合。
(3) 利益相反取引 :取締役と会社の利益が相反する取引を行うような場合(原則取締役会決議必要)。
(4) 法令・定款違反 :法令や定款に違反するような行為を行うような場合。

http://kaisyahou.jiten.name/2006/04/post_61.html

無過失でなければ良いのですが、これは...明確な過失...だろうなあ。ちなみに、無過失証明は、取締役本人が行う必要があります。
まあ、多分、家族経営の会社だと思われる*9し、実際、経営会議も、特に経営者が叱責されるような性質のものではないのでしょう。そういう場合には、よほどの経営危機を起こさない限りは、解任動議なんてのは出されませんので、本人が退任したいと言うまで*10は任期いっぱいまで、地位は安泰なのでしょうね。(考察は、一般例です。特に興味もないので、本件がどうかは、考察しません。)
まあ、そういう自浄効果が働かないような会社は、代表取締役が暴走しようが、状況考察不足*11で、大失敗しようが、ほとぼりが冷めれば、再度、代表取締役に返り咲いていたりしますが...。(あくまで一般例で、本件は知らん。興味もない。)


...まあ、ちょっと経営系の話は、触れるのもバカらしくなってきたので、早々に終わるとして、顧客対応の話に少し触れておきます。
件の経営者は本当にやる気があるのか、よく分かりませんので、まあ、お手並み拝見と行きたいですが、実は twitter では少し触れているのですが、私は、実際に五百人規模のクレーム対応を行った事があります。
私は食品ではなく、いわゆる顧客サービスの規格規定の話だったのですが、こちらの当初の説明姿勢が悪く、顧客側が考えていた規格と、こちらが提供するサービスの規格の差が生じて、あわや大クレームに発展しかけた事があります。


...この時に、私が想起したのは以下の三つでした。

(1) 時間がたてばたつほど、クレームは大きくなる。早期消火が重要であるから、拙速でも、危急に総ての顧客に連絡を取る。
(2) 顧客の、本件に関しての不満情報は、残らず聞きとる。(後に禍根を残さない。必要であれば、今後の自社の対応内容に反映する。)
(3) 最終的には、正確な情報の伝達が大事である。(一番最後には、担当営業によるフォローが不可欠。)


...もちろん、他の内容も想定可能だと思います。が、緊急分は、そこまでで、後は落ち着いてから、十分に考えればよいので。


結果、数日間電話に張り付きで、電話をし続け*12、連絡自体は数日で終了し、後は営業担当に分担して手伝ってもらい、さしたる大きなクレームに発展せずに、事態を解決することができました。
顧客の中には、大きな不満を持っておらず、逆に、こちら側の対応で、弊社のファンになってくれた顧客もいましたし、この対応にて、取り扱いを大きくしてくれた顧客までいました。
まさに災い転じて、何とやら、です。


件の経営者が、これらの顧客に関して、どう対応するのかは、私は他人ごとなので、特に興味は持っていませんが、ちゃんと対応すれば、顧客と言うのは答えてくれるものです。特に、今件のような不特定多数が相手なら、猶更でしょう。*13


さて、色々と、まだ話題のこの件、今後どうなっていくのでしょうね。*14


...ちなみに、あまり強くは主張しませんが、銀行など金融機関と言うのは、当然ながら会社の代表者の信用調査を一般的に行いますので、こういった顧客の信用回復を忌避する人物に新規事業などの資金を提供するのは...、まあ大体わかりますね。
事業続行したい場合は、普通の感覚の経営者だったら、自ら信用回復に動くものです。でないと、誰も今後信用してくれなくなります。さすがに金融機関は普通に過去状況等の信用調査くらいはしますので。

関連リンク
バードカフェのおせちをめぐる「責任」と「信用回復」 - Togetter
(まあ、基本的にブラックリストとして、メモっておいて、気になったら確認するのが、一般的な対応でしょう。)


web業界人が見ておくべき2011年の年末年始ハイライト*ホームページを作る人のネタ帳
(後半に、今回の関連情報が載ってます。)


早くも堕落したGroupon - Market Hack

もしGrouponがそんなに素晴らしいビジネスなら、なんで経営陣がIPO前にごっそりキャッシュアウトする必要があるのでしょうか?(=普通IPO後に公開市場で得た株価評価の方が未公開株より有利な値段が付きます)

いま急いで株を処分するのは一般投資家やVCに見えてない事が経営トップには見えているからだと思います。

ひとたびIPOのプロセスに入ると経営陣が処分できる持ち株数はロックアップ契約などにより厳格に規定されてしまいます。だからプライベート・マーケットで「闇から闇へ」持ち株が処分出来るうちに足抜きをはじめた方がトクだとう発想になるわけです。

今回のプライベート・ラウンドはGrouponの経営者の器量を知る上でとても参考になりました。

http://markethack.net/archives/51672972.html

(ちなみに、該当サイトでは未記載だけど、逆方向の考察での別理由も考えられはする。でも、特にここでは記載しない。...自分で考えてくれ。)


早くもクーポンビジネスがバブル崩壊(ただし国内): やまもといちろうBLOG(ブログ)』も。

*1:本件をゆっくりと書いているうちに、情報がいろいろ出てきているので、一部情報は、注釈で扱っています。ご了承ください。システム障害さえなければ、もう少し早く掲載できたのですが...。

*2:あえて、感情がヒートアップしそうなサイトは除きました。そういう騒ぎに乗して、池に落ちた犬を叩くのは好きではないし。まあ、一か所、ここだけ挙げておこうか。→『グルーポンで買ったおせち料理が「見本と違う」と話題に! 腐っているという報告も多数 | ガジェット通信 GetNews』『トップページ - グルーポンで買ったおせちが酷い!まとめwiki - アットウィキ

*3:なお、食品添加物に関する該当サイトの記事は、いろいろ問題あり、という事なので、こちらをご覧ください。→『食品添加物の裏側の裏側 - 食の安全情報blog

*4:情報源はここです。→『http://net.2chblog.jp/archives/1503176.html

*5:もっと酷い、という事かい。それで、よく強行したな...。

*6:1.1倍。これでもある意味問題だが、実際はこれより上を行っていたと言う事。

*7:元々、2ch あたりがかなりひどく騒いでいたので、少し落ち着いて観察しようとしていたのですが、それが逆に仇となってしまったようです。この見込みの甘さは致命的ともいえるもので、今まで経営上、こういった系の判断が全く表面化しなかったのかは、理解に苦しみますが...。無論、経営指標の数値が公開されている、上場企業という訳にはいかないので、いわゆる信用調査みたいな事をしていません。そういう事をすると、費用もかかりますし、そこまでの興味はないので。あまりに推論になってしまうため、こういう判断は避けていたのですが...。

*8:なお、基本的な義務と責任に関する一般的な規定内容はここをどうぞ。→『取締役の義務と責任 なるほど!会社法 対策事典

*9:代行者として出てくる人物が、軒並み親族なので。

*10:今回は、本人の意志で即日退任したようですが。

*11:食材が不足すると思われるこの時期に、そんなに生産数を上げられるとは、普通は想定しないでしょう...。

*12:弊社営業も手伝ってはくれましたが、営業は担当分があるので、手すきの時にのみ手伝ってもらいました。

*13:遠隔地、島しょ地域に関しても対処方法はあります。ま、そこら辺はご自分でお考えください。

*14:続きをいつか書くかも知れませんが、触れるのも馬鹿らしくなるほど、事態は嫌な方向へ展開を続けていますので、私の方は実質的危害を被っていない事もあるし、手を引きます。