ちょっと友人と話をしていて、気になった話があったので、今回はこれを取り上げます。
ちなみに、私*1ではありませんが、私の近親者には生活習慣病の医療管理必須者がいます。そのため、私は生活習慣病に関連して、それなりに一般の人よりは知識*2があるのですが、それに関するお話です。
友人がこういう話をしてきました。
「いやー、健康診断で太りすぎたし、検査数値も要注意だから痩せろ、と言われててね。でも、なかなか食事を制限できなくて。運動はそれなりにしているのだけど。...何か、痩せの大食いって人、いるじゃない、ああいう人、羨ましいなあ...。」てな話です。
私は、「え!」と思いましたよ。だって、食べても食べても太らないのは、全然健康的じゃないし、羨ましい、という話じゃない。それどころか、不健康な可能性だってあるから、全然羨ましいとは思っていないからです。
例えばですね。
2型糖尿病の人の体型と、発症の関係ですが、肥満になった人が発症するのは分かるとしても、実は痩せている人も、危険因子の潜在を示唆している、って知っていました?
『http://www.kawasaki-dms.jp/general/rensai01/009.html』から引用してみましょう。
下図に示しますように日本人には糖尿病の予備群と考えられる方のタイプが2種類あるようです。第一のタイプは、肥満はない、それどころかやせている場合もある、しかしインスリン初期分泌が低下している、家族に糖尿病の方がいる、このような方です。このような方は、インスリン初期分泌低下のみでは糖尿病には至りません。しかし、ベストな体重の時より、少し増えただけで、又はよく動いていた時に比べて、少し動きが減っただけで、容易に糖尿病に進行する可能性があります。
http://www.kawasaki-dms.jp/general/rensai01/009.html
しっかり「それどころかやせている場合もある」と書かれていますね...。
何で、そうかというと、それはインスリンの持っている働きに着目すると分かります。
実は、インスリンは、体の各部に、ブドウ糖をめぐらせる働きを持っています。*3
このため、元々、インスリンの分泌が少なかったり、分泌がすぐに始まらなかったり、様々な原因でインスリンの働きがうまく働いていないと、体型的には太っていなかったりする*4のです。
いわゆる、大食しても太らない、冒頭に出てきた「痩せの大食い」のような状態になります。
...勿論、人の体調は様々な状態があり、体組織のいろいろな働きが相互作用しての体型となりますので、一概に総てそう、とは言い切れないのですが、実際には傾向として、そういう傾向を示す事が多いようです。簡易に言えば、「痩せている場合は、インスリンの分泌が少ないことが推測され得る。」という事です。
ですので、私個人が「痩せの大食い」だったら嫌です。それどころか、自分がそういう状態に至ったら、健康診断を念入りに受け、検査値が異常域に近づいていっていないか、気を配ります。
...自分が危険因子を持っている、と推測*5しますので。
今日は、ちょっとした健康に関する誤った常識についての指摘として、「痩せの大食い」なんか羨ましくない、という話をしました。
...ちなみに、実際に糖尿病を発症すると、どうなるか、と言うと、いくら食べても、体重が減る、という怖い思いをします。気になったら、該当医療機関、糖尿病専門医を尋ねてみてください。
最後に『DM TOWN』から、インスリンの実際の働きに関して、ちょっとだけ引用。
【インスリンの主な働き】
http://www.dm-town.com/hospital/naika/01/index.html
・全身のほぼすべての臓器細胞にブドウ糖をとりこませます。
・肝臓や筋肉でブドウ糖からグリコーゲン(貯蔵糖)が合成されるのを促進します。
・貯蔵されているグリコーゲンが分解されるのを抑制します。
・脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進したり、脂肪の分解を抑制します。
*1:私のハンディキャップは別の症例。
*2:何故か、医療者でもないのに、シリンジ(注射器)に詳しかったり...。その他、諸々な項目で。
*3:これには制約があり、それを超えると以降は、トリグリセリドの形で、肝臓に貯められます。なお、筋肉に取り込まれたブドウ糖はグリコーゲンの形で約300g、貯蔵されるようです。なお、肝臓には、グリコーゲンでは 100g。『【1分間健康法】吸収されたアミノ酸とグルコース | 1日1分で非常識に健康的に』を参考とした。
*4:シルベスター・スターローンは、このインスリンの働きを逆用して、映画の役作りのために、ボディビルの目的で、インスリンを使用しました。なお、多分、これは非常識な例外医療行為ですので、真似をしないように。危険です。
*5:遺伝要素も確実ではないため、近親者にそういう病気が発生していなくても、そういう体質になっている人はいる。