luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

慢心家の断言を、私はあまり重視しない。

...何故なら、論旨のチェックがあまりに甘いから。


しかし、自信にあふれているという態度は、ある程度は世の中の人の尊敬を集めるらしい。
それが、いかに薄っぺらな論理に支えられているとか、そもそも論旨のチェックすらせずに、後付けで自分の意見を述べているだけに過ぎないとしても、人々の「勝ち馬に乗っておきたい」というような心理は、偽りであっても、勝てそうな人に引き寄せられるように、そのように見える人を支持する。
しかし、常勝の人は居ない。
多様な事例に出来るだけ正しい回答を得ようとする工夫を惜しまないような人、それゆえに結論に慎重な人以外で、常勝の人間が見つけられるとしたら、その人間はほぼ「詐欺師」である。もう少し穏当な言い方をするのであれば、一見常勝であるように見えやすい人である。
こういう逸話がある。ある兵士が自身の射撃の正確さを誇り、自身の着弾痕がターゲットとほぼ同じ位置である事を誇っていたとする。しかし、彼が示していたのは自身の着弾痕の後に書いたターゲットだった。
この場合、彼に同じ標的を撃ってくれ、といえば、彼の実力を知ることができる。しかし、物事はそんなに単純には検査できないし、同じ条件の出来事っというのは起きる方が珍しい。
このため、自信過剰家は自分の行動の判断基準自体を、何らかの出来事が起きるたびに微調整して、自分の常勝さを誇示している。
だから、私は先ほど「詐欺師」と表現した。


自分でそうしている場合、もしくはそうでない場合もあるが、高い地位にあったり、権力を持っていたりする場合の、慢心家にも注意が必要だ。
その場合には、自身の言説でそうしている場合に加え、周囲が事実関係を調整して、そう見せかけていたり、地位の上下が反論を許さないでいたりする。
そういった状況を正しく見るためには、本人と同等もしくは上位の人間にどう見えているか、を確認したり、地位が影響を及ぼさない立場から冷静に相手を判断できる人間に観察してもらう事をした方が良い。
絶対的な権力は必ず腐敗する、とあるように、そういったチェックを受けない立場が腐敗しないことは困難である。故に、もしそういうチェックが難しいなら、そういう人はあまり信頼しない方が良い、と私は考えている。


私の短い人生の中でさえ、そういった人は大抵が悪辣であったから。