luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

どちらの味方にもならない(これも重要)、そして生存バイアスは労働問題には何の助けにもならない。

個人的には宗教団体も、芸能社会と言う一種の変な社会*1も嫌いだし、タレント本人も良く知らないので、彼と同様に、私もどっちの味方になりようがない。
その上で、多分出てくるであろう、生存バイアスに注目していたら、芸能界自身から、その状況に警報を鳴らす意見が出てきたので驚いた。
伊集院光、清水富美加を巡る騒動に「意見が一色なことに気持ち悪さを感じる」 (スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

伊集院はデリケートな問題だけに自分のノートに「どちらの味方にもならないように気をつけよう」とメモ書きしたとした上で、(中略)
 「芸能界という一般の会社と違う、一般の社会と違うというのは分かっているけど、そこで勝ち抜いた人の意見って、バイアスがかかっちゃっている気がする」と話し、過去のスポーツ選手を例に話を展開。“ウサギ跳び”は膝に負担がかかるので良くないことが現在は定説になっているが、かつてウサギ跳びをこなしながらケガをせずに強靱(きょうじん)な体力で活躍した選手からは“ウサギ跳び”を否定する意見は出てこないと説明した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170214-00000112-sph-ent

勿論、他の側面もあるだろうけど、これは労働問題の側面がありますよね。体力的に限界で、やむにやまれる事情で労働できないと告げた時に、無理やり契約実行を迫れるのか、という話でもある。実際の労働契約では、一定の制約はあるものの、その範囲では労働契約の解除が出来るとしている。
個人事業主扱いだと、薬務の提供には賠償責任が生じる代わりに、指揮命令権は本人に存在したりして、その実態が違っていたりすると、契約がそうでも、実態が違うものとして法的には扱われたりするのですけど、実際の契約はどうなっているのでしょうか。
ちなみに、以前、AV女優の契約違反として、業務を拒否する相手に損害賠償を請求した民事裁判で、請求が否定された事例がありましたが、その際に重要視されたのは、労働契約を停止させる、やむにやまれる事情が認められたからでした*2
AV違約金訴訟・意に反して出演する義務ないとし請求棄却。被害から逃れる・被害をなくすため今必要なこと(伊藤和子) - 個人 - Yahoo!ニュース

雇用契約となると民法の雇用および労働関係の法律が適用され、契約については、「やむを得ない事由」(民法628条)があれば即時解除することが出来ることになる。
実際女性は契約解除を通告したので、それ以降、いかなる債務も負わないので、いかなる債務不履行による賠償義務も女性にはない、と判断したのである。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20151001-00049989/


労働契約の話はそんな感じですが、実際に、本人が労働を止めたい、という感覚を述べている時に、その状態を生き抜いた人が述べる感想なんかはあまり役に立たないと思っています。まさに「生存バイアス」で、それは生き抜いてしまった人の意見だから。
実際には、それらの人の陰で、多くの人が力尽き倒れている訳です。そういう状況を無視して、「まだ大丈夫」みたいな意見は無意味だと思う。本人にとっては「もう限界」なのだろうから*3

*1:タレント事務所移籍の際の騒動見れば、かなり変だと分かる。

*2:この裁判、勘違いしていた人が多いのですけど、判断の際に公衆良俗の話は出てきていなくて、労働契約上の契約の話として、判断が行われています。過去に 話題となっている、AV出演を強要した裁判。判決の根拠条文は「公序良俗(民法90条)」ではありません。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック の記事を掲載しています。

*3:勿論、私は本人ではないので、状況ははっきりとは分かりませんけれど。