luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

労働指揮責任の分析の中に、その人の人生観がほの見える。

正社員以外の生き方。昔は、選択の結果として、そして、最近では不可避の結果として、選ぶ人が増えている生き方です。労働法でも、「無期雇用契約」と「有期雇用契約」は色々異なります。


ここで、その多様な法的違いを色々挙げることは止めておきます。
実態を考えた時に、重要なのは多様な背景はともあれ、雇用者本人の人生や、各自への影響をちゃんと考えているかどうか、です。そこの部分を一番考えなければならない。


例えば、各自の職場での勤務経緯、実際の勤務内容、指揮命令と、その評価。よくよく調べていると、とある傾向が見えてきます。
有期雇用契約は、本来は高い技術力を素早く組織に取り入れる事、雇用調整がやりやすい事、そこに有用性を見ている契約形態です。しかし、それを行っている組織、そして、それを実施している管理者が、ほぼ総て、法的背景も含め、そこを理解しているとはなかなか考えにくい。
勿論、良く理解している組織もありますし、組織が理解していても一部管理職の理解が乏しい組織*1もあります。しかし、全く守るつもりもないんじゃないか、という組織もあったりします*2
それ故、実態に対して自己の組織が責任を感じ、社会への影響を考えているのか、または管理職が同様の考察を行っているのか。もしくは、行っていないのか、は、行動を見ると、ゆっくりと炙り出される仕掛けになっています。
例えば 有期雇用契約者を恣意的に低査定する企業と、その雇用履歴をまともに判断できない募集企業とのコンボは、対象者を疲弊させる。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック では、妙に悪質な有期雇用者運用をする企業と、その企業に疲弊し、結果として実際の能力の優秀さを失っていく事*3を書きました。
これは、真面目な話、実際の実話として存在していて、かつ、非常に一般的なので、派遣労働者同士の会話では、ほぼ諦めたような会話*4として語られることもあります。
でも、それってまともな状態ではないですよね。労働基準法の遵守自身が確かに真面目に語られない事もありますが、だからと言って、そういう場所がまともな企業である訳でもなく。
最近の「すき家」とか、「ワタミ」で、勤務者が足りなくなり困っているような事態になっていますが、あれは珍しいという話題ではなく、あれが常識にならなければなりません。また、あんまり知られていないようですが、実際に法に違反したら、ちゃんと罪過に問われていますからね。まあ、あまり報道されていませんが。


炙り出される、と言えば、実際の業務管理者が指揮命令の際に、相手を恫喝するような言動もどうなんでしょうか。
相手の心理的な疲弊を生むと、本人の能力が正しく発揮できない事態にもなります。パワハラなどが良く話題になりますが、そもそも相手の事を重要視し、丁寧に扱う視点からは、パワハラという手段を使う発想がないと思うのですけど。
そもそもが、そういう手段で命令した指揮命令が、相手に怯えなく、正しく伝わるのでしょうか? 私は非常に疑問だと考えます*5


また、残業などの勤務時間の申請が、適正なのか。
先日も書いた*6ように、実態と異なる勤務表を勤務者に強いていたら、または、そうなる状態への考察を正しくしていなかったら、相手は疲弊します。会議の時間を実作業時間から除外したら、まともに時間がなかった、なんて笑い話にもなりません。
また、新しく入った人への教育や、勤務の慣れについて。 新しく入ってきた人を大切にせず、自己知識の伝達を怠る組織が、自己反省を失う物語。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック で、教育を怠った組織がどうなっていくのかを記載しました。勤務効率については、当然ながら新しく入った人は勤務時間の不慣れさや、慣習の違いで、通常は勤務作業時間が短くなるのは稀です。基本的に長くなるでしょう。教育に対して考慮を行うというのは、そういう事についても考慮を行う事でもありますし、そういう事の考慮を行わずに、組織を永続させていく事はできません。
有期雇用契約者について言えば、採用され派遣される先の業務慣習事項については、常に新人なわけ*7で、現場によっては派遣労働者自身が請負のように成果を基に査定されるわけではなく、指揮責任者の命令に左右されるのが派遣勤務の行動法理なのに、それに意識的ではない管理者もいますので。
そういう配慮をせずに能力発揮させずに居て、相手の責任に総ておっ被せてしまうような勤務態度は、そもそも会社の新人ならともかく、管理職としてはどうよ、という感想になります。
ここでも違法の観点になりますが、実際に実態が法理と乖離していた場合にも、それが正しいわけではないので、本来の正しい行動をしていた場合、主張した場合に、そのまま、それを否定するのは変なのですね。
実態が変だとしたら、それとのバランスを考慮しての評価にならなくては。実態を常に適法に訂正しなければならないとまでは言いませんが、実態に合わせるのなら、本来すべき行動を実態の方に合わせている、という考察を、評価の際には取り入れなければ公平にならない。


結構長くなってしまったので、ここら辺で止めますが、指揮命令の出し方、行動のさせ方には、やはり本人の人生観と言うか、価値観がほのかに見えます。
人を人と思わない、自分さえよければどうだって良いような人は、相手の受け取り方を考察せずに、自分の都合ばかりを押し付けます。詐欺的行為でもなんでもよいから、人に嘘でもなんでも言って、単純に従わせようとする人は、そういう行動をしますし。相手の行動を封じたいときに、その行動に物凄いスティグマ色を貼り付ける人*8は、他の人にもそうしているのでしょう。


何だかんだ言って、有期雇用契約者は本来の価値状態*9とは違い、低く見られているようです。相手に優位な状態に置かれている無期雇用契約労働者が、有期雇用契約者に示す態度は、その人が他の弱き立場の人にどう行動するのか、の良い指標になります。

*1:実害があるので、本来はこっちも止めてほしい。

*2:ただ、そういう組織はさすがに派遣会社にとっては害悪ともなりかねないので、営業がなかなか寄り付かない、というのはありますけどね。営業にとっても、自己の管理している派遣社員が疲弊したら困る訳で。ぶっちゃけ言えば、営業自身の営業成績が良いものにならないから。

*3:新たな技術の習得をするためには、技術評価が不安定な事もあるので、自分の職場での安定を考えると、自己の習得技術が固定化、固着化し、長期的には陳腐化する、という事が起きます。選択の悪夢、みたいな状況ですね。

*4:とある現場で、派遣先企業担当者が「長期的な契約継続」を繰り返し述べていたのに、それを聞いた派遣労働者が、派遣労働者間では「実際には別の工数期間は他組織とも契約するのでは?」と語っていたのが印象的でした。まあ、本人を連絡役として勤務継続した上で、という形にもあるとは思うのですが、有期期間契約者自身は契約終了してしまう事も、実際にはありますからね。要は、そういう事も企業によってはしているので、信用されなくなってしまう、という事ですね。特に、派遣労働者は同じ企業に繰り返し派遣されるとは限らないので、新しい派遣先が信頼するに値するか、なかなか分からないのが、互いの不信感の源だと思います。まあ、悪い慣習をしてしまっている企業がいけないんですが。それが各自の派遣労働者のトラウマになっている訳で。

*5:会話、コミュニケーションの成否が、双方に影響要因があるという部分に無思考で、多くが命令の受け側に問題があるような思考も、使われる側の脆さ、弱さを示しているようで、私は嫌です。

*6:参考 作業時間に、他人の割り込みを計算しないのは何故? - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック 勤怠表を締めたのなら、労働は終わったという事。もしも、その後の指揮命令があったのなら、勤怠表を直すのが適法。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック

*7:実務経験は技術事項として存在しますが、それを業務に適した形で遂行するためには、行動指針は定型ではなく、組織によってはかなり異なるので、それを生かすためには現場の管理者の指導が必須。

*8:10 の意見の 1 に否定的になっているだけなのに、まるで総てを否定された、みたいに主張する人も居ます。

*9:変化が激しい今の時代には、もっと高価値な人材のはずです。